特集 2014年8月11日

ジューという名の食べ物

これでもかこれでもかとジュー
これでもかこれでもかとジュー
ジューという名の食べ物がある。
ジュー。実体はわからなくても、妙にそそられる響き。その時点で、食べ物のネーミングとして成功と言えるだろう。

ジュー。料理の実像を自然と想像させられる名前だとも思う。正体を確かめに行ってきた。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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静かに疑問を投げかける看板

訪れたのは神奈川県厚木市にある中華料理店。ジューを出すんだな、ということが外観からもすぐわかる。
看板の後半が気になる
看板の後半が気になる
「中華そば&」まではいいとして、ジュー。通りがかる人々に静かな疑問符を投げかける看板だ。

店の前は結構な交通量のある道路。通り過ぎたあと「今の店、なんかジューって書いてあったな…」と、モヤモヤを抱えた人も多いのではないか。
シンプルゆえに謎が深まる
シンプルゆえに謎が深まる
「中華そば&ジュー」という虚飾を廃したメッセージ。実体がなんだかわからなくても「ジューなんだな」と思わされる説得力がある。

「Tiffany & Co.」のように、店名を表しているようにも見えるこの看板。しかし、店の名前は別の看板に表示されている。
謎が解けないまま店名にもジュー
謎が解けないまま店名にもジュー
看板によると、店名は「ジュー文華」。謎めいた響きをまとったまま、ジューは店の名前にも食い込んできているのだ。

看板にも店名にも記されたジュー。まさしく「看板メニュー」なのだと思う。店内に入ってみよう。

めくるめくジュー

期待を裏切ることなくジュー
期待を裏切ることなくジュー
中の様子はよくある街の中華食堂といった感じなのだが、壁にかかっているメニューがものすごくジュージュー言っている。擬音ではなく、実際にジュージュー言っているのだ。

右端から、もつジュー・レバージュー・挽肉ジュー・鶏肉ジュー…。順に声に出して言いたくなる。左の方、「餃子野菜スープライス」「野菜焼きそばジュー」と長い名のメニューが並んだ後、「肉ジュー」とシンプルなフィニッシュをしているのも印象的だ。

「これでもかとジューがあるんだね」と思わされるが、まだジューは終わらない。
ネバーエンディングジュー
ネバーエンディングジュー
隣にかかったメニューには、ニラ系のジューが続く。さらには「レバー挽カレージュー」など、トリプルアタックの豪華版もあるのがわかる。

もちろんジューを食べに来たのだが、これだけジューが並ぶとどれを選んだらいいかわからない。こういう時に頼りになるのが、店が推奨するおすすめメニューだ。
全然しぼりきれない
全然しぼりきれない
ただ、おすすめ品にもジューが10種類もあって迷いを断ち切れない。よく見ると「もつージュー」と長音が紛れ込んでいる表記もあって、店側の混乱も読み取れる。

注文を取りに来たおかみさんに一番人気のジューを尋ねたところ、「うーん、好きずきだからねえ…」とのこと。特別なスタージューがいるわけではなく、それぞれが個性輝くジューなのだ。

あからさまにジュー

迷った末に、1つはシンプルな名前が力強い「肉ジュー」を注文。しばらくして実体が登場だ。
皿全体がハアハア言ってるように見える
皿全体がハアハア言ってるように見える
写真では音を直接伝えることはできないが、ビジュアルからでも十分届くのではないかと思う。その名に違わず、思いきりジュージュー言っているのだ。

実体を言葉で説明するならば、鉄板に卵焼きを敷いた具だくさんのあんかけ、ということになるだろうか。すごく変わった料理というわけではないだろう。しかし、こうした料理の一般的な名前はないのも確か。

ならば命名しようではないか、ジュージュー言ってるから「ジュー」、ということだろうか。わかりやすいし、うまそうだ。
大きさのバランスが変なことにじわじわ気付く
大きさのバランスが変なことにじわじわ気付く
このジュー、結構なボリュームで鉄板も大きい。大振りのご飯茶碗と私の顔が一緒に写ると、何がどういう大きさなのかわかんなくなってくる。ゆがんだ空間がそこに誕生するのだ。
まだまだジュージューたぎってる
まだまだジュージューたぎってる
あつあつ状態のまま食べてみよう。…おお、予想していたより、ずっとやさしい味付けだ。

タレの色合いからしてもっと濃い味付けかと思っていたのだが、それほど強くはない。味噌がベースのように思えるが、それ以外の味わいも溶け込んでいて一言では言い表せない全体像。

こうした店でときどき出会う「よくわからないけどうまいタレ」。なんだろうなあこれ、と思うままどんどん食べ進めてしまう。
このあとキクラゲが転がり落ちた
このあとキクラゲが転がり落ちた
もう1つ頼んだのは、野菜焼きそばジュー。数あるジューのラインナップ中、唯一の麺系だ。

高くそびえる盛りつけに迫力がある。肉ジューと違って、こちらは「グツグツグツ…」と低い音が響き渡る音響効果だ。
焼きそばの概念を超えてくる揚げそば
焼きそばの概念を超えてくる揚げそば
野菜たっぷりのあんかけの中には、細い揚げ麺が包まれている。最終的に鉄板で焼いてるから焼きそばってことなのかな…と少し疑問に思いつつ食べると、そんなことはどっちでもいいかと思わされるうまさ。

こちらも見た目の迫力からすると意外なことに、塩ベースの味付けはやさしい。
きっぱりと説得力のある額
きっぱりと説得力のある額
店内には、体によさそうな格言がかかっていた。達筆に見惚れて頭の中で繰り返し読むと、長生きできそうな気になってくる力強さ。

肉・野菜・卵を淡めの味付けでジュージューした料理、ジュー。栄養面でもビジュアル面でも元気が出てくるのはよくわかる。

ご主人、巨人ファンなのかな
ご主人、巨人ファンなのかな

おかみさんの話によると、ジューはこの店のオリジナル料理であるとのこと。以前は支店もあったそうだが、現在ジューという言葉が店名につく店はここだけらしい。

謎めく響きのジューだったが、実物を前にすると「これはまさにジュー」と納得だった。
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