砂を40kg買ってしまった
「自宅にビーチをつくろう。うん、じゃあ砂がたくさんいるよね」と思い、近所のホームセンターで40kgの砂を買いこんだのはつい先週のこと。たぶん暑さにやられて頭がくるっていたんだと思う。
これがそのブツ。今となってはぼくの頭痛のタネである40kgの砂
それを一気にまく。こういう時は後先とかいっさい考えないのが鉄則だ
プライベートビーチ完成
バカンスを満喫
と、ここまでは先週のリアルタイム更新でお伝えした通り。あの時ハワイだ、リゾートだなどとはしゃいでいた裏には、後片付けの憂鬱さを吹き飛ばしたい気持ちが含まれていたのかもしれない。
とりあえずイヤなことは忘れてバカンスを楽しんだ
砂あそびをしたり
スイカ割りをしたり。楽しかった夏のひとコマ
とりあえずその日はプライベートビーチを満喫し。ハワイアンミュージックを聴きながらビーチサイドのチェアーで眠りについた。バカンス中は仕事のメールも基本的にシャットアウトだ。仕事とプライベートの境が曖昧になりがちなフリーランサーだからこそ、オンとオフの切り替えは大事にしたい。
そして40kgの砂が残った
一夜明けると前日のことはぜんぶ夢で、すっかり元通りの部屋になっているなんて奇跡を期待した。だが、もちろんそんなことはなく、目が覚めたら砂と向き合う現実が待っていた。
とりあえず砂をタライに集めた
うむ、改めて大量だね
残ったものは大量の砂と、それと同じくらいのストレス。休暇明けに久しぶりに出社してみると仕事がどっさり溜まっていてウンザリすることがあるが、大量の砂はそんな心境を具現化したようでもある。
だが、ウダウダ言っていても仕方ない。せっかくなのでこの砂を有効に活用してみようではないか。
だが、ウダウダ言っていても仕方ない。せっかくなのでこの砂を有効に活用してみようではないか。
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利用法(1) 砂の器をつくる
松本清張の長編推理小説『砂の器』。これまで何度も映画化やテレビドラマ化されている不朽の名作である。
砂の器はどれほど固く作っても一瞬にして崩れ去ってしまう。それは偽りを重ねて掴んだ幸せも然りで、砂の器にようにもろくも崩れ去ってしまうのだという。
本当だろうか、やってみよう。
砂の器はどれほど固く作っても一瞬にして崩れ去ってしまう。それは偽りを重ねて掴んだ幸せも然りで、砂の器にようにもろくも崩れ去ってしまうのだという。
本当だろうか、やってみよう。
砂を器の形に固めてみる
が、すぐに崩れ去った。幸せとはかくも儚いものなのか
思えば砂の器のような人生である
お前には本当の幸せなど訪れない。そんな残酷な現実を突きつけるように崩れ落ちる砂の器。これがおれの未来なのかと思うと泣けてくると同時に、どこか納得できてしまうところがまたせつない。
確かにこれまでの自分を振り返ると、砂の器のような人生を送ってきたのかもしれない。他人との衝突を避けるために自己主張を控えたり、かと思えば人気者になろうと道化を演じてみたり、自分を偽ってばかりだ。
確かにこれまでの自分を振り返ると、砂の器のような人生を送ってきたのかもしれない。他人との衝突を避けるために自己主張を控えたり、かと思えば人気者になろうと道化を演じてみたり、自分を偽ってばかりだ。
崩れない砂の器を作ろう
それでも、自分次第でこれからの未来は変えられるはず。砂の器のように虚無な存在だったとしても、幸せになる権利はあると信じたい。
その決意表明として崩れない砂の器を作ることにした。
その決意表明として崩れない砂の器を作ることにした。
しかし、気持ちだけで砂は固くならないのでボンドを使う
そしてよくこねる。サンドとボンドのコラボレーションだ
ボンドの力を借りることにより、ほどよい粘着性を帯びる砂。ぼくにもボンドのような心強いパートナーがほしい。それがかわいい女の子だったらなお嬉しい。
紙の器で、砂の器の型をとる
中央を指圧し、中央をくぼませる
あとは乾燥するのを待つのみ
一個だけでは心もとないので、ボンドの分量を変えて予備をつくる
砂の器よ、固くなれ
天日で干されて強くなれ
人生には替えがきかないが、砂の器には替えがきくということで8個作った。何事もリスクヘッジが肝要だ。
砂の器という虚構が実体化するのを待ちながら、さらなる砂の利用法を考えてみた。そう、砂はまだまだ余っているのだ。40kgをなめてはいけない。
砂の器という虚構が実体化するのを待ちながら、さらなる砂の利用法を考えてみた。そう、砂はまだまだ余っているのだ。40kgをなめてはいけない。
まだこんなに余ってる。お金だったらうれしいが、残念ながら砂である
利用法(2) 泥団子でも作ろうか
以前、当サイトで尾張さんがピカピカの泥団子を作っていたが、あれはカッコよかった。機会があればぜひやってみたいと思っていたが、今がまさにその機会だ。なんせ砂なら売るほどあるのだから。
これだけの量の砂があればかなり巨大な泥団子が作れるんじゃないだろうか。
これだけの量の砂があればかなり巨大な泥団子が作れるんじゃないだろうか。
今度はこのボウルで型をとる
さきほどのボンド土をボウルの型に詰めて丸く成形
思わずなでまわしたくなるフォルム
型をはずすと、こなきじじいの頭みたいなブツが現れた。なにやら御利益がありそうなのでとりあえずなでておいた。でかくて丸いものというのはどこかお宝っぽい。
で、数時間寝かせたものがこちらになります
とりあえず表面は乾燥したようなので型から外してみる。すると…。
もろくも崩れ去った
その後、ボンドの比率を多くしてみたり、乾燥の時間を長くしてみたりしたが、どうにもうまくいかない。
利用法(3) サンドバッグでダイエット
固まらない泥団子に早々に見切りをつけ、お次は即席サンドバッグでムシャクシャした気分を発散しよう。作り方はいたってカンタン。
1.古い枕カバーを用意する
2.砂を詰める
3.吊るす
完成。殴り甲斐のある感触
ちょうどいいことに当方ダイエット中である。すでにピーク時から8kgの減量に成功したが、これでさらなる追い込みをかけよう。
目指せムキムキボディー
打つべし!
うん、これは気持ちいい。一心不乱にパンチを打ち込めば、いっときイヤなこと(主に砂のこととか)も忘れられる。初めて実用的な砂の利用法をみた気がする。まだ砂は余っているから、サンドバッグを量産してジムでも開こうか。会員には入会特典として砂をプレゼントしよう。
1ラウンド(3分)は砂時計で計った。とことん砂を活用
ともあれこれで3分の2ほどの砂を消費した。40kgの砂との格闘もいよいよ終わりが見えてきた。
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利用法(4) 砂でキレイになる
鹿児島県指宿市の摺ヶ浜温泉には砂に埋まって温まる「砂むし温泉」がある。温泉の熱を帯びた砂に全身を埋め、血行の促進と老廃物の排出を図る温浴方法だ。一度は体験してみたいと思っているが、いかんせん鹿児島は遠い。
だが、わざわざ鹿児島まで行かなくても、砂ならここに埋もれるほどあるではないか。
だが、わざわざ鹿児島まで行かなくても、砂ならここに埋もれるほどあるではないか。
というわけでフライパンで温めた砂をかけてセルフ砂むし温泉
あったかくて気持ちいい!
こうすることで砂に含まれるミネラル的な何かが、体内の毒素的なものをどうにかしてくれる…かどうかはよく分からないが、砂の重みと熱さでじんわり汗をかいた。心なしかお肌のツヤがよくなったようだ。だが、その代償としてしばらく体がジャリジャリした。
砂の器はどうなった?
と、ここまでいろいろやってきたが、砂を日用使いするアイデアもそろそろ尽きてきた。そういえば、砂の器はどうなった?
固まっているのか?
いちおう表面は乾燥しているようだが、中まで固まっているのだろうか。型から外してみよう。
表面はけっこう固い
あら…
…よっと!
ああ…
もろくも崩れ去る砂の器。やはり虚構の上に成り立つ幸せなどないのかと絶望しかけたが、8個つくった器のうちいくつかはきちんと形を成しているものがあった。
やはり人生はリスクヘッジがモノをいう。
やはり人生はリスクヘッジがモノをいう。
中でも最もよくできたのがこれ
サイドから。これはまさに砂の器だ
砂の器、完成
細かい粒子の質感も残っていて、これはもうまごうことなき砂の器である。気を抜くと泥の固まりに見えてしまうので、信じ込む心が大事だ。
…おっと、また自分を偽ってしまった。
…おっと、また自分を偽ってしまった。
手にもっても崩れない
というわけで砂の有効利用を試みたわけだが、正直なところあまりの使い道のなさにびっくりした。40kgなんて買うもんじゃない。
いろいろやってみたが結局使いきることはできず、部屋にはまだ大量の砂が残っている。なんだこの砂地獄。
みなさま、いい使い道があったらぜひ教えてください。
いろいろやってみたが結局使いきることはできず、部屋にはまだ大量の砂が残っている。なんだこの砂地獄。
みなさま、いい使い道があったらぜひ教えてください。