特集 2014年4月8日

バブルフットボールが意外と激しい

文字通りの体当たり取材
文字通りの体当たり取材
個人的にマイナースポーツとか変な競技が好きなので、たまに「なんか面白いのやってないかなー」と検索をかけることがある。
今回ひっかかったのが、「巨大な風船をかぶってボヨンボヨンするサッカー」である。なんだよ、もうそれだけで楽しそうじゃないか。
しかもタイミングの良いことに都内開催の会期が近い。ぜひともボヨンボヨンさせてください、と取材をお願いしてみた。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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東京タワーの足元でボヨンボヨンする

「巨大な風船をかぶってボヨンボヨンするサッカー」の正しい競技名は『バブルフットボール』。
東京タワーの足元にあるラブスポ東京というスポーツ施設が主催となっている。
風船かぶり日和の東京タワー。
風船かぶり日和の東京タワー。
実はこの日が人生初の東京タワーだったのだが、観光的な要素には目もくれず、巨大風船をかぶってサッカーをやりに来た次第である。
ラブスポ東京、東京タワー3Fにあります。
ラブスポ東京、東京タワー3Fにあります。
このラブスポ東京は、東京タワー周りを走っているランナー向けに更衣室やシャワーを提供しているサロンなのだが、それ以外にも東京タワーの展望台で早朝ヨガイベントをやったりと、いろいろと面白いことをしている施設である。

それにしたってバブルフットボールは面白さの振れ幅が大きすぎるだろう、という気がしなくもないが。
まずは受付を済ませます。
まずは受付を済ませます。
受付で必要な書類を書いてから更衣室で着替えを終わらせると、さっそくチーム分けが始まった。

といっても、ラブスポ東京のスタッフさんが参加者の男女比率やら何やらを考慮して事前に振り分けてくれているので、名前を呼ばれたらチームカラーのビブスを受け取るだけだ。
チームのユニフォーム着た人とか結構いた。
チームのユニフォーム着た人とか結構いた。
メンバーの中には友達同士やフットサルチームでの参加もあったが、そういうのはちゃんと同じチームになるように設定してくれている。
っつか、サッカーとかフットサルとかやってる人がガチで参加するような競技だったのか。
どちらかというとふざけ半分で考えていただけに、少し緊張感が高まる。
グリーンチーム、がんばります。
グリーンチーム、がんばります。
僕は、女性多め、あとサッカー経験者の男子が少し、というグリーンチームに入れてもらった。
なんというか、とりあえず和気あいあいな感じで一安心である。

全員のチーム分けが完了した時点で、いよいよ会場へと移動する。
東京タワーの外に出ると、はとバスの近くにハトがいた。
東京タワーの外に出ると、はとバスの近くにハトがいた。
徒歩15秒の東京タワーメディアセンターへ。
徒歩15秒の東京タワーメディアセンターへ。
どこかフットサルコートへでも移動するのかと思っていたのだが、会場は、タワー隣接のメディアセンターだった。
ここはもともとテレビ東京の本社だったところで、収録スタジオなど広いスペースが使えるのだ。
スタジオ広い! あと、なんかでかい風船転がってる!
スタジオ広い! あと、なんかでかい風船転がってる!

とにかく風船が楽しすぎる

うわー、テレビ用の収録スタジオ、広いなーとテンション上がっているところに、今から僕たちがかぶるであろう大きな風船がごろごろと転がっている。
広いのと風船とどっちにテンション上げていいのか分からなくなってちょっと混乱した。
今からこれをかぶってボヨンボヨンするのだ。
今からこれをかぶってボヨンボヨンするのだ。
参加者全員が風船をかぶりたくてソワソワし始めたのを察したのか、ラブスポ東京のスタッフさんによる、風船のかぶり方を指導してくれた。
こうやって、こうかぶります。
こうやって、こうかぶります。
風船は真ん中に穴が空いているので、そこにズボッと体を通して、中の黄色いベルトに腕を通して固定する。
風船の大きさは直径約1.5m、重さは11kgある(意外と重い)。それをベルトを掴んで持ち上げ、かぶるのだ。
このベルトを掴んでズボッと。
このベルトを掴んでズボッと。
そうです、私が風船マンです。
そうです、私が風船マンです。
風船は空気でパンパンに膨れあがっているので穴の中は結構な圧迫感があるのだが、その代わりに「これなら転んでもひっくり返っても絶対に怪我しない」という安心感がある。やばい、これ超たのしい。もう今すぐ転がったり体当たりしたい。
上から見るとこんな感じ。風船に包まれてる安心感が楽しすぎて笑える。
上から見るとこんな感じ。風船に包まれてる安心感が楽しすぎて笑える。
他の参加者も、風船をかぶった瞬間に楽しくなりすぎてみんな笑っている。
人類が全員この風船をかぶったらきっと地上から戦争はなくなるぞ、ぐらいの楽しさだ。
これ、どこに提案したらいいんだろう。国連か?ユネスコ?

ただ、もしも人類全員が風船かぶった星に銀河鉄道999が停まったとしたら、去り際に鉄郎とメーテルが「変な星だったね、メーテル」「そうね…風船をかぶることでしか解り合えなかった愚かな人たちの星…」とか不愉快な会話をしそうな気もする。
風船の中からの視界はこんな感じ。
風船の中からの視界はこんな感じ。
ビニール越しの視界の悪さもまた楽しい。

痛くないってすごい

さて、風船をかぶった後は、バブル相撲(ぶつかり方の練習)やバブルロワイヤル(集団での体当たり練習)を準備運動として行う。
バブルロワイヤル。円周からみんなでワーと体当たりしあう。
バブルロワイヤル。円周からみんなでワーと体当たりしあう。
ワーと倒れる。みんな倒れて転がりながら笑ってます。
ワーと倒れる。みんな倒れて転がりながら笑ってます。
とにかく、体当たりしても倒れて転がっても、まったく痛くない。
最初はおっかなびっくり当たっていた人も、何回かやって痛くないことが分かったら、ゲラゲラ笑いながら体当たりして、転がっていく。なんだこのテンション。

試合開始

ひとわたり風船をかぶってのぶつかり稽古が終わったので、いよいよ本番。
風船かぶるだけで充分に楽しくなっていたのだが、ちゃんと試合もするのだ。
風船かぶって笑ってないでー。試合始めますよー。
風船かぶって笑ってないでー。試合始めますよー。
今回は5チーム総当たり戦。
今回は5チーム総当たり戦。
バブルフットボール、基本的なルールは屋内でやるフットサルと同じとのこと。とはいえさすがに風船かぶったままで詳細なファールまで取っていると試合にならないそうで、バブルフットにおいてのファールは大きく3つだけ。

1)オーバーボール
風船でボールの上に覆いかぶさった状態。このままだと他のプレイヤーがボールに触れないので、中断後、相手ボールとして再開。
これは確かに触れない。
これは確かに触れない。
2)ヘッドイン
風船の真上、穴の部分にボールがすっぽり入った状態。これもどうしようもないので、中断して相手ボールに。
風船の中にボールが入ってる。
風船の中にボールが入ってる。
3)無茶な体当たり
最後に、ボールを持ってないプレーヤーにはあんまり無茶な体当たりしてはいけない、とのこと。「絶対にしてはいけない」ではなく「あんまりするな」というのがいかにもゆるくて楽しい。あと、ボールを持っているプレーヤーにはがんがん当たっていい。

というか、バブルフットボール自体がとにかく体当たりありきで作られたスポーツなので、体当たり禁止なんかしようがないのだ。

なんせ試合開始が、合図と共に両サイドから全員でワーと中央に置かれたボールに向かって殺到する、というものだからだ。(点が入ってのキックオフも全部これ)
これがバブルフットボールのキックオフだボヨーン。
これがバブルフットボールのキックオフだボヨーン。
とにかく当たる。倒れる。転がる。
当たる方も倒れる方も痛みがないものだから、遠慮も何もない。
こんなにも遠慮なしで他人に向かって体当たりする体験って、今までの人生でも無いんじゃないか。
ボヨンボヨンいくボヨ。
ボヨンボヨンいくボヨ。
まだ風船に慣れておらず、さらに視界が悪いことも相まって、とにかく敵も味方もお構いなしで当たる。
ダブルノックダウン×2。
ダブルノックダウン×2。
今回、こういうgifを作る用に連写したこともあり3時間ほどの取材で撮影枚数2000枚を超えてしまったのだが、写真の大半がこういう体当たって転がるシーンばかりで、まともにサッカーっぽいプレイをしているところがあまりない。
たまたま撮れた、数少ないサッカーっぽいプレイその1。
たまたま撮れた、数少ないサッカーっぽいプレイその1。
ちなみにキーパーも基本的にはあまり決めず、たまたま自陣近くのゴール近くにいた人が体を張って守る、みたいなチームが多かったようだ。上は、キーパーによるヘディングシーン。
たまたま撮れた、数少ないサッカーっぽいプレイその2。
たまたま撮れた、数少ないサッカーっぽいプレイその2。
こちらは、ゴールは防いだもののキーパーがボール代わりにゴールに押し込まれたシーンだ。点数にはならないが、やられるとけっこう目が回る。
たまたま撮れた、数少ないサッカーっぽいプレイその3。
たまたま撮れた、数少ないサッカーっぽいプレイその3。
キャプション2
たまたま撮れた、数少ないサッカーっぽいプレイその4。
あとは、それこそフットサルをやっているチームで参加した上手い人たちのプレイダイジェスト。きちんとボールを蹴っているのでサッカーに見える。
風船をかぶっていると足元も見にくいので、真っ当なプレイが実はとても難しい。こういうちゃんとしたサッカーっぽいプレイがあると、周囲から「おおー」という賞賛の声が挙がっていた。
得点の喜びをあらわす前転。
得点の喜びをあらわす前転。

作戦タイムがちょっと苦しい(風船あるある)

さて、上手いチームの戦いばかりを眺めていても仕方ない。
総当たり戦なので、僕のいるグリーンチームももちろん試合はすることになる。
礼儀正しく見えるが、作戦タイムです。
礼儀正しく見えるが、作戦タイムです。
じゃあ試合前にどういう作戦でいこうかとチームメイトと打ち合わせしておこうと思ったのだが、なんと風船の中にいると他人の声がめちゃくちゃ聞き取りにくい。
どうするかというと、お辞儀するように頭上の穴を相手に向けて、できるだけ大きな声で話すのだ。

他のチームも試合中にところどころこういう仕草をしていたので「何をやってるんだろう」と思っていたのだが、この姿勢でないと「ナイスシュート」とか「痛くない?」とかそういう声かけも通じないのだ。
脳内で『Miss a Thing』(映画:アルマゲドンの主題歌)が流れる出撃シーン。
脳内で『Miss a Thing』(映画:アルマゲドンの主題歌)が流れる出撃シーン。
さらにこの姿勢が微妙に腰に来るので、あまり長時間の作戦タイムはとれない。
「キーパー、誰がやりましょうか」
「えー、ゴールの近くにいる人が適当に守りましょう」
「じゃ、そういうことで」
作戦と言ってもこれぐらいのサックリしたものである。

さあ、準備も出来たし、いざ体当たってくるぞ、オー。

グリーンチームかく戦えり

ここでエアロスミスを歌って盛り上げても仕方ないので、結果を言ってしまえば、グリーンチームは5組中ダントツの最下位であった。
なんか写真も倒れてるのばっかり。
なんか写真も倒れてるのばっかり。
吹き飛ぶチームメイト。
吹き飛ぶチームメイト。
ハーフ5分、前半後半合わせて10分間の試合、風船をかぶったままでボールを追いかけるのは想像していた以上にきつい。
体のあちこちをベルトで締め付けて運動する加圧トレーニングというのがあるが、考えてみたら風船の空気圧でみっちり体全体を締め付けられてる状態もなかなかそれに近い。
吹き飛ぶ僕。
吹き飛ぶ僕。
あと、当たったり倒れたりした事に対しての痛みは確かにないのだが、衝撃はちゃんと体に受けている。
例えば「体育会系で体をキッチリ鍛えてる大柄な男性80kgが11kgの風船をかぶり、遠慮なしに猛ダッシュ&空中を飛んで体当たりしてくる」のを受けて吹っ飛ぶ自分を想像して欲しい。
正味のところ衝撃の度合いだけで言えば、マイルドな交通事故(痛くはない)みたいなもんである。
しばらく声も出ないぐらいバテた。
しばらく声も出ないぐらいバテた。
体感したコツとしては、体当たりされたことに対して足を踏ん張らないこと。当たられたら素直にボヨーンと吹き飛んで転がった方が衝撃も受け流せるし、不要な体力も使わない。

僕はそれに気付かず、しばらく無理して踏ん張って体当たりを受け止めていたので、一試合目前半でもうフラフラになってしまった。
おい予想以上に激しいぞ。
おい予想以上に激しいぞ。
バブルフットボール、すごい楽しいけど、思っていた以上にハードスポーツである。
ぶっちぎりの負け。
ぶっちぎりの負け。
最後は、勝利チームの表彰(優勝チームにはドリンクが振る舞われた)と記念撮影でシメ。
参加された皆さん、お疲れ様でした。
最前列が優勝のブラックチーム。いま写真で見ても強そうだなこの人ら。
最前列が優勝のブラックチーム。いま写真で見ても強そうだなこの人ら。

今さらながらにバブルフットボールってなんだ

終了後、日本でバブルフットボールを主催しているラブスポ東京の方にお話を聞くことができた。風船をかぶったままで。
見えにくいけど、左が吉田さん。
見えにくいけど、左が吉田さん。
ラブスポ東京を運営している、株式会社エコLOVEの吉田さんだ。
お話を伺おうとしたら、「せっかくだからアレかぶって話しましょうか」と言われた。
ああ、さすがこういうばかスポーツイベントを企画している人だな、と一瞬で納得した。
この姿勢でないと話ができないって言っただろ。
この姿勢でないと話ができないって言っただろ。
あと、風船の中ではメモも取れないし録音もできない。しかも聞き取りにくい。インタビューには驚くほど不向きな環境だった。
とりあえず吉田さんから教えていただいた内容の覚えている部分だけを書き出してみる。

「バブルフットボールって、もともとはノルウェーのサッカーチームがテレビのバラエティ番組でやり始めたのが最初らしいです」
「先日参加した現役でサッカーやってる17歳の子たちが風船かぶってもめちゃくちゃ上手かった。あの子らならバブルフットのプロになれる」
「もっと変なスポーツを考えたい。今度は床と壁がぜんぶトランポリンになってるコートでドッジボールやりたい」

吉田さん超面白そうなこと言ってる。
トランポリンドッジが実現した際には、ぜひまた挑戦したい。
取材同行してくれた編集部藤原くんも転がってみたかったらしい。
取材同行してくれた編集部藤原くんも転がってみたかったらしい。

バブルフットボール、あれほどハデに転がっても痛くないという体験だけでもする価値があるので、気になる方はぜひ挑戦して欲しい。
今後はゴールデンウィークに関西大会、5月後半にはまた東京で大会を企画しているとのこと。なんとどちらも優勝チームには賞金が出るらしい。

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チームメイトのみんな。おつかれさまでしたー。
チームメイトのみんな。おつかれさまでしたー。
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