僕は馬レバ刺しが食べたいんです
調べてみると馬肉は昔から低カロリー高タンパクな食材で、とくに九州では滋養強壮食として重宝されているとのこと。
また、人間に影響を及ぼすような菌が馬には少ないらしく、生で食べても牛よりかは比較的安全な低アレルギー性食品らしい。
これは流行るぞ!
馬刺しを食べたのは数えるほどしかなく、馬のレバーにいたっては未体験。馬レバ刺しを提供しているお店を探して、牛レバ刺しの代わりになるのかを実際に舌で確かめに行ってみた。
お店はただ漠然と探すのもなんなので、名前に馬がつく駅を中心に探してみることに(書いていて気づいたが、駅そのものにも馬がついていた)。
駒込や練馬など東京には馬がつく駅名がなかなか多い。馬喰町なんかはまさに馬を喰らう最高の場所……と思ったのだが、馬刺しはあっても馬レバ刺しを置いてあるところが少ない。
検索を繰り返し、まず初めにヒットした高田馬場にやってきた。
高田馬場には初上陸。
けっこう歓楽街っぽくてビックリ。
駅から南西に5分ほど歩いて目的地に到着。
店内はバー風でちょっとオシャレな感じ。ジンギスカンを食べるようなドーム型の鉄板で、馬焼き肉を食べているお客さんが多かった。
なかなか居酒屋みたいな場所に1人で行くことがないので、緊張しながらさっそく注文。
早くも馬レバ刺し登場。
まずは見た目。
牛レバ刺しと比べて色の違いはないが、やや切り身が小さいだろうか。トロトロぐあいもやや少なめ?
問題は味だ!
一緒に運ばれてきた、底に塩が入ったごま油につけて食べてみる。……生臭さはあまりないけど、血の味が強い!
レバーだ! うん、うまいよ!
下に敷いてある玉ねぎが赤く染まっていた。
だが、よく味わってみると食感が違う。とろっとした口当たりやプルプルさは牛レバ刺しと似ているが、もっと芯があるような感じ。コリコリ…というよりもブリブリ。
レバー特有の濃厚さや臭さといった主張も抑え気味。レバーが苦手な人でも大丈夫そう。
これはこれで非常に美味しい。だが、牛レバ刺しと同じかと言われれば違うなぁ。
ふむふむ…と思いながら食べているとあっという間に皿が空に。うーん、レバ刺しといえば牛の肝臓を多く食べてきただけに、これだと僕のレバー欲求はまだ満たされない。
こういった内臓系は鮮度など、お店によってまた味が違っていそうなので、別の馬レバ刺しも探してみよう。
後日訪れたのは、横浜のみなとみらい線にある馬車道駅。馬レバ刺しを求めて馬車に乗ってきたという気分でやってきた。(実際は電気が動力の鋼鉄の車両なんだけど)
このまま中華街に行きたくなったが、ここは我慢。
地下っぽくないハイカラな雰囲気。
この日はあいにくの雨。しかもかなりの本降りで、馬レバ刺しが食べたい&早くお店に着きたい気持ちで自然と歩くスピードが速くなっていた。
駅から野毛方面に歩くこと10分ほどで到着。
ここは馬と鹿の肉が一気に味わえる馬鹿鍋(ばかなべ)が名物らしい。
しかし、自分が欲しているのはレバ刺し。入って開口一番に目的のものがあるかを尋ねる。
僕「馬のレバ刺しってありますか?」
店「本日は品切れでして……。次回の入荷も未定なんですよ~」
しまった!
検索に時間がかかってお店が見つかった喜びで品切れの可能性を考えていなかった。
店先に出ているメニュー表に値段が書いてなかったので、まさか時価なのではと思った。毎日必ずあるわけではないからこうなっているよう。
だが、この付近には馬レバ刺しを置いてあるお店がもう一軒あったのを調べてある。
よかった。駅へ戻るように、今度は反対方向に歩きだす。
すると向かう途中に、馬マスクを被ったマネキンが出現。
大雨で視界が悪い中、いきなり現れた馬店員のことを考えて歩いていたらいつの間にか着いていた。
お店は地下に構えていました。
今度は事前に電話して、あるかどうかの確認もしたので安心。初めからこうしておくべきだった。
手書きボードにも書いてあるので期待大。
ゴマはつき物なのか?
今度は玉ねぎではなく、シソの葉やツマ、レモンがつけ合わせとして添えられている。
一切れの大きさはさほど変わらず。
食べてみますよ!
血の味はさっきより感じられない。
食感は同じ。コリコリ……というよりはブリブリ。
牛レバ刺しがよみがえった! とはならない。
とても美味しい「馬レバ刺し」だ。
切り身が小さいせいなのかと思い、3枚まとめて食べてみると満足度が少し増した。なんたる贅沢食い。ちょっともったいない。
おいしい顔を撮ろうとしたらすっぱい顔になってしまった。
店「どうですか? 牛レバーとはまた違いますでしょう」
カウンター越しに店員が話しかけてくれた。僕の思いが見透かされている!
こちらからもいろいろ訪ねてみた。
僕「なんだかコリコリっとしてますよね。」
店「やっぱり牛より動きますし、筋肉質だからだと思いますね。」
僕「馬レバーは希少なんですか?」
店「一頭から600グラムほどしか取れないですからね~。それに今月から需要が高まっているみたいで。専門店や前々から取り寄せているところじゃないと確保するのもなかなか厳しいです。」
なるほど。もう流行り始めてるじゃないか!
食感の違いも話を聞いて納得。
牛レバ刺しを食べたい欲求は満たされなかったが、馬レバ刺しという新たな美味しさが発見できた。
人生2回目の馬レバ刺しを堪能したところで調査は終了。
馬レバーには馬レバーならでは魅力がある
結論としては牛のレバーと馬のレバーは似てはいるが、食感を中心に若干の違いがある。だが、同じ部位なわけなので代用品としては充分。
もう牛レバー刺しはどこに行っても食べられないので、今度からは馬レバ刺しを楽しもう! という気持ちでいるほうがいいかもしれない。
しかし、店員の話にあったとおり数が少ないため、この辺では食べられる機会が少ない。
さらに、馬レバ刺しに目をつけている人が多くなっており、すでにブームになりつつあることがわかった。
専門店で馬肉を食べる機会がありましたら、ぜひレバ刺しも食べてみてください。
これは誘惑に負けて一緒に頼んだ桜軍艦。馬の赤身、納豆、卵の黄身が乗っている。美味。
訪れたお店
■~うまの蔵~ 高田馬場
東京都新宿区高田馬場4-14-6
■ばかなべ 浜幸
神奈川県横浜市中区野毛町1-24
■馬肉料理専門店 さくら
横浜市中区弁天通2-25-B1-101