特集 2014年5月2日

「そこそこうまいラーメン」を食べてきた

そこそこうまいラーメンでした(褒め言葉)。
そこそこうまいラーメンでした(褒め言葉)。
「日本人の国民食はラーメン、カレー、ハンバーグ」という説があるそうですが、確かにラーメンもカレーもハンバーグも私たちの食生活に欠かせない身近な存在です。
その中でも、ラーメンは手頃な価格で気軽に食べられるわりにお店ごとの特徴やこだわりが強く出て、好みが細かく分かれる食べ物ですよね。
グルタミン酸の過剰摂取じゃないかと思うような素材を贅沢に使ったうまみの濃いラーメン屋さんが多い昨今、「そこそこうまい」という珍しいラーメン屋さんを発見しました。
1980年北海道生まれ。
気が付くと甘いものばかり食べている偏った食生活を送っています。


前の記事:100年の歴史が生み出す、三色ライスと懐かし写真


そこそこうまいラーメン屋、そこうまラーメン

「そこそこうまいラーメン屋なんて珍しくないだろう」と思われるかもしれません。
まぁとりあえず、こちらをご覧ください。
そこそこうまいラーメン屋『そこうまラーメン』。
そこそこうまいラーメン屋『そこうまラーメン』。
友人から「変な名前のラーメン屋さんがある」という噂を聞いたことがあったのですが、半信半疑というか、ここまで分かりやすい見た目だとは思っていなかったので見かけた時は驚きました。

通りかかった瞬間に、「あ!これだ!」とすぐ分かってしまうほどの分かりやすさ。思わず二度見したほどです。

ここまで「そこそこうまい」ことをアピールするのは、かなり珍しいのではないでしょうか。
「そこそこうまいラーメン屋」がキャッチフレーズで
「そこそこうまいラーメン屋」がキャッチフレーズで
「そこうまラーメン」が店名だろうか。
「そこうまラーメン」が店名だろうか。
よほど謙虚なのか逆に自信たっぷりなのか分かりませんが、とりあえず、その「そこそこうまいラーメン」を食べてみることにしました。

これが『そこそこうまいラーメン』だ

塩ベースの「鶏コクらーめん」と醤油ベースの「醤油煮干しらーめん」がありましたが、お店のおすすめらしい「鶏コクらーめん」を選びました。
これがそこそこうまいラーメン、600円!
これがそこそこうまいラーメン、600円!
こってりしているけれど塩仕立てゆえかくどくはない、鶏のうまみがしっかりと出ているそこそこ濃厚なスープ。そこそこ歯ごたえのある中細麺。

メンマ、そこそこ厚いチャーシュー、そこそこしゃきしゃきした食感のネギに糸唐辛子、芽キャベツのようなそこそこ変わった具材も丼に彩りを添えています。
そこそことろみのあるスープが中太麺に絡みます。
そこそことろみのあるスープが中太麺に絡みます。
何か嫌味っぽい文章になりましたが、ただ「そこそこ」って言いたいだけです。すみません。

正直なところ、美味しかったです。
名前が気になったことと600円という都内のラーメン店としては安価な価格設定と、「まぁ600円ならそこそこの味でもいいや」といった、好奇心と妥協とが入り混じった心境で食べたラーメンですが、美味しいラーメンで大満足でした。

過剰ではないほどよいこってり感のあるスープにしゃきしゃきしたネギの食感や芽キャベツの甘みと苦みがちょうどいいアクセントになって、投げやりな店名とは裏腹に、おいしく食べられるよう考えて作られたラーメンだと感じました。
チャーシューも柔らかくておいしかったです。
チャーシューも柔らかくておいしかったです。
ぶれてますけど、芽キャベツです。
ぶれてますけど、芽キャベツです。
また、100円追加すると、残ったスープにご飯を入れておじや風に食べる「スープインライス」も楽しめます。

ご飯のトッピングをチーズ・明太子・高菜・あおさの4種類から選べます。

おすすめをうかがうと「チーズですね。他ではあまりない味だと思いますよ」とのことで、チーズにしてみました。
削ったチーズたっぷり。
削ったチーズたっぷり。
写真は汚いですが味はおいしいです。
写真は汚いですが味はおいしいです。
そこそこ濃厚な鶏白湯スープにチーズが加わったことで、かなり濃厚で洋風な味わいになりました。おしゃれ居酒屋の創作ドリア、と言われたら信じてしまいそうな味です。

日頃ラーメンを食べる時はスープを残してしまうことが多いのですが、今回はスープも最後まで味わうことができました。
麺にご飯に、おなかいっぱいです。
麺にご飯に、おなかいっぱいです。

遊び心のある社長(寿司職人)と誠実なベテラン大将

店名以外にも気になっていたことがいくつかあったので、食べ終わってから大将に少しお話をうかがってみました。

この呼び方が正しいのか分かりませんが、私の中では『ラーメン屋のベテランっぽい店員さんは大将、女性だったら女将』ということになっています。

まず、最初に気になったのが、このお店はチェーン店なのかということ。

いやいや、『そこうまラーメン』なんてチェーン店聞いたことないよ、と思われるでしょうが、私も聞いたことありませんけど、店構えからチェーン店のような手堅さというかこなれた感じというか、そんなものを感じたんです。

例えば、店頭で掲示されているこのメニュー。
「ナイスイン!」とか、個人経営とは思えない考え込まれた感じがする。
「ナイスイン!」とか、個人経営とは思えない考え込まれた感じがする。
「チェーン店ではありませんが、親会社があるんです。」

何でも、人形町で寿司屋『江戸久』を経営する野田屋という会社が新業態として始めたのが、この『そこうまラーメン』だそうです。
そういわれてみれば、看板とか丼に野田屋って書いてありました。
丼の模様になっている『野田屋』の文字。
丼の模様になっている『野田屋』の文字。
ここが空き店舗になっているのを見た野田屋の社長さん、「この店の作りならラーメン屋ができる」とひらめいて、居抜きでラーメン店を開くことにしました。
が、寿司職人の社長はラーメンのことは分からなかったので

「もともと社長と縁もありまして、入社してこの店を任されることになりました。」

とのこと。
大将はラーメン歴20年のベテランだそうで、そりゃラーメンも美味しいわけです。
いかにもラーメン屋さんな雰囲気ですが、
いかにもラーメン屋さんな雰囲気ですが、
以前は立ち食いそば屋さんだったと聞いて納得。
以前は立ち食いそば屋さんだったと聞いて納得。
「そこうまラーメン」という店名を考えたのも社長だそうです。
のれんにも『そこうまラーメン』の文字。
のれんにも『そこうまラーメン』の文字。
「そこそこに美味しいものを出したいという希望と、ちょっとしたおふざけですね。こういう遊びが好きなんですよ、社長は。満席の案内も社長のアイディアなんです。」
「珍しく満席の場合は」。謙虚すぎるだろう。
「珍しく満席の場合は」。謙虚すぎるだろう。
塩ラーメンだけに「いちしお!」
塩ラーメンだけに「いちしお!」
ドリンクが全体的にひどい。
ドリンクが全体的にひどい。
こんな質問にも丁寧に答えてくれる誠実な人柄がうかがえる、この道20年のベテランの大将。「そこうまラーメン」なんて名前のお店を切り盛りすることに抵抗は無かったのでしょうか。

「いえ。600円という価格を維持して美味しいものを提供しようとすると、味を追求したものというよりは、確かに『そこそこおいしい』ものになってしまいますから」

という、ベテランのプライドとやはり誠実な人柄が感じられる回答をいただきました。
ちなみに、スープインライスは「残しがちなスープも、最後まで味わってほしい」と思った大将のアイディアだそうです。

常連さんからは
「『そこうま』とか付けてハードルを下げておいて美味しいものを出す、というのを狙ってるんだろう」
なんて言われることもあるそうですが、ネタ的なお店かと思って入ってみたら真っ当で美味しいラーメン屋さんでびっくりする人も多そうです。

ラーメン大好きな方も、そこそこ好きな方も、是非一度『そこうまラーメン』を試してみてください。
お勧めは、鶏コクラーメン+スープインライス(チーズ)です!

「そこそこおいしい」と言いつつ、しっかりおいしいラーメンです。

麺類は好きだし、家で適当に作って食べるラーメンは好きなんですが、行列のできるラーメン店とか頑固親父とか独特な注文方法とか、そういった雰囲気に苦手意識を持っていて、あまりラーメンは好きじゃないと思ってこれまで生きてきました。

『そこうまラーメン』は、大将の物腰も柔らかいしメニューも明快で、私のようなラーメン初心者にも安心のお店でした。ラーメン通じゃない人にこそ行ってほしいお店です。

そういえば、お店に歌手クリス・ハートさんの開店祝いがあったのですが、『江戸久』の常連さんという縁でくださったのだそうです。

「まぁ、うちには来てくれたことはないんですけどね」
とのことなので、クリス・ハートさんにも是非一度行ってみてほしいと思います。
クリス・ハートさんも是非お試しください!
クリス・ハートさんも是非お試しください!


そこうまラーメン
住所:東京都中央区日本橋富沢町14-4
電話番号:03-6661-6065
営業時間:11:00~16:00、17:00~21:00
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