特集 2015年1月15日

頭とおしりがあると間に胴体がイメージされる仮説

体の部分が見えてこないだろうか…?
体の部分が見えてこないだろうか…?
街の看板にキャラクターや人の頭や顔だけが描かれていることがある。

あれにおしりをつけたら体の部分が勝手にイメージされるのではないか…?

そういうひらめきが突如襲ってきたので試してみたい。
1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。(動画インタビュー)

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この仮説、どういうことか

はじめに思いついたのは壁に飾ってあるような鹿のはく製。ぼくのイメージを図示すると以下のようになる。
おしりがあることによって、壁の中に胴体が想像される
おしりがあることによって、壁の中に胴体が想像される
つまり、手足よりおしりが重要なのではないかという直感である。

「頭隠して尻隠さず」という言葉があるが、頭の反対は足ではなくて尻。故に頭とおしりがあると必然的にその間の胴体が想像されるはずである。

それは馴染みのあるこの錯視と同じようなことだと思われる。
ないはずの三角形が見える。
ないはずの三角形が見える。
カニッツァの三角形と呼ばれるもので、周辺の図形を補完するように白い三角形が浮かんで見える。

今回の「頭とおしりがあれば胴体がイメージされる仮説」も同様のはずだ。 同様と考える方向で行きたい。一旦その方向で。一旦。

試しにやってみる

ということで本当は鹿のはく製で試したいのだが、身近なところに鹿のはく製なんてそうそうない。じゃあ、こんなのはどうだ。
かわいいうさぎのブックスタンド。
かわいいうさぎのブックスタンド。
反対側におしり。
反対側におしり。
紙粘土で作ったおしりを、うさぎのブックスタンドの反対側につけてみた。
こうなった
こうなった
かなりいい線いってるのではないか。ぼくには頭とおしりの間に胴体が見えてきた気がする。

見えない人はもうちょっとがんばって右脳的な部分を働かせて欲しい。どうだろう。

まだ見えない? もっと働かせて!
カエルの場合も、何か胴体みたいなものが感じられる。
カエルの場合も、何か胴体みたいなものが感じられる。
何度言われても見えない人は、ぼくの本のチョイスが悪かった恐れがあるのでまだあきらめないで欲しい。(ちょうどいい色で揃ってる本がこれしかなかった。)

「記号的おしり」を用意する

さらに仮説を検証するべく、実例を集めていきたい。だが、ここで問題にぶつかる。

全てのモチーフに合わせたおしりを紙粘土で用意するわけにもいかない。

そこで誰が見ても「あ、これはおしりなんだな」と思うような、記号的なおしりを用意することにした。紙粘土で作る。
色付きの粘土を混ぜていく
色付きの粘土を混ぜていく
いくら白を足しても赤が薄まらず袋に分けた結果、心臓っぽくなった。
いくら白を足しても赤が薄まらず袋に分けた結果、心臓っぽくなった。
最終的に濃いめのフォアグラ風に。
最終的に濃いめのフォアグラ風に。
球体をふたつ作り、圧着。
球体をふたつ作り、圧着。
完成「記号的おしり」
完成「記号的おしり」
大小3サイズのおしりができた。これならどんな頭にくっついてもおしりだと認識できるはず。

この「記号的おしり」を、いろいろな「頭」にくっつけていきたい。

はたして胴体は見えてくるのか? 深呼吸して次のページに急げ。
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仮説は実証されるのか

繁華街ならいろいろな「頭」がありそうなので渋谷にやってきた。
渋谷にやって来ました。
渋谷にやって来ました。
ぶらぶら歩いてまず見つかったの頭は、このカエルだ。
いい頭が見つかった
いい頭が見つかった
大きくていい感じの頭である。さっそく裏面におしりをセットする。
おしり側からでは頭が見えず、意味がわからない状態になった
おしり側からでは頭が見えず、意味がわからない状態になった

横向きでもいいっぽい

裏面に付けてみたのだが、顔とおしりが同時に見えず、胴体が見えてくることはなかった。

そこで直角の面におしりをセットしてみる。
顔の右下におしり。なんか…わかる?
顔の右下におしり。なんか…わかる?
とりあえず何らかの関係性を感じる。横を振り向いたキャラクターがおしりを出しているイメージである。どうだろうか。

他の頭もやってみよう。
左右の繋がりがあるかないか。あるだろう。
左右の繋がりがあるかないか。あるだろう。
これも「胴体が見える」程ではないが、何らかの頭とおしりに何らかの繋がりが感じられる。

試しにぼやけたブラシで薄い補助線を引いてみたが、かえってわかりづらくなってしまった。頭とおしりを繋ぐ線は心の中にしかないのかもしれない。

続いて、いっそもう同じ面に貼り付けてしまってもいいのではないかと思いやってみたのがこれ。
ふたつの面が同時に表出しているのは、キュビスムっぽくもある。
ふたつの面が同時に表出しているのは、キュビスムっぽくもある。
一度画面から目を逸らして、パッと戻ってきてみて欲しい。一瞬、この熊のキャラクターがおしりを出しているような錯覚を得なかっただろうか。

しかし、「おしりを出した熊」なんてどこにもない。

そろそろ理解してもらえたのではないだろうか。頭とおしりぼんやりと結びつけてしまう印象、それこそが目に見えぬ胴体なのである。

モヤイ像の胴体が見えるか

渋谷の「頭」と言ったらモヤイ像も忘れてはいけない。触れておこう。
鼻と唇がくっついてる。
鼻と唇がくっついてる。
さっそく裏面におしりをセットする。さあどうだ。
ほくろみたいだった。
ほくろみたいだった。
渋谷のモヤイ像は両面とも顔だった。渋谷に来たのは、ほぼこれを目当てだったのに残念である。まだ見ぬモヤイ像の胴体よ、さらば。

警備員の後ろ姿

サイズ違いのおしりもあるので、こんなこともやってみた。
真面目な警備員さんのイラスト。裏を見ると…
真面目な警備員さんのイラスト。裏を見ると…
出てる!
出てる!
上の2枚を続けて見たあと、「このおしりは誰の?」と聞かれたら「警備員の」と答えたくならないだろうか。

ぼくはなってます。完全に。

実は街中には意外といい頭がない

という感じで街中を歩いてみたのだが、意外とちょうどいい頭がない。

キャラクターの頭が描かれているのは看板だったりすることが多いので、位置的におしりをセットしづらい。また、大きさや距離、モチーフが今回用意したおしりとフィットせず、期待したような結果が得られなかった。
おしりを設置する場所がなかったり
おしりを設置する場所がなかったり
手が届かない場所にあったり
手が届かない場所にあったり
これはこれでおもしろいけど今回やりたいこととは違う。
これはこれでおもしろいけど今回やりたいこととは違う。
じゃあどうするか、ということで秘策を用意した。これでもう異論はないというレベルの秘策を。
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そうだ、自前の顔だ

ちょうどいい頭がないのなら自分で作ればいいのである。はじめからおしりを持って街中を歩き回る必要はなかった。簡単すぎて逆に思いつかなかった。

ということで自分の顔をかたどったボードを用意した。
こういうのは一瞬で用意できます。
こういうのは一瞬で用意できます。
それでは改めてこの図を見て欲しい。
この気持ちをもういちど思い出して。
この気持ちをもういちど思い出して。
白い三角形が見えますね?

つまり、あなたにも欠けた部分をイメージで補う才能が備わっているのということだ。自信を持って、以下の一連の写真を見て欲しい。

きっと胴体がぼんやりと見えてくるはずだ。
室外機スフィンクス。
室外機スフィンクス。
木の幹も体に。
木の幹も体に。
回りこむGIFアニメ。
回りこむGIFアニメ。
少しでも体が見えてきたらぼくの勝ちです。
右脳が鍛えられてきたあなたには見えるはず。
右脳が鍛えられてきたあなたには見えるはず。
のら猫っぽい。これはもう初心者向けですね。
のら猫っぽい。これはもう初心者向けですね。
さあ、ラストスパートだ。一気に行くぞ。
元が他の動物の体であっても…
元が他の動物の体であっても…
乗っ取れる。
乗っ取れる。
空気感を感じ取ってほしい。
空気感を感じ取ってほしい。
頭だけだとさらし首なのに……
頭だけだとさらし首なのに……
おしりを置くと寝そべってる姿が見えてくるはず。
おしりを置くと寝そべってる姿が見えてくるはず。
もはや何もない空間でも大丈夫。
もはや何もない空間でも大丈夫。
ご理解頂けただろうか。

こちらからは以上です。ありがとうございました。

思いついてしまった故に悲劇が生まれる

どうしてこんなことを思いついてしまったのだろう。悲劇はいつも「あのとき、ああしなかったら…」という形で振り返られる。今回も同様だ。

しかし、こうした苦悩も含めた生を肯定せねばなるまい。従って今後も力強く思いつきの仮説を検証していきたいと思う。

でも次は「食べ物に目玉焼きを乗せると卵の値段以上に豪華になった気がする仮説」くらい確実なやつがいい。
(挑発的なお辞儀)
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