

キャプテン翼になりたい

子供の頃あこがれた翼くんになりたい

日本を代表するサッカーマンガの一つ、「キャプテン翼」。私も小学生の頃、毎週買っていた少年ジャンプでの連載を読んだ覚えがある。
運動は苦手で、体育のサッカーでも翼くんのようにはプレーできなかった自分。大人になった今、あの頃とは別のアプローチで翼くんになってみたい。
運動は苦手で、体育のサッカーでも翼くんのようにはプレーできなかった自分。大人になった今、あの頃とは別のアプローチで翼くんになってみたい。

1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」
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今こそ俺がスーパーヒーローさ
主人公の大空翼をはじめ、個性ある魅力的なキャラクターたちが登場する「キャプテン翼」。ライバル達が度肝を抜くような技を繰り出してくるのも魅力的だった。


キャプテン翼30周年記念のCD


よみがえる名シーン

2010年にキャプテン翼の連載開始30周年を記念して発売されたサッカーソングのCDジャケットにも、主要キャラクターが肩を組んで立ち並ぶ。付属の冊子を開くと、ライバルと激しくボールを競り合う翼くんの姿があった。
心の中によみがえる、翼くんに憧れていたあの頃の気持ち。ちょうど最近、マンガの作者が生まれ育ったという東京都葛飾区に、翼くんの銅像ができたとニュースで聞いた。見に行ってみよう。
心の中によみがえる、翼くんに憧れていたあの頃の気持ち。ちょうど最近、マンガの作者が生まれ育ったという東京都葛飾区に、翼くんの銅像ができたとニュースで聞いた。見に行ってみよう。


地元の歓迎ムードが伝わる看板


その名が冠された公園

近所の商店街には銅像誕生をアピールする看板があちこちに立てられ、地元の盛り上がりが感じられる。看板の矢印に従って路地を入ると、まだできたばかりの「四つ木つばさ公園」があった。


普通の児童公園だが、その奥中央に注目


いた、翼くんだ!

モデルとなったのは小学生時代の翼くんだろうか。キャプテンマークを左腕につけ、はつらつとした姿で立っている。


あの髪型も再現


今でも人気者の翼くん

銅像からも爽やかさを漂わせる翼くん。公園を訪れた人たちはじっくり眺めたり写真を撮ったりしていて、翼くんの人気ぶりが改めて感じられる。


大空翼という名前がそもそもまぶしい

私も一枚、一緒に写真を撮ってみた。ただ、これではただの記念写真だ。翼くんとの物理的な距離は近づいたが、質的な意味ではまるで翼くんになれていない。


みんなユニフォームを着ている


見た目からアプローチしたい

改めて先ほどのCDジャケットを確認する。小学生だった翼くんたちは今ではすっかり大人になったようで、サッカー日本代表のユニフォームを着ているではないか。
できるところから翼くんに歩み寄りたい。そういうわけで、スポーツショップに行ってユニフォームを買ってきた。
できるところから翼くんに歩み寄りたい。そういうわけで、スポーツショップに行ってユニフォームを買ってきた。


サッカーやってそうに見える服の力


サッカーらしさがにじんできた

ユニフォームに着替えて、改めて翼くんと一緒に撮影。さっきの普段着よりもサッカームードがグッと出てきている。
ただのおっさんから、サッカーの好きそうなおっさんへと進化。これだけでも翼くんに歩み寄った気がする。
ただのおっさんから、サッカーの好きそうなおっさんへと進化。これだけでも翼くんに歩み寄った気がする。


まだ何か足りない気がする


改めてジャケットを観察

けれども、今ひとつ何かが足りない。まだ翼くんになりきれていない感じがするのだ。
もう一度、CDのジャケットをよく見てみよう。きっと気がつくことがあるはずだ。
もう一度、CDのジャケットをよく見てみよう。きっと気がつくことがあるはずだ。


わかった!


体のバランスだ!

そうだ、翼くんがかっこいいのは、日本人離れした体のバランスにあるのではないか。サッカーのユニフォームは足が短めに見える傾向があると思うが、そんなことに構わず、ジャケットのみんなはバリバリに足が長い。顔も小さいので、何頭身あるのかわからないくらいだ。


サッカー技術はなくても知恵でカバー


ジャパンブルー的な布で包む

それは練習でどうにかなることではないので、角材を投入。青い布で覆うことで、準備はほぼできた。


もう一人の翼くん、誕生

そこにいるのは、CDのジャケットで見た翼くんだ。このままあの絵のメンバーと肩を組んだとしても、違和感はないだろう。
ただし、ドリブルやシュートはできない。構造上、角材の上に立ってるだけでギリギリだ。何もできないと言っていい。
やりたいことはこれで終わりなので、次ページではここまでに至る紆余曲折をお送りしたい。
ただし、ドリブルやシュートはできない。構造上、角材の上に立ってるだけでギリギリだ。何もできないと言っていい。
やりたいことはこれで終わりなので、次ページではここまでに至る紆余曲折をお送りしたい。

いったん広告です
嵐が過ぎ去るのを待って


背が高いというより、背が長い

翼くんたちのスタイルを現実化した自分。憧れの存在に自分なりのやり方で近づくことができたと思う。ここでは、この栄光にたどり着くまでの道のりを紹介しよう。


構造そのものは単純

翼くん化するための道具は非常に簡単。角材を青い布で包んで、その前に履き物を置く。あとは角材の上に乗るだけだ。


最初期の試み


ズボン位置と接続部を工夫

アイデアの根幹はそれでいいだろう。しかし実際にやってみたところ、角材と本物の脚の境目に工夫が必要なことがわかった。ズボンの位置も調整した方がいいだろう。
ちなみに自宅でのテストでは、天井に頭がついている。床と天井に挟まって人間つっぱり棒のようになり、不安定な翼くん立ちが安定して都合がいい。
ちなみに自宅でのテストでは、天井に頭がついている。床と天井に挟まって人間つっぱり棒のようになり、不安定な翼くん立ちが安定して都合がいい。


ひざ上部分が土気色

上の写真では最初に試したものよりも脚の接続部は改善されたが、脚の肌の血色が悪い。いくつか試行錯誤をして、できる範囲で自然に見せたい。


かっこいいなー

最終的にここまでたどり着いた。あとは見る人がディティールを凝視するのではなく、温かい気持ちである程度あいまいに全体像を捉えてくれるのを期待することにしよう。
ここまで自宅でテストをして、前ページで書いたように公園へと赴いた。撮影は順調に進んでいた。
ここまで自宅でテストをして、前ページで書いたように公園へと赴いた。撮影は順調に進んでいた。


標準ユニフォームで撮影


変身用ズボン着用後、にぎやかな声が

普通にユニフォームを着た状態での撮影を終え、トイレでロングバージョン変身用ズボンを履く。外に出てくると、公園の様子が先ほどまでと違っていたのだ。


地元少年サッカーチーム登場

コーチに引き連れられて、地元とおぼしき少年サッカーチームの子供たちが銅像周辺に集まってきたのだ。みんなで「わーっ、翼くんだ!」「やっぱかっこいいね!」などと声を上げている。
これはまずい。ここであの翼くんに変身したら大変なことになる。何よりうまく説明できない。ここは一度距離を置き、少し離れたところにあるベンチに退散しよう。
これはまずい。ここであの翼くんに変身したら大変なことになる。何よりうまく説明できない。ここは一度距離を置き、少し離れたところにあるベンチに退散しよう。


速攻でユニフォームを脱いで待機

まずはユニフォームを脱ごう。私が着ていたのは、翼くんに番号と合わせた背番号10のシャツ。サッカー日本代表、香川真司選手のレプリカだ。
このシャツを見た少年たちから「おじさんもサッカーやるんですか?」「やっぱり、香川選手かっこいいですよね!」と話しかけられても困る。サッカーやらないし、香川選手のことも正直よく知らない。
このシャツを見た少年たちから「おじさんもサッカーやるんですか?」「やっぱり、香川選手かっこいいですよね!」と話しかけられても困る。サッカーやらないし、香川選手のことも正直よく知らない。


キラキラしている彼らにへこむ自分

ワイワイと楽しそうな彼らの遠くで息をひそめて待つ。銅像の前に整列して撮った記念写真では「はいチーズ!」の代わりに「サッカー、大好きー!」と声を合わせていた。
ごめん、なんかごめん。君たちはサッカーがうまくなることで翼くんに近づいていって欲しい。おじさんは別の方法で翼くんになることにしたんだ。
ごめん、なんかごめん。君たちはサッカーがうまくなることで翼くんに近づいていって欲しい。おじさんは別の方法で翼くんになることにしたんだ。


嵐は去った


もう一度嵐が来る前に急げ

引率された彼らが去り、再び静かになった公園。そそくさと準備を始めて、前ページに載せた写真を撮影した、というわけだ。
目的は果たした。自分で自分に課したミッションは達成したのだ。舞台裏の起伏も含めて楽しんでいただけたなら、あのとき気まずい思いをした甲斐もあったというものだ。
目的は果たした。自分で自分に課したミッションは達成したのだ。舞台裏の起伏も含めて楽しんでいただけたなら、あのとき気まずい思いをした甲斐もあったというものだ。







青春を燃えることなく回避



子供の頃に抱いた翼くんへの憧れは、30年の時を経るうちに屈折していたようだ。それでも、CDジャケットの彼らに負けない存在感を放つことはできたと思う。公園の内外から遠巻きに感じる視線からは、人間を超えたような達成感さえ感じられた。
歩くことすらままならない翼くん。角材から下りるときもグラグラして危ないので要注意だ。

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