車窓から見えた「PORT STORE」のナゾ
電車を乗り継いで向かったのは、江東区の新木場駅。このあたりは、江戸時代に貯木場だった場所だ。
2005年に取り付けられたケヤキ製の巨大看板
都バスで飛ばすぜぃ
途中、車窓からサークルKサンクスが見えたが、店名は「PORT STORE」となっている。後で調べたら、東京港湾福利厚生協会という団体が運営する港湾労働者用の「売店」なんだそうだ。
なるほど。早く火を焚きたい
バスに揺られること15分。目的地の若洲公園に到着した。敷地内にキャンプ場やサイクルコース、海釣り施設などを擁する広大な公園だ。
このすぐ先は東京湾
2月に大雪が降って中止になったため「スライド開催」なのだ
どーん!
本物の火を見たことがないという子どももいる
イベントを主催するのはバーベキュー場の管理・運営などを手がける「
株式会社ヒーロー」。社名がかっこよすぎる。担当の高田勝さん(50歳)によれば、各メーカーの焚火台や薪ストーブの展示・実演が目的で、今回は2回目の開催とのこと。
公園の入場料が300円でイベント参加は無料
「どちらもアウトドアショップの店内で試せないでしょう。このイベントでは実際に火を焚いて、その使い勝手を体感できるんです」
実演中の焚火台
「あとは、子どもたちに生きている火と触れ合う機会を作ってあげるのも大事かなと。オール電化の家でお父さんもたばこを吸わないとなると、本物の火を見たことがないなんていう子どももいるみたいですよ」
こちらのタイプは4000~5000円台
聞けば、高田さん自身も焚火好きで、「ずっと見ていても飽きない」というところで意見は激しく一致した。
未来のタキビストたち
大人はマシュマロを焼く
こちらは薪ストーブのコーナー
焚火師匠と5年ぶりの邂逅
会場内を散策していると、災害時に役立つアウトドアのノウハウを提案する団体「
STEP CAMP」が運営する「ケリーケトル体験コーナー」があった。どうやら、焚火でお湯を沸かすことができるヤカンのようだが…あれ!?
「焚火のスキルが身につく」という触れ込み
なんと、このコーナーをプロデュースしていたのは、焚火カフェ「
3knot」の主宰者で、僕にとって焚火の師匠でもある寒川一さんだった。
道場主ブログでも、以前取材させてもらっている。
5年ぶりの邂逅に焚火並みの熱い握手を
「おお、焚火兄弟じゃないか! 久しぶり」。取材時には中学生の息子さんが「デイリーポータルZ」の大ファンだと言っていたが、今では彼も大学生になり、バンド活動をしているそうだ。何系のバンドかは聞き忘れた。
ちなみに、ケリーケトルの内部構造はこんなかんじ
感動しつつ師匠のもとを離れ、再び会場内を散策をしていると、高田さんが面白いものを見せくれた。レゴブロックのように凹凸のあるレンガを組み立てて、手軽にバーベキュー台を作れるというアイデア商品だ。
他にも、本格的なピザが焼ける「石窯タイプ」がある
松ぼっくりのキャンドルは1袋945円
日没からが焚火ワールドの真骨頂
そうこうしているうちに、日没の時間が近づいてきた。
東京湾のサンセット
ランタンにも火が灯る
17時。満を持して「焚火Bar」がオープンした。「焚火Bar」…この甘露な響き。
「白州のハイボール」(600円)を注文
スタッフの若者に焚火は好きかと問えば、「無になれるかんじが好きですね。できれば、こういう風に仕事じゃなくてプライベートでやりたいっす」とのこと。よいね。
フードコーナーでは「赤ワイン漬牛肩バラ肉」(600円)を焼いている
会場中央には焚火スペースがセッティングされていた。ほろ酔い気分になったところで、火と戯れようではないか。ちなみに、薪のくべ方にもセンスが出る。
あまりセンスがなさそうな写真
火を見る
無心で見る
焚火業界の火を消さないようにしないと
最後に師匠と火を囲んだ。彼いわく、「焚火業界はここのところずっと横ばい状態。その火を消さないようにしないとね」。しばし歓談したのちに、後ろ髪を引かれつつ会場を後にする。その後はジャケットに染み付いた煙の匂いを肴に、門前仲町の居酒屋で静かに杯を傾ける夜となった。