なにせ貧乏性なもんでして
焼肉も外食も好きなんだけれど、貧乏性のため、外食の料理の値段を見るたびに「これだけあれば自炊だったらどれだけ食べられるか…」という思いが頭をよぎる。
バーベキューってんでどんな辺境かと思ったら駅徒歩五分くらい。
それが今回は自炊するのとまるっきり同じ料金で何の準備もせずバーベキューだ。ま、どうなっても損することはあるまいという位の気持ちで向かった。
まず見つかった看板。普通の肉屋っぽい。
予想以上に至れり尽くせり
店先でのバーベキューは店の厚意で基本的にセルフサービス。ということを聞いていたので下手したら駐車場に折りたたみの机と椅子が置いてある、位のことでも文句は言えないな…と思っていたのだがお店について驚いた。
まさか、ここか!?凄い!!
なんだこれ、オープンテラスの焼肉屋じゃん。予想外の設備、予想以上の環境。ホントに無料か!?と思うが、無料BBQスペース、セルフサービスとデカデカと書いてある。えっ、いいのいいの?ここ使っていいの?
ホントにここみたいだ。
どうしたらいいんだろうと思ったが、まず申し込んで席を確保してから肉を買いに行けばいいようだ。これは、軒先でバーベキューというよりも焼肉屋で材料費のみで食べられる。という状況なのでは。
完璧なセット。
申し込み窓口と書いている所にいたお姉さんに「バーベキューしたいんですが」と伝えると「はいはーい」と手早く道具をセットしてくれた。お茶、無料。
すでに盛り上がっている。完全に焼肉屋だ。
セルフサービスとはいうが、ここまでしてもらえるならば、焼く、食べる位しか自分ですることは無いんじゃないか。
高いのか安いのか
いやぁー、いい所に来てしまった。いっぱい買ってがんがん焼いてたっぷり食うぞと喜び勇んで肉を買いに行く。
いたって肉屋
バーベキュースペースの奥にあるお店の部分に焼肉屋感は全然無く、普通に肉屋。おばちゃんとかは普通に肉だけ買って帰っている。不思議な感じだが、本当にお家焼肉価格でいいんだな、これ…。
2900円…えっ、高い。
ホントにお安く焼肉しちゃっていいんですかねぇ~。なんだかすみませんねぇ~。と浮かれた頭で肉を見て固まった。えっ、高い。えっ…?
僕が普段行く肉屋とは違う肉屋
それもそのハズ、スーパーの精肉コーナーとは違い焼肉屋にも卸している卸問屋で、いい肉を扱っている肉屋なのだ。
100グラムから量り売りもしてもらえる。ホルモン系も豊富。
もちろん、高いものだけでなく鶏肉なら100グラム100円以下、豚肉ならば100グラム100円ぐらい、焼肉用の牛肉は大体100グラム400円から良いもので800円位で揃っている。
市販のものに比べてもウインナーは安い。
焼肉屋の一人前は大体80から100グラムらしいので焼肉屋で食べることを考えると普通から安い位の価格帯なのだが、普段100グラム98円の豚肉かたまに198円の牛肉を買っている身からすると、高く感じる。
さっきまで気分は外食だったのに、肉屋というシチュエーションに置かれると自炊脳が働きだした。えっ、なに、自炊気分外食気分どっちで処理すれば良いんだ、これは。
戦いはすでに始まっている
しばらく、本当に悩んでお店の中をグルグルグルグル回ったのだが、答えは出ず。わからないから食べたいものを食べて、食べ終わってから判断しようと腹を決めた。
そう決めると、お肉屋さんが実物展示のメニューとなった。店が丸ごと焼肉のメニューだ。全部この場で焼いて食べていい。冗談みたいだ。
セットはどうか。二人で来ているので丁度くらいではないか。
さぁ、何を食べるか。バーベキュースペースとお店は近いのだけれど、席にメニューは無いし、呼んで持ってきてくれる店員さんはいない。ここで最初から最後まで注文できるものはしておくのがベスト。すでに焼き肉は始まっているのかっ!
オールスターズ。
何から始めて、どこで盛り上げ、どう締めるか。量から内容まで焼肉戦略眼が問われる注文を終え、バーベキューですか?の問いに、はいと答えると食べやすく広がったトレイの上に並べてくれた。よおおおおし、食べるぞッ!!
ここの肉は違うぞ
まずは牛タンから。牛タン、デカイ!
焼肉スタートは牛タンから。味付けなどはされていないので備え置きの塩コショウなどで自ら味付けをしながら焼いていく。
焼肉ってどうしても祭りだよな。
ここの牛タン、見ればわかると思うがデカイのだ。薄切りのシコシコとした食感を楽しみつつもデカイのでしっかりとした満足感がある。
見よ、この牛タンの厚さ。
大判牛タン、凄い。デカくていいわぁー。とかみしめながら、同じ大判牛タンの横に陳列されていた物も見逃せなかった。それが、上タン(厚切り)だ。
牛タンと思えぬフォルム。
タンとタンでかぶってしまうが、厚切りというのもそそられるなと注文してみて目の前にして驚いた。厚すぎる!上から見て分からなかったが、ちょっとしたステーキだぞ、これ。
ブリンブリンした食感。
薄切りではその食感と肉の風味を味わっていたがこちらでは肉を噛み締める喜びとあふれる肉汁、荒々しいまでの旨味に立ち向かうといった様相。同じ肉の部位であるはずなのにこの違い。
じゅわーっ、うおあー。
安さ、お得さばかり追ってきたが、食べて分かった。この店の肉は「違う」ぞ…。
肉を食べたらビール飲みたい
もう凄い、肉凄い。だが、凄さはそこだけでは終わらなかったのだ。こんな肉を食べたらビールが飲みたい、もうたまらない。
キリン一番搾り500ml 290円。淡麗500ml 220円。コカコーラゼロ 120円
ビールが何と、コンビニと同じ価格!うぇええええっ、まっじっでっかっ(取り乱した)!
良くお酒を飲む人だと痛感していると思うのだが、飲食店が利益を出すのは飲み物が大きい。食べ物安いですよー。ってお店に行っても飲み物で調整されてて結局払う代金は普通と同じということが多々あるのだ。
うおおおおおお(うれしくて泣いてる)
自分はビールばかり飲むので飲みに行くと食べ物代金3割、飲み物料金7割とかいうことが良くある。しかし、ここはそれが、コンビニ価格…ッ!!いくら飲んでも大した値段にはならない。飲み物の利益ほぼ無し。良心っ、良心だ!!
ここまででも良いお店だなと思っていたが、この辺りからもう文句なく「最高だ!!」と心の中で叫び続けている。が、それでもクライマックスはまだ先にあるのが恐ろしい所なのだ。
肉屋の利点フル活用
中落ちカルビ。しっかりとした肉の旨味と柔らかさのバランスがたまらん。
オープン席ゆえの夏の暑さと、肉を焼く炎の暑さで汗だくになりながらも肉を食べ続け、ビールが体を冷やしうるおす。肉食べてる!ビール飲んでる!俺っ、生きてる!!と強く感じる。
肉屋のメンチカツ登場
と、そこへ登場、肉屋のメンチカツ。肉屋には良くお惣菜コーナーがあるが、もちろん完備。注文すると揚げたてを持ってきてくださった。カリッカリのジュワッジュワ。もの凄くうまい。肉屋のいいところを全て味わうことができる。
しかもお惣菜コーナーではコロッケやとんかつなど肉屋の惣菜お馴染みの物から、ご飯やキムチなどその他も充実。肉屋を完璧に超えてきているのである。
そして伝説へ…
無茶した感あるステーキ。
そしてお食事はクライマックスを迎える。焼肉屋ではなく肉屋なので肉を全方位的に楽しもうとメインにステーキを持ってきた。明らかにうまそうな見た目。肉が輝いておる。
箸がっ、箸が折れる!
初めは、100グラム200円以上は…うんぬん…。と言っていたが、選び始めたらそんなこと忘れてやりたい放題やってしまった。明らかにやっちまったな感漂う肉。
こんなデカイの焼き網に置いたのお前が初めてだぜっ…!
だがまぁ買ってしまったのだからしょうがない。おいしく食べよう、と思うも、こんなに厚い肉を焼いたことが無いのでどうしたらいいかわからない。何だこれは、大陸か。
どうだい、どうだい。
きっとこういうのは焼きすぎちゃダメだと思いつつも、焼けてなきゃ美味しくないよな…?と明らかに迷いつつ焼く。きっとあんまり触ってもダメなんだぜ。ステーキ焼くのは忍耐だ。
オーストラリアみたい(黒毛和牛)。
あぁ、もう、どうしたらいいんだ。分からないが、一番嫌なのは美味しく食べられない事だ。自己責任で食べて、まだだなって思ったらもう一回焼けばいいか。よしっ、完成!!
うおおおおおおおおお
どんなもんかなーと切ってみると、表面は焼けていて中はレア。焼けてないかもしれないけど、美味そう!超美味そう!!
ああっ、肉ッ!肉ッ!!!
ああぁ、これはもうたまらん。わさび醤油でいただきます。
美味い。ほんっとうに美味い。ちょっとこれは筆舌に尽くしがたい。食べた後、しばらく全てのものにありがとう、ありがとう…。って言いたくなった。あぁ、もう、良いんですかね、こんなに良い物食べちゃって。
さて、この贅を尽くしたお食事のお値段は?
大判タンスライス 593円
上タン(厚切り) 837円
豪州産ミノ 498円
黒毛和牛中落ちカルビ(上) 821円
黒毛和牛カルビ(上) 813円
黒毛和牛ヘレステーキ 1331円
缶ビール 290円
缶コーラ 120円
メンチカツ 180円
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計 5483円
合計5483円。二人でお腹いっぱい食べてこの値段。一人当たり2700円でこのレベルの焼肉が食べられる。すみません、始めの方で高いとか何とか言ってすみませんでした。安いと思います。ものっすごい安いと思います。
お片付けするまでがバーベキューですよ
食べ終わったパックは捨てましょう。横に缶のゴミ箱もあり。
本当に美味しくて、心から満足した。この満足は肉自体もあるが、お店のご厚意によるところが大きい。これには行為でお返しをしなければ。
テーブルは拭いていきましょう。
セルフサービスなのでゴミは捨てて、使った席は綺麗にして帰る。だが食器を洗う、コンロを清掃するという所までは必要では無いようだ。
無料を続けていただきたいので喜んでご協力いたします。
掃除レベルではなく片付けのレベルでこのサービスを提供してくださっている。色々と苦労や手間もあるだろう。なのに店員さんにお話を聞くと「美味しいお肉を食べていただきたいですから」と笑っていた。
本当に凄いお店だと思う。
上カルビが、トロかと思った。
自炊と同じ値段で肉食べられる!というケチくさい理由で行ったのに、感動して帰ることになった。絶対にまた行く、何度も行く。
外食には食べる、ということ以外にもいろいろな要素があるので単純に優劣はつけられないが、こと美味い肉をお得に食べるということに至ってはここに勝る所は無いのではないかと思う。
それを成立させているのがお店の気持ちだというのがまた嬉しい。特に何も出来ることは無いけれど、食べに行ったら美味しく楽しく食べて、綺麗にして帰ってこようと思う。