

これが線路の上を走るの想像できない

電車に乗って外の景色を眺めていると、線路の上にふだん見慣れない特殊な車両が停まっているのを見ることがある。線路の工事、つまり保線で使う車両を留め置く、保線基地だ。
一般の乗客には関係ないけど、レールの上では、乗客を運ぶ電車、貨物を運ぶ貨物列車と並ぶ、第3の勢力と言えるだろう。
意識しないと見過ごしてしまうので、敢えて見に行ってみた。
一般の乗客には関係ないけど、レールの上では、乗客を運ぶ電車、貨物を運ぶ貨物列車と並ぶ、第3の勢力と言えるだろう。
意識しないと見過ごしてしまうので、敢えて見に行ってみた。

1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
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最初に意識したのは新宿
山手線に乗っている人なら1度は見たことがあるんじゃないかと思う。新宿駅の近くで中央線の上を越えるとき、眼下に保線用の小さな車両がいくつも停まった、賑やかな基地があるのを。


いつ通っても何やら作業が行われている気がする


よく見ると色違いが並んでてかわいい

貨車の荷台には線路に敷く砂利がいっぱいに積まれているけど、この車両たちが山手線などの線路を走っているのを見たことがない。きっと終電が行ったあとが彼らの仕事時間なのだろう。
また、ここは周りを線路に囲まれていて近づくことができないので、車窓から見えるこの一瞬だけが鑑賞ポイントだ。そういう意味では孤高の保線基地と言えるだろう。文明との接触がない少数民族の集落を遠くから覗き見している気分である。
また、ここは周りを線路に囲まれていて近づくことができないので、車窓から見えるこの一瞬だけが鑑賞ポイントだ。そういう意味では孤高の保線基地と言えるだろう。文明との接触がない少数民族の集落を遠くから覗き見している気分である。

鑑賞しやすい田端
新宿で保線基地の存在を「再発見」して、そういえばと思い出したのが田端駅だ。山手線、京浜東北線と東北新幹線の間に、保線関係の車両が停まった、それらしいスペースがあったはず。
さっそく行ってみると、ホームの真横に門型のクレーンが並んでいるのが見えた。どうやら交換用のレールを持ち上げて、貨車に載せるためのもののようだ。
さっそく行ってみると、ホームの真横に門型のクレーンが並んでいるのが見えた。どうやら交換用のレールを持ち上げて、貨車に載せるためのもののようだ。


実際の作業を見たいなあ


「とうきょうかんほぎせ」と読むのだろうか


アビーロードのジャケットを彷彿とさせる

調べたところ「幹保技セ」は新幹線保線技術センターというらしい。ということは、ここは新幹線の保線基地ということか。ここから隣の高架の上まで線路が繋がっているのだろうか。
その先には、運転台らしきスペースのついた、何台かの機関車のような車両が停まっていた。形も大きさもさまざまで、新しいデザインのものや、いかにも業務用というものもある。自分だったらどれに乗るか、これの乗るのはあいつだ、などと考えると楽しい。
その先には、運転台らしきスペースのついた、何台かの機関車のような車両が停まっていた。形も大きさもさまざまで、新しいデザインのものや、いかにも業務用というものもある。自分だったらどれに乗るか、これの乗るのはあいつだ、などと考えると楽しい。


いろいろ停まっている


左の2階建てっぽいのはかっこいいけど、右の背が低くてエアコンの室外機が先頭についてるのもいい!


あり合わせの材料で造りました的な車両

もっとよく見える場所はないかと探して改札を出ると、陸橋の一部分だけ柵が低く、透明な板になっていた。そこから見えるのはほぼ保線基地。保線ファンの約束の地である。


保線ファンはここに集合


僕はこういうレールが地面に埋め込まれている部分が大好きだ

目の前の車庫の中はシャッターが閉まっていて見えなかったけど、中に何が入っているのかすごく気になる。見たこともない保線車両(ほとんど全部そうだけど)がしまわれているかも知れない。

池袋にモンスターがいた
実は、新宿から田端に向かうとき、途中の池袋でものすごいものを目撃していた。急いで池袋に戻り、保線車両が近くで見られそうな埼京線ホームに向かった。


池袋にも保線基地があった


これはこれでいい味出してる保線軍団


狭い運転台と、やっぱりその外に搭載されたエアコン室外機のミスマッチ感


あの有名重機メーカーの製品らしい!

こういう保線車両、何から何までいままで見たことのある電車たちとかけ離れてておもしろい。どことなくのんびりした面持ちと不釣り合いな屋根上の回転灯もいい。何十年も事件のない田舎の駐在さん、といった雰囲気である。
そのままホームの端まで歩いて行くと、田端に行くときチラッと見えたモンスターが息をひそめていた。
そのままホームの端まで歩いて行くと、田端に行くときチラッと見えたモンスターが息をひそめていた。


あれはなんだ

全身濃い青で、ものすごく巨大。そして全体が前後に傾いている。まったく何に使うものなのか分からないけど、本当にこれが線路の上を走るのだろうか。


息を呑む存在感


森へ帰った方がいいんじゃないかと思う系車両


これを引っ張る機関車?も樽型の運転台つきでものすごくでかい

さらにその隣には、青いモンスターとは打って変わって、やたらかっこいい保線車両も停まっていた。遠くてよく見えないけどかなり新しそうで、モスグリーンの車体に赤いラインが鮮やかだ。保線界のレッドアローである。


そこらの新型特急よりかっこいい


山手線の窓から慌てて撮ったけど指を入れてしまう失態

池袋はJR、私鉄にとってのターミナルなだけでなく、保線界でも巨大ステーションと言えた。

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