まずはミスドから。
現代日本でドーナツを語る上で避けては通れないのがこちら、ミスタードーナツではないでしょうか。
ミスタードーナツ箕面ショップ。関東から大阪まで行ってミスドかよ!って言われます。
日本初上陸から40余年、全国に1300もの店舗数を誇るミスタードーナツ。
誰もが一度は口にしたことがあるだろうミスドは、いわば日本のスタンダード・ドーナツです。ドーナツ界において『どん兵衛』に相当する存在と言えましょう。
オーソドックスにオールドファッションとアイスコーヒー。
トレイ後方に不自然に皺だらけの袋がありますが、比較のために東京で買ってきたものです。
フレンチクルーラーやハニーディップでは長距離移動でグレーズが溶けたり形が崩れたりするだろうと思い、今回の検証ではオールドファッションを選びました。
私と一緒に旅したミスド袋。
(左)東京オールド、(右)大阪オールド
東京オールド
大阪オールド
全体的に角が取れて丸みを帯びた東京オールドに対して、外見からもサクっとした食感が想像できそうな角の立った大阪オールド。
まるで、自己主張よりも周囲との調和を重視する東京、人の輪に入っていく時にも自分の個性を忘れない大阪を象徴するかのようです。
すみません、適当に想像で言いました。
そして、東京オールドが丸いのは私が無造作にリュックに入れて歩き回ったせいです。
ブラインドでテイスティング。
おそらく多くの方々が予想された通りの結果だと思いますが、特に味に違いは感じられませんでした。
さっくりとしっとりという食感の違い、東京オールドの方が油が生地に馴染んでいるためかより甘みを感じるといった違いはありますが、それはミスタードーナツの意図したものではなく私の管理ミスです。申し訳ありませんでした。
そんなことはさておき、このお店について何か気付いた方もいらっしゃるかと思います
そう、実はこちらの箕面店、ミスタードーナツが日本初上陸した42年前にパイロットショップとしてオープンした日本第一号店なのです。
小説やアニメの舞台となった土地を『聖地』と呼ぶことがありますが、ミスド一号店である箕面ショップを訪れることは私にとってはまさに聖地巡礼。
42年前にこの地を包んであろう熱狂や興奮に思いを馳せながらアイスコーヒーを飲む時間の、何と贅沢なことでしょう。
伝説はここから始まった…!
箕面店の歴史がわかるパネル展示もあるよ!
パネル以外は、至って普通のミスタードーナツです。
ミスドには限定店舗のみで展開されているプレミアムクリーム、プレミアムパイの『プレミアムシリーズ』やナンドッグといった商品がありますが、一号店だからといってそういった特殊な商品を取り扱っているわけでもない、住宅地で地元の人に利用されているんだろうなぁと思わせる落ち着いていて過ごしやすい空間でした。
対面形式なのは個人的に好印象。
客席は多くないものの、落ち着いたいいお店です。
大阪市内から電車で30分程の箕面は箕面滝や勝尾寺などを抱える風光明媚な観光地として、また大阪市街地のベッドタウンとして発展した高級住宅地としても知られる土地です。
そんなところへ行ったのに、滝もお寺も見ず、ミスドだけに行って帰ってきました。
新興勢力、クリスピークリームドーナツ。
2006年に日本に上陸して以来、破竹の勢いで勢力を増しているのがクリスピークリームドーナツです。
当初は東京近郊の出店がメインでしたが、今は全国展開とまではいかないものの主要都市への出店を果たしており、大阪にも6店舗展開しています。
今回訪問したルクア大阪店。大阪駅に隣接する駅ビルの中にあります。
クリスピークリームドーナツで味比べといったら、もうこれしかないでしょう。
過酷な環境の変化が、同じドーナツをここまで変える。
クリスピークリームドーナツの看板商品・オリジナルグレーズドです。
大阪グレーズド
東京グレーズド
ミスドのハニーディップに比べて、オリジナルグレーズドのグレーズは溶けにくい印象があったのですが、炎天下を無造作に持ち運んだらさすがに溶けますよね。
大阪グレーズドのつやつや輝く質感も美しいですが、生地に砂糖が染み込みつつ、ところどころにざらっとした感じが残る東京グレーズドもわりと好きです。
ファッション性で例えると、明るく派手な印象の大阪に対して、シックにまとめつつどこかにアクセントを残す東京といった感じでしょうか。
もちろん適当なこと言ってます。
ちょっと離れて見ても、明らかに違います。
大阪グレーズド断面。
東京グレーズド断面。
大阪グレーズドは、普段東京で食べているのと同じ味でした。そりゃそうですね。
普段お店で食べる時は温めてもらうことが多いのですが、今回条件を少しでも近づけようと温めないで食べたところ、柔らかく弾力のある生地としゃりっとしたグレーズが層になった食感が面白かったです。敢えて温めないという選択もありだと思います。
グレーズが生地に馴染んでいる東京グレーズドももちろん美味しかったです。
これらの違いも、もちろんクリスピークリームドーナツが意図したものではなく、私の管理能力によるものです。
こんなに美味しいものが全国各地で楽しめるだなんて、チェーン店って素晴らしい仕組みですよね!
改めて実感しました。
大阪VS東京、食べログのドーナツ部門第1位の店。
味比べしました、チェーン店最高!で終わるのもいいのですが、せっかく大阪でドーナツばかり食べてきたので大阪のインディーズドーナツをご紹介したいと思います。
まずは、食べログで「ドーナツ」で検索してランキング1位だったお店、
ハニーミツバチ珈琲南森町店です。
ハニーミツバチ珈琲南森町店。
大阪府内に4店舗、中国・上海に1店舗を構える地元密着系チェーン店のようです。南森町店は、地下鉄御堂筋線・谷町線南森町駅からほど近い天神橋筋商店街の大通りからちょっと路地に入ったところにありました。
お手頃価格っぽい。
看板もかわいい。
ドーナツはシュガー、シナモンシュガー、月替わり(ハニーレモンドーナツ)の3種類。
ドーナツ専門店というよりは、コーヒーと一緒にドーナツを楽しむカフェといった雰囲気です。
(左)アイスコーヒー、シナモンドーナツ (右)蜂蜜レモンティー、シュガードーナツ
外側はさくっと、中はふんわりした食感の昔懐かし系ケーキドーナツなのですが、想像を裏切らない味ながらすべてがハイレベルです。小さめサイズのわりに生地はずっしりとしてボリュームがありますが、食感が軽いし何より美味しいのでぺろりと食べ終わってしまいました。
一緒にお店に行った、特にドーナツ好きでも何でもない妹が、
「自分の想像する『美味しいケーキドーナツ』が現実に現れた!」
と大絶賛し、家へのお土産に持ち帰り用5個入りを買ってしまったほどです。
特筆すべきは、何気なさの中にこだわりを感じるこの生地。
シナモンシュガードーナツ断面。
シュガードーナツ断面。
シナモンシュガードーナツで、周りの砂糖だけじゃなくて生地にもシナモンが入っているみたいで、生地の色が全然違うんです。芸が細かい。
ミスドからシナモンドーナツが消えて以来シナモン難民だった私ですが、求めていたシナモンドーナツに出会えた気がしました。近所にあったら絶対通う!!ありがとう大阪!!
おしゃれカフェっぽい店内。
新聞やPCを広げる出勤前の方々が多かったです
東京。
千代田線・小田急線代々木上原駅から徒歩5分弱。小さな路地にひっそりとある古民家カフェ風なお店、
ハリッツです。
うっかり通り過ぎてしまいそうなくらい小さい路地の小さなお店です。
アイスコーヒーとシナモンカレンズ。
袋にハンコが押してあるのがかわいい。
ハニーハチミツ珈琲のドーナツがさくっとしっとりのケーキドーナツなのに対して、こちらはパン系のもっちりふわふわドーナツです。
もちもち!ふわふわ!大きいけどぺろっと食べられちゃう!
ここのドーナツは、我が家の年老いた母(60代)も「油っぽくないからいくらでも食べられちゃう!」と大絶賛しています。まぁ、母はミスドのドーナツも普通に食べてますけどね。
こじんまりしたイートインスペース。
手作り感のある案内板もかわいい。
東京、大阪のドーナツの傾向と対策
ドーナツ屋さんをいくつかめぐってみたのですが、気付いたことがありました。
wacca(大阪)のシュガードーナツ。
Anne donuts(池田)のおからドーナツ。
地中海ドーナツ(大阪)のプレーン。
ミスドでもドーナツ買って帰りました。
持ち帰り用のドーナツ群。
全国チェーンではない、大阪のインディーズ系ドーナツ屋さんでは、持ち帰り用は中が見えるようになっている袋にまとめて入れてくれるところが多い気がします。手提げ袋をお願いすると、ほとんどのお店で紙袋に入れてくれました。
それに対して、東京のお店の持ち帰り用。
ハリッツの持ち帰り用。
最近気になっているドーナツ工房レポロの持ち帰り用。
ドーナツ自体を紙で個包装し、それをビニール袋に入れてくれるというパターンを、東京のインディーズ系ドーナツ店ではよく見受けるような気がしました。
たまたま、私の好きなお店がそうなだけかもしれませんけど。
ていうか、全然『味比べ』じゃないですね。
どのお店もそれぞれに美味しくて、私ごときが比べるなんておこがましくてできませんでした。
みんなちがってみんないい、という金子みすゞの言葉を引用しつつ、今回のまとめとさせていただきたいとおもいます。
大阪、いいところですね。
実は、私は長らく大阪に対して苦手意識を持っていました。昔の職場にいた私にだけ妙に態度が悪い同僚が大阪弁だったからです。
そんな大阪に対するマイナスイメージは、素晴らしいドーナツたちの前にすべて吹き飛びました。
こんなに充実したドーナツライフを与えてくれてありがとう大阪、今まで勝手に苦手意識を持っていてごめん大阪。
今回、夏季休業で行けなかったお店もあるので、また大阪に行きたいと思っています。
大阪最高!さすが食い倒れのまち!!
『水木しげるの妖怪楽園』に行った娘のお土産が大量のドーナツで、母も驚いたことと思います。
ただ、感じの悪い大阪弁の元同僚は実は茨城出身だったため、今後茨城県との付き合い方について悩みが生じています。