特集 2013年9月16日

雑学の書き方をマスターしたので養老渓谷に行く

ハイキングの出来事も雑学みたくなるのか?
ハイキングの出来事も雑学みたくなるのか?
密かな鍛錬によって星新一風の雑学文体をマスターした。この技術を使えば、どんなことでも雑学風の知的な感じに表現できると自負している。

この雑学文体を使えば、あらゆる物事がいかにも高尚に見えてくるはずだ。たとえば、養老渓谷ハイキングとか。

試してみよう。
1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。(動画インタビュー)

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雑学文体をマスターした

先日、デイリーポータルZ友の会のグッズ「デイリーの雑学コレクション」の文章をまとめる作業をした。デイリーポータルZの過去記事の中から雑学をピックアップして、もっともらしい文章に仕上げたわけだ。

そのときに参考したのがSF作家のアイザック・アシモフが書いた「アシモフの雑学コレクション」だ。翻訳は星新一で、例のさっぱりとした文体で書かれている。
参考にした本と、出来上がった本
参考にした本と、出来上がった本
この本をお手本にしながら、デイリーポータルZに掲載された知識を簡潔にまとめ、一言でバシッというとそれっぽくなる。原稿作成を通して、僕は「雑学文体」をマスターした。

どんなものか、ちょっと「デイリーの雑学コレクション」から抜粋してみよう。
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こんな感じである。どうだろう。よくわからない人、これが雑学の文体なので覚えておいてほしい。とにかく、僕が雑学文体をマスターしたことがわかってもらえただろうか。

今ならなんでも雑学にできる

我ながらよくできたと自負しているのだが、それに留まらず「今の僕ならなんでも雑学みたいに表現できるのでは?」と思い始めた。

これならばより雑学とはかけ離れた状況、例えば、旅行で気づいたことも、もしかしたら雑学風にできてしまうかもしれない。

旅の模様と雑学と

ここから先は旅の出来事を綴った文章中に、ちょっと気づいたことを雑学風に挿入していくことにする。

ということで僕は千葉県の養老渓谷に向かうことにした。滝を見にハイキングしにいこう。紅葉には早いけど、夏の終わりかけという気候もいいだろう。

東京湾を渡るのにアクアラインを通ったので、途中で海ほたるに寄った。
途中でアクアラインを通ったので海ほたるに立ち寄った
途中でアクアラインを通ったので海ほたるに立ち寄った
オフ会禁止
オフ会禁止
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こういう感じで雑学を挟んでいこうと思う。

さて、海ほたるではお昼ごはんを食べたりしたが、先を急いでいたので特筆すべき発見はなかった。

そしてアクアラインを通りぬけ、千葉県に突入。千葉に入ると、さっきまで海だったはずなのに、あっという間に景色は山になってきた。
海と山が近いなあと、埼玉県民の僕は思った
海と山が近いなあと、埼玉県民の僕は思った
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雑学っぽく表現するとこうか。知識としての価値はほぼゼロであるが、「言い切り」からの「簡潔な理由説明」の形を繋げることで、これもまた雑学っぽくなっている。

そうこうしているうちに、小湊鉄道・養老渓谷駅についた。たぶん養老渓谷はここから近いのだろう。
こぢんまりした駅だが、足湯に入ることができる
こぢんまりした駅だが、足湯に入ることができる
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養老渓谷駅近くはなにもない

養老渓谷駅のまわりは、あまり賑わった雰囲気ではなかった。定食屋兼おみやげ屋と、観光案内所、そしてコンビニ(ヤマザキショップ)があるだけだ。しかも平日なので観光案内所は休館日だった。
観光案内所は休館日だった。
観光案内所は休館日だった。
駅近くで見かけた味のある看板
駅近くで見かけた味のある看板

養老渓谷駅前のコンビニは一体どうなっているのか

さてヤマザキショップだが、こういうところにある店舗は街のコンビニとどうちがうのだろうか。見てみよう。
いきなり植物の種が売られているのが見えるヤマザキショップ。
いきなり植物の種が売られているのが見えるヤマザキショップ。
豚のフンと鶏のフンが売られていた。
豚のフンと鶏のフンが売られていた。
はじめて見る道具もある。
はじめて見る道具もある。
これも近くのコンビニではあまり見られないものだ。急に必要になるものなのだろうか。 雑誌や食品以外の雑貨の中は、かなり古びているものもあった。
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養老渓谷近くの駐車場へ

駅の人に話を聞くと、ここから養老渓谷に歩いて行ってハイキングするのには、少し道のりがありすぎるという。もう少し車で近づいてみることにした。

そして車を走らせていると、こんな看板があった。
「右折していらっしゃい!」という思いが強すぎる。
「右折していらっしゃい!」という思いが強すぎる。
皆生きるために必死なのだ。
皆生きるために必死なのだ。
過剰な呼び込みである。商売に対して愚直なのか商売がへたくそなのかわからないが、なんだかおもしろかったのでこの駐車場に停めることにした。
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ここを管理しているおじさんに駐車料金を支払い、どのように歩いて行けばいいのか説明を聞いた。そしてサービス品の梅干しをもらった。サービス品が梅干し3つなのは、昔話のようでいい。

謎の八人塚

おじさんに説明された通りに歩き出すと、「八人塚入り口」と記された看板があった。名前だけは書いてあるが説明はどこにもない。

「何だろう?」と小道を進むと、「八人塚」と書かれた石が設置されていた。これもまた説明書きのようなものはない。
何だろう八人塚って。
何だろう八人塚って。
小道を進むと……。
小道を進むと……。
「八人塚」と書かれた碑が立てられていた。
「八人塚」と書かれた碑が立てられていた。
小道の先に現れた八人塚は、一切が謎に包まれていた。

ちょっとそのままにしておくと気になるので、家に帰って調べてみた。すると、なんだか悲しい歴史があるようだった。

謎に包んだままにしておけばよかった……。
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幻の滝!

もとの道を進むと、小沢又の滝(幻の滝)があった。この滝は個人で管理されているようだ。料金を払って入る。
幻の滝入り口
幻の滝入り口
入ると休憩スペースがあった。天狗だったりゴリラだったり、人形や仮面などいろいろ飾られていたが、いったいどうしたというのだろう。おもてなしの心なのだろうか。
どうしてこのあたりの人は……。
どうしてこのあたりの人は……。
こういうことをしてしまうのだろう。
こういうことをしてしまうのだろう。
休憩スペースの先には見晴らしのいい場所があり、見下ろすと滝が見えた。ちょっと遠いがなかなかの滝だということはわかる。

急な道を下れば近くに行けるようだったので、行ってみることにした。
来てみた。
来てみた。
滝だ。

滝を近くで見て、僕は何を思えばいいのだろうか。ちょっとまだわからなかった。眺めて、「流れ落ちてるなー」という感想しか浮かばなかった。

そしてまたきつい階段を上って先に進む。
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養老渓谷を歩く

さらに先には、渓谷の川沿いに「粟又の滝自然遊歩道」という2kmくらいの道が整備されている。そしてその道沿いに滝がいくつかあるらしい。
養老川沿いに歩いていく。
養老川沿いに歩いていく。
前日に雨が降ったおかげで川の流れは綺麗ではある。しかし、いまいち何を楽しめばいいのか分からず、ぼんやりとハイキングをする。紅葉が始まっていればまた違った感想なのかもしれないが……。
川のどまんなかに石が積まれていたのに気がついた。
川のどまんなかに石が積まれていたのに気がついた。
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石が積まれているのを見て、嘘の雑学を思いついた。そしてはっと意識を取り戻した。滝、見てなかった。

駐車場のおじさんからもらった地図を見ると、最初の滝は見逃していたことに気がつく。戻るか。いや、まあいいか。

岩を見る

とは言え、ただ無意識のうちに歩いているだけではもったいないと考えて、変な形の岩を集めることにした。
縦にスーッとくぼみがある岩
縦にスーッとくぼみがある岩
水面にぼこっと頭を出したような岩
水面にぼこっと頭を出したような岩
やっている最中はかなり楽しかった気がする。しかし写真で見てみると、何がいいのかさっぱりわからない。
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名も無き滝

さらに歩いていると、地図に記されていない名も無き滝があった。多分滝だと思う。そうでなくても僕には滝のように見える。

途中に滝はあったが、それよりもひっそりと佇む流れている滝のほうが渋くていい。名前がついていないのもかっこいい。雨が降った翌日にしか流れていないのかもしれない。レアだ。これにはちょっと興奮した。
名も無き滝がエモい。
名も無き滝がエモい。
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本命・粟又の滝を見る

そして遊歩道の最後(僕は逆行したので本当は最初らしい)には、栗又の滝があった。さすが名瀑と言われるだけあって迫力がある。滝は滝だがこのくらい大きければすごさが分かる。
滝の流れの下にある岩がつるつるなところがいい
滝の流れの下にある岩がつるつるなところがいい
「なかなかだなあ」と写真を撮っていたら、滝の水面から上半身を出したままじっとしている若い男女がいた。上の写真の右下に写っているのは、幽霊などではない。

秋にはまだ早いが、夏とも言えないこの季節。水はもうかなり冷たくなっている。それなのに若者は楽しそうにしている。

「ほら、泳いじゃいなよ~」
「え~冷たいって~」

そのような会話をしているようだ。結局ふたりは泳いだ。若さ!
なんだか盗撮みたいになってしまった。滝を見に来たはずなのに。
なんだか盗撮みたいになってしまった。滝を見に来たはずなのに。
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いいものを見ることができた。(いいものとは「若々しさ」のことだ。)若者の存在に気づいた他の観光客も、若者がはしゃぐ様子を撮影していた。

このあたりで、今回の旅を締めくくりたい。

文体だけはマスターした、で、どうするか

このように思い出に雑学のような文を入れていくと、なんというか思い出がキュッと引き締まる気がする。いわゆる名言やコピーとも似ているが、雑学文体はとてもシンプルで伝わりやすい。

内容は適当なのにちょっと立派なことを言ったように見えるのも利点だ。雑学を見つけ出す観察眼を養うのは大変だが、文体をマスターするのは簡単だ。

現時点でまるで役に立つ能力じゃないので、今後、使える場を積極的に見つけて行きたい。
まったく関係ないが、帰り道に見かけた看板がものすごく怖かった。
まったく関係ないが、帰り道に見かけた看板がものすごく怖かった。
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