特集 2013年2月18日

すでに小盛がおかしい店

大きいのか小さいのかわからない
大きいのか小さいのかわからない
すごい量の大盛メニューを出す店が話題になることがある。明らかに尋常でない爆発的な量は、そのビジュアルだけでおかしな気持ちになる。

実際に目の当たりにしたい気持ちにもなるが、個人的にはとても食べ切れそうもない。それゆえ体感するには抵抗がある。

ならば、逆に小盛メニューならどうだろうか。その言葉の響きにそぐわないものを出す店を回ってみた。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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量の秩序が崩壊

まずやってきたのは、神奈川県海老名市にある「博多どんたく」というお店。
「博んたく」ではない
「博んたく」ではない
看板からは正しい店名がわかる
看板からは正しい店名がわかる
看板にも「ラーメン・餃子」という表記がある通り、基本的には博多ラーメンを売りとしているお店のようだ。店内のメニューにも最初に書いてあるのは博多ラーメンである。
まず並ぶ博多ラーメンのバリエーション
まず並ぶ博多ラーメンのバリエーション
その隣に書いてあることがおかしい
その隣に書いてあることがおかしい
ラーメン類の隣にあるのはチャンポン。長崎の名物ゆえに九州くくりであるのはわかるが、括弧の中に書いてあることがおかしい。

チャンポンは2種類、「小・小・小」と「小・小」だ。

こうした店で「小盛」という表記を見かけることはしばしばあるが、「小」が重なるのは見慣れない。3つとなると見たことない。

「小・小」の方には「大盛」と書いてあるのもわからない。大小を表現するシステムが混乱している。今回は謎の大盛表記は回避することにして「小・小・小」を注文しよう。
チャンポン(小・小・小)
チャンポン(小・小・小)
やってきたのがこれだ。なんかおかしくないか。
やっぱりおかしい
やっぱりおかしい
角度を変えて見てみる。もう一度確認するが、これは小・小・小サイズなのだ。器のサイズも全く小さいわけでなく一般的なもの。
真横から見ても高さがある
真横から見ても高さがある
お店の方の話によると、以前は「小・小・小」と「小・小」の上に「小」「普通」「大」というラインナップがあったそうだ。それら3つはお客さんが残してしまうことが多いため、現在は下の2つのみのメニューとしているとのこと。
一緒に頼んだ博多ラーメンは安心の様相
一緒に頼んだ博多ラーメンは安心の様相
サイズ表記はそのままにしているため、見慣れないサイズバリエーションになっているわけだ。なるほど。

と、納得しそうになったが、それも違う気がする。

小・小・小チャンポンと合わせて注文した普通の博多ラーメンはあくまで普通の量。メニューがなんでもかんでも多い店ではなさそうだ。
密度も高い
密度も高い
麺を持ち上げようとしたが、なかなかスムーズに出てこない。麺の量がかなりありそうなのに加え、上に乗っている野菜の重さが合わさり、丼の中で全体がぎっしりしているのだ。

食べ始めてまず感じたのは、野菜部分の歯ごたえと香り。シャキシャキしていて、炒めてかすかに焦げた風味が香ばしいのだ。長崎で様々な価格帯のチャンポンを食べ比べる記事を書いたことがあるが、それを含めて比較しても味のレベルが高い。

チャンポンらしい色味のスープもなめらかで、使っていないであろうと思いつつ、ミルクが入ってるようなまろやかさがある。おいしい。

この「小・小・小」ちゃんぽんは800円。「小・小」は1000円で、麺も野菜も2倍になるという。それ以上のメニューが消えたのも納得の量。満足して完食したので、小さい方にしておいてよかったと思う。
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量の秩序はあるけど基準がおかしい

続いて訪れたのは、千葉県船橋市にある「クレイン」。
普通の街角喫茶的たたずまい
普通の街角喫茶的たたずまい
店名の上には「コーヒー&食事」と書いてある。喫茶店をベースにしつつ、ごはんも食べられるタイプの店だろう。
メニューはこんな感じ
メニューはこんな感じ
やや気になる呼びかけ
やや気になる呼びかけ
メニューには定食やご飯物、スパゲティーと、この手のスタイルの喫茶店では定番のものが揃っている。

普通サイズに加え、大盛・小盛があるのは一般的な量のバリエーションシステム。ただ、「興味のある方は、是非大盛りを!」とあるのが少々気になる。大盛りって、興味で選ぶものだろうか。

ともあれ今回は小盛を確認するのが目的。カツ丼を小盛りで注文しよう。しばらくして来たのがこれだ。
カツ丼小盛り
カツ丼小盛り
どうなんだろう、これ。
やっぱりおかしい
やっぱりおかしい
持ってきたお店の方に念のため「小盛ですよね」と確認すると「小盛よ~」。注文は間違いなく通っている。
隣の隣の席のグループ客が「あれって大盛?」「でも小盛って注文してた気が…」「いや、あれが小盛ってないでしょう」とざわめいている。私が「小盛です」と伝えると、「じゃあそれが一番小さいサイズってことですか?」と返ってきた。

「そういうことになりますよね」と答えた私も、その言葉に違和感を覚える。特徴的なメニューを出すこのお店、それほど広くない店内で客の間に情報を共有しようとする雰囲気があるのが楽しい。おかみさんの接客もフレンドリーだ。
目を閉じて開いても君がそこにいる
目を閉じて開いても君がそこにいる
しばらくグルグル回してた
しばらくグルグル回してた
角度によって様々な表情を見せる小盛カツ丼。ただ、どこから見てもその存在感は変わらない。
どうやって攻略するのか
どうやって攻略するのか
下の皿はこういうことなのか
下の皿はこういうことなのか
いざ箸を付けようとして困ったことに気がついた。こんもりと凝縮しているので、どこから食べ進めればいいのかわからないのだ。

そこで役に立つのがお皿。皿の上に丼全体が乗る形で運ばれてきた意味が見えなかったのだが、食べ始めてわかった。この皿はカツ丼の一時待避所なのだ。

食べ始めてしばらく、これはやばいと感じ始める。食べきれる自信がなくなってきた。
漬物ワンクッションも使うが完全攻略できず
漬物ワンクッションも使うが完全攻略できず
普段から食べ物を残すのはよくないと考えているので、食事を残すことは滅多にないのだが、正直に言うとご飯部分を半分弱残してしまった。朝食を食べずに乗り込んだが無理だった。

おかみさんに「すみません、無理でした…」と言うと、「あと一口じゃない!」と笑って返される。いや、ご飯まだ結構ある。

同年代の男の中でも食は太い方だと思うが、この体たらくで申し訳ない。メニューによってはこれほどの量ではないものもあるようなので、気さくなおかみさんに相談するといいかもしれない。
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ねじれ始めるネーミング

最後に紹介するのは茨城県つくば市にある「Ran Ran」。
2階に生活感があるタイプ
2階に生活感があるタイプ
この店の名物メニューは「BIG丼」。名前からしてガツンと来るが、BIGと冠した上でサイズバリエーションがあるからおかしくなる。
BIGの上に重なる大盛
BIGの上に重なる大盛
小盛もある上に、ミニもいる
小盛もある上に、ミニもいる
「大盛BIG丼」は特盛的な扱いとして考えられるが、「小盛BIG丼」と「ミニBIG丼」は名前がねじれてきている。

どのサイズの実体も気になるところだが、今回は大盛ではなく小盛を確かめるのが目的。ここはその下のミニがあるため、それを注文することにした。
矛盾をはらんだチケット
矛盾をはらんだチケット
そもそも大きさとは、相対的なものであるはずだ。だから、小・小・小のチャンポンも、普通盛りよりは少ないはずの小盛カツ丼も、相対性は保っていた。

もちろんこの店でも「BIG丼」という名前の料理があって、それにサイズがいくつかあると考えればよい。だが「ミニBIG丼」は言葉全体として不思議感が漂う。
どうなんだ、これは
どうなんだ、これは
やってきたミニBIG丼。箸やスマートフォンを置いて大きさに見当がつくようにしたが、今ひとつわかりづらいだろうか。
でかさで顔もシリアスに
でかさで顔もシリアスに
牛丼店の器より3~4回りくらい大きな丼。名前に矛盾があったミニBIG丼だが、実体としても一般の感覚とは明らかにずれがある。しばしばでかいと言われる私の顔と一緒に写しても負けてない。
食べきれるだろうか…
食べきれるだろうか…
今回は参考のため普通サイズのBIG丼も合わせて注文してみた。ミニがすでにもうBIGなので、普通の方はBIGBIGというたたずまい。
混沌としつつ栄養バランスがすごい
混沌としつつ栄養バランスがすごい
具体的な実体は、ご飯の上に卵焼き・野菜炒め・薄切り肉・モヤシ・から揚げ、写真の奥側には麻婆豆腐も乗っているもの。それぞれは一般的だが、それらがいっぺんに乗っているのが新しい。

よく考えると野菜もタンパク源も複数の種類があって、栄養バランス的にもよさそう。牛丼などの丼物というと何も考えず黙々と食べ進めるイメージがあるが、これには「次はどう攻めよう」と考える楽しさもある。

結構ギリギリまで詰め寄られつつも、私は普通サイズを無事完食。同行の妻もミニの方を満腹で食べ切れた。次に来ることがあったら、自分もミニでよさそうなスケール感だ。

2軒目、タバスコからしてでかい
2軒目、タバスコからしてでかい

小盛なのにでかい店。そのギャップを味わうのが楽しい。

2軒目はタバスコの瓶もビッグサイズ。会計時に750円のカツ丼を「7500円ね~」とおかみさんが言ってくるのは他の客とのやりとりで予習済み。5000円を出して「じゃあ50000円から」と返すところまではよかったが、そのあと「あ、牛乳飲む?」と言ってきたのは予想できなかった。

限界までがんばったあとなので辞退して、よろよろと店をあとにした。
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