リニアの10分の1の時速50kmを目指す
会場は相模原市の北総合体育館。この大会は相模原市制60周年の記念事業だ。
また、2027年開通予定のリニア中央新幹線の新駅が同市橋本駅周辺に決まったことを祝う意味合いもある。
流れるそうめんを見に来た人々
リニアモーターカーのスピードは時速500km。さすがに、そうめんはこれほど速く流せないので、その10分の1の時速50kmを目指すという。
流れるイメージの手ぶり
速く流れそうな選曲
出場は、地元の消防団やスポーツクラブなど6チーム。
整列する選手団
開会前に、公益社団法人相模原青年会議所(相模原JC)・浦上裕生さんの挨拶があった。
大会の実行委員長である
隣のグラウンドでは草野球の試合。ちょうどバッターがきれいな流し打ちをキメたところだ。
世界記録、出るのではないか
スパゲティを流したサッカークラブが優勝
流す麺はきしめん、信州そば、フォー、スパゲティ、ほうとう、チョル麺。各チームが流す麺は抽選で決まる。
ちなみに、きしめん(名古屋)、信州そば(長野)、ほうとう(山梨)はリニア中央新幹線の停車駅予定地というセレクトだ。
麺を盛るスタッフ
いよいよ、大会が始まった。箸で麺を送り出し、いかに早く下まで落とすかというスピード対決だ。
竹の角度は20~25度、長さ10m
麺によって流れやすさは違う
結果、優勝したのはスパゲティを流したサッカークラブだ。
きしめん、そばが苦戦
優勝チームに早く流すコツを聞いてみると、「水の流れにうまく乗せてバーッとやるかんじです」とのこと。
水も流れるイイ男たち
「本物の美味しいそうめんをぜひ食べてほしい」
会場には審査員として、そうめん研究家のソーメン二郎氏もいた。
「そうめんは他の麺に比べて、不当に格下に見られているんですよ!」と憤る彼は、実家が奈良県のそうめん製造販売業者という、そうめんエリートである。
そうめん愛を語るソーメン二郎氏
「ウチの地元の三輪そうめんなんて、奈良時代からありますからね。歴史的にも他の麺に劣りません。あと、声を大にして言いたいのは『本物の美味しいそうめんをぜひ食べてほしい』ということ」
また、会場にはさまざまなキャラクターたちもいた。
ヤー!
左から相模原市のマスコットキャラクター「さがみん」、名古屋市の「はち丸」、和食麺類の外食チェーンを展開するサガミチェーンの公式キャラ「みそっち」。
この日は、「さがみん」と「はち丸」の“おともだち認定”セレモニーも行われた。「リニアでつながるから、すぐ会いに行けるね」というわけだ。
また、徳川家康さんの姿も見つけたので、思わず駆け寄って挨拶をする。
戦国武将隊結成時からの“メンバー”
「長期間の天下泰平のコツは何ですかね?」と聞くと「気長に待つことじゃ。焦ってはいかん」というお答え。ホトトギスの喩えで即答してきた。さすがである。
麺を高圧洗浄機で一気に押し出す
さて、ここからが世界最速への挑戦レポートとなる。流す麺は特製の“リニア麺”。形はリニアと同じ流線型。ちょっと、きしめんに似ている。
リニア中央新幹線の車体カラー
ぬめりが少なく、高い水圧に耐えられるような太麺だ。
竹の角度は30~35度、長さ14m
本気です
シミュレーションの様子がこちらだ。「流しそうめん」の持つ典雅なイメージは、もはやない。
本気です!
ウサイン・ボルトと同じスピードで流れる
流す担当は、相模原青年会議所から派遣された「スーパーリニアブラザーズ」。何度も練習を積んできたという厳選メンバーだ。
本番前にポーズをキメるブラザーズ
ブシャー!
子どもも見守る
着水
最初は時速10~20km程度だったが、数回目になんと新記録が出た。
時速40km
本気を出せば、そうめんは全速力で走るウサイン・ボルトと同じスピードで流れる。約600人のオーディエンスとともに、世界記録達成の瞬間に立ち会えた。
「そうめん業界はアツい」
時速50kmには届かなかったが、リニア開通のあかつきには、ぜひ車両と併走するそうめんを見てみたい。
そして、ソーメン二郎氏いわく、「今年の夏は日清から『カップヌードルライトそうめん』が出るなど、そうめん業界はアツいんです」。
なるほど、僕も「本当に美味しいそうめん」を探してみようと思う。たかが、そうめん。されど、そうめん。