特集 2012年9月8日

かき氷ご飯を作る

とにかく涼しい食事を求めて
とにかく涼しい食事を求めて
ただでさえ暑いのが苦手なうえに食事をするとものすごく汗をかく。9月になっても暑さは引かず、今のところ毎食後汗だくである。

できればかき氷か何かで済ませられれば涼しくていいのだけれど、いい大人が「今日の晩ご飯はイチゴかき氷だ済ませたよ」というわけにもいかない。
で、考えついたのが『かき氷と食事のハイブリッド』。つまりは、かき氷ご飯である。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)


> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

みんな大好きかき氷ご飯

すでにそういうメニューを作って出すお店があるんじゃないかと調べてみたら、やっぱりあった。しかも、みんな大好きなラーメンとカレーだ。

実のところ「かき氷ご飯ってどうよ!?」と提唱してみたものの、どうやったらそんなものが作れるのか具体案を思いつかなかったので、ともかくプロが作ったかき氷ご飯を食べてみることにした。
まずはかき氷ラーメンだ。

文京区春日の信濃神麺 烈士洵名で出しているのが『トマトとフルーツのかき氷ラーメン ~ジンジャーエールをそそいで~』だ。

普通、こういう長い名前の付いたメニューは「名前そのまんまやろ!」とツッコミを入れるような、それだけで中身が分かるような料理が多いのだろうが、これ は違う。いや、料理自体は本当に名前そのまんまなのかもしれないけれど、でも中身の想像が付かない。というか正直、意味が分からない。
これがかき氷ラーメンだ
これがかき氷ラーメンだ
で、毎日限定10食の食券を買って出てきたのがこれ。
出てきたものを見てもまだ意味が分からない。
キンキンに冷えた器の中に麺があり、そのうえにトマトと桃、パインなどのジュースを凍らせたかき氷がこんもりと乗っている。一番上のハート型の氷はレモンジュース氷だそうだ。
食べる時は自家製のジンジャーエールをそそいで
食べる時は自家製のジンジャーエールをそそいで
かきまぜつつ、氷と麺を絡めて
かきまぜつつ、氷と麺を絡めて
こりゃ冷たくて超うめえっす!!
こりゃ冷たくて超うめえっす!!
フルーツジュースのかき氷にジンジャーエールというから、デザートみたいな甘ったるい麺を想像していのだけれど、これは予想外。
麺の下にもともとちゃんと タレが入っているので、そこにかき氷の甘みが加わって、甘酸っぱくてしょっぱい、冷やし中華に近い味。かなりショウガの強いジンジャーエールがピリッと効いてこれも良い感じ。
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食べてる途中で味を変えたいな、と思ったら、横についている生ハムのサラダを器にイン!
マヨネーズと生ハムの塩気で気分も変わってまた美味しい。

ただ、さすがにこのボリュームのかき氷を麺と一緒にずるずるとすすりこむので、身体の中からの冷えが半端ない。どれだけ暑くても一発で汗が引く涼しさだ。
信濃神麺 烈士洵名
住所:東京都文京区西片1-15-6
http://bond-of-hearts.jp/shop_resshi02.html
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これまた大好きかき氷カレー

さて、次はもう一つのみんな大好きメニュー、カレーをかき氷に、である。
ラーメンならばスープを凍らせればかき氷化も可能かもしれないが、カレーはいったいどうしたものだろう。まさか、やっぱり、ルー…?
住宅街の中にぽつんとあるカレー屋
住宅街の中にぽつんとあるカレー屋
墨田区のCafe Latinoでは、もともと持ち帰り用にカレールーを冷凍していたものをそのまま食べたら美味しかった、という、なんだか世界はじめて物語みたいな理由で生まれた『かき氷カレー』がメニューに載っている。(前日までに要予約)
やっぱりルーが凍ってた
やっぱりルーが凍ってた

シャリシャリ冷たいカレー

冷たいライスに凍らせたルーをかき氷機で削って乗せて、その上からハムやキュウリなどの具をトッピングしたもの。これまた キーンと冷たくて美味しい。駅からここまで、真夏日の昼間に15分ほど歩いて吹き出していた全身の汗があっと言う間に引いていく。改めて思うのは、氷って冷たくていいなぁ、ということだ。
スプーンですくうとジャリッと音がするカレー
スプーンですくうとジャリッと音がするカレー
普通のカレーなら食べた瞬間にルーとライスがねっとり混ざり合うものだが、凍ったカレールーはまず氷としてシャリシャリ砕けてからスーッと溶けて、その後に冷たいままライスに絡まる感じ。おかげで口の中は常に粘りけレス。さっぱり、サラサラと食べ進めることができる。
ルー自体も油脂分が極めて少ないので、本当に口の中でねっとり粘る要素が無いのだ。カレーを食べているのにこのすっきり感はちょっとありえない。なんというかまったく異質の「カレー味の冷たくて美味しい何か」を食べてる気分だ。
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そしてラーメンと同じくカレーにも味変アイテムあり、だ。
かき氷カレーにはゴマドレッシングが添えられており、サッパリ感に飽きた頃合いで投入するとゴマの脂っ気と甘酸っぱい味がプラスされ、「さっきまでとはまた別のカレー味の冷たくて美味しい何か」の出来上がり、という趣向だ。
Cafe Latino
住所:東京都墨田区東駒形1-12-10
http://www.cafelatino.co.jp/
さて、かき氷メニューの先達二種をいただいて、確認できたことがある。

・ご飯や麺といった主食の上に、水分の多いものを凍らせて削ってかければなんとかなる。
・「かき氷ご飯」という言葉の違和感と感覚的な敷居の高さを解消するためには、誰もが好むメニューのかき氷化が有効。

このポイントを踏まえた上で、オリジナルのかき氷ご飯を作ることにした。
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そうだ、かき氷オムライスを作ろう

頭の悪そうな結論で申し訳ない。来年40歳になるが、オムライスが大好きだ。
むしろ誰がオムライスを嫌うというのだ。ケチャップ味のほかほかチキンライスにトロトロふわふわ卵をのせる。どこに嫌いになる要素があるというのか。ダイソーに並んでいたらラベルに「ザ・幸せ」と書いてあるに違いない。

これだけ大好きなオムライス、かき氷化すれば夏でもひんやり美味しくいただけるはずだ。よし、ケチャップ味のひえひえチキンライスに、凍らせてかき氷にしたシャリシャリざくざく卵をのせてみよう。
まずは卵の下準備
まずは卵の下準備
弱火のフライパンに投入
弱火のフライパンに投入
固まりきらないぐらいのトロトロ加減に火を通して
固まりきらないぐらいのトロトロ加減に火を通して
いそいで粗熱を取ったら製氷カップに入れて冷凍庫へ
いそいで粗熱を取ったら製氷カップに入れて冷凍庫へ
映画にもなった西村淳さんのエッセイ『面白南極料理人』でも料理に使う卵の冷凍に触れられていたし、自分でも以前にだし巻き卵を冷凍して問題なかったので、オムレツ直前の半熟卵も凍らせたって食べられるはず、という判断だ。
ともかく凍ってくれさえすれば、かき氷機で削れるだろう。

チキンライスも冷やします

次は土台となるチキンライスだが、こちらももちろん冷やしておかねばならない。
ところで我が家には「炒めご飯の具になる野菜は家にあるもののみで」というローカルルールがある。先日も炒飯を作ろうと思い立った時に「大根・ゴボウ・豆苗」しか 野菜がなく、味付けに難儀した記憶があるのだが、今回はありがたいことにニンジン・ピーマン・玉葱が冷蔵庫にあり、鶏肉とご飯を投入することで、いたってベーシックなチキンライスを作ることが出来た。
冷えた時を考慮して、できるだけ油少なめで調理
冷えた時を考慮して、できるだけ油少なめで調理
あとはこれを冷蔵庫で一晩冷やします
あとはこれを冷蔵庫で一晩冷やします

いよいよ卵をカキます

下準備から一晩経過した。
さて、卵は無事に凍っているだろうか。
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ありがたいことに、ちゃんと凍ってくれた。
指で表面を押すと少し粘りがあるというか、硬めに凍らせたアイスクリームのような感触があるが、これぐらいならかき氷機で削れるはずだ。(希望的観測)
買ってきました
買ってきました
698円は大丈夫なのか
698円は大丈夫なのか
たまたま昨年の夏にかき氷機が壊れてしまったので、新しいのをホームセンターで698円で買ってきた。ちょっと高級めな甘味処のかき氷より安いかき氷機は、果たして凍った卵を削っても大丈夫だろうか。
まあ、失敗して壊れたところでこの値段ならあきらめもつくだろう。旅の恥と冷凍卵はかき捨て、である。(これが言いたかった)

調理開始

さきほどの卵をかき氷機にセットし、冷えたチキンライスをガラスの器に盛りつけた。
さて、いよいよかき氷オムライス最後の調理にかかります
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では、はいります
では、はいります
必死に削ります
必死に削ります
削りだしてすぐ気付いたのは、手応えの違いだ。普通の氷よりも削り心地が柔らかいというか、粘っこい。下から 削られてくる氷も、かんな屑のように薄いのが途切れず続いている。いやでもとにかく削れているのは間違いないので、とにかく山盛りになるまで無心に削り続けようガリガリガリ。

新メニュー『かき氷オムライス』完成

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見事に削れた卵氷のうえからケチャップをかけ、『かき氷オムライス』の完成である。
一見かき氷とは思えないが、もちろんオムライスとも思えない。
すごいシャリシャリする!!
すごいシャリシャリする!!
おそるおそるスプーンを入れると、卵氷がしゃりっと涼しげな音とともに崩れていった。良かった。この感じは絶対にかき氷だ。
さあ勝負
さあ勝負
こりゃ美味いっ…す…?
こりゃ美味いっ…す…?
美味い。が、上の写真でサムアップしているところと、少し戻ってかき氷ラーメンを食べている写真と見比べていただきたい。オムライスの方が表情に若干の戸惑いが見られると思う。

スプーンを入れた手応えは明らかにかき氷だし、口に入れるとまず氷の冷たさがキーンとくる。
しかしその直後にシャリシャリだった卵が溶けてトロッとした舌触りになる。わずかにフワッとした卵の食感もあるのがさらに混乱を広げる。
そして最後にチキンライスの味と合わさってようやく「ああ、オムライスだったか」と気付く、という多段構造のため、とにかく脳が混乱するのだ。

氷の冷たさで舌の感覚が鈍る、というのも要因の一つらしいのだが、とにかくかき氷ご飯は自分が何を食べているのか見失いがちになる。

かき氷なのでキーンとくる

さすがかき氷だけあって、一息に食べると頭に響く。冷たいものを食べた時のお馴染みの頭痛を「アイスクリーム頭痛」というそうだが、オムライスを食べてアイスクリーム頭痛、というのは原因としてわりと想定外かもしれない。
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