特集 2012年5月25日

子供の食べ方が斬新

想像のナナメ上を行く。
想像のナナメ上を行く。
子供の食べ方がすごい。すごいというかヒドい。
しかしこれが人間の遺伝子に組み込まれた本能、教育によって矯正される前の素の状態かと思うと、なにやら興味深い。
「ああ、そんなことまで教えないとこうなんだ!」
という、我々大人が「教育されたこと」すら忘れていたルールを教えてくれる。

ま、ぶっちゃけ、お行儀の悪い話ではあるのだが、しかしそこに何か新しい食文化へのヒントが隠されているような気もするのだ。というわけで、うちの子供たちの例を見ながら「子供の自由な食べ方」について考察していきたい。
長崎より九州のローカルネタを中心にリポートしてます。1971年生まれ。茨城県つくば市出身。2001年より長崎在住。ベルマークを捨てると罵声を浴びせられるという大変厳しい家庭環境で暮らしています。

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これは寿司です。
これは寿司です。

● 好きなものは最後にとっておく

うどんとお寿司のセットを食べていた時のこと。ふと見ると、5歳になったばかりの息子が寿司のネタをはがし、シャリだけを食べていた。

後にはネタの部分だけが皿の上に残った。
刺身部分だけが残った。
刺身部分だけが残った。
信じがたい光景だが、おそらくこれは「好きなものは最後にとっておく」という思想にもとづく行動だ。

大人だったらせめてうどんを先に食べて最後に寿司を…くらいだが、子供はさらに素因数分解してしまうのだ。
ハンバーグ弁当。
ハンバーグ弁当。
これまた非常に驚かされた食べ方。ハンバーグ弁当の周辺だけを食べてハンバーグ本体は手つかず。

見ようによってはハンバーグが嫌いみたいに見えるが、これもまた「好きなものは最後にとっておく」から来た行動。

「ごはんのおかず」という観点がどこかに行ってしまっている。

● 「三角食べ」は学習によって習得するもの

・ごはんとおかずを交互に食べる。
・同じ味ばかり続けて食べると飽きる。
・違う味と交互に食べると飽きない。
これらは私は生まれつき人間に備わっている習性みたいなものだと思ってたが、保育園で配られるプリントなどに
「いろんな味を交互に食べる『三角食べ』を身につけましょう」
と書いてあるのを見て、
「そんなんわざわざ教えるようなものなのかな?」
と思っていた。

ところが我が子を見たら、おかずだけ先に食べて最後にご飯のみをおかず無しで食べていたので、
「ああ、そうだったんだ!」
と、これが学習によって身につけたものであったことを知った(個人差もあるだろうが)。

そんなわけで寿司のシャリとネタを別々に食べるといった事態が発生する。
バラバラになったフルーツが皿に置いてある。これは一体何かというと…
バラバラになったフルーツが皿に置いてある。これは一体何かというと…
ゼリーに乗っていたフルーツ。除けてまずゼリーだけを食べ、後でじっくりフルーツを味わおうという魂胆。一緒に食べようで…
ゼリーに乗っていたフルーツ。除けてまずゼリーだけを食べ、後でじっくりフルーツを味わおうという魂胆。一緒に食べようで…

● 炭水化物+甘いもの

パンはジャムを塗るなど甘いものとあわせて食べるが、ごはんと麺類ではありえない。…と思っていたのは大人の固定観念だった。
デザートにと思って出したイチゴをご飯に埋める。
デザートにと思って出したイチゴをご飯に埋める。
栗ごはんとか豆ごはんとかならよくあるが、この組合せは…
栗ごはんとか豆ごはんとかならよくあるが、この組合せは…
しかし彼の中ではわりと定番メニューで、イチゴが出るとよくご飯の上に乗せたがる。
しかし彼の中ではわりと定番メニューで、イチゴが出るとよくご飯の上に乗せたがる。
唐揚げいちご丼…。
唐揚げいちご丼…。
3つ年上の姉は、コップの縁に盛りつけてた。女の子と男の違いだろうか?小さい時もごはんに乗せるようなことはしなかったなぁ。
3つ年上の姉は、コップの縁に盛りつけてた。女の子と男の違いだろうか?小さい時もごはんに乗せるようなことはしなかったなぁ。
レモン+ごはん。子供はすっぱいものが苦手なことが多いのだが、この男はわりと平気。(強がってるのかもしれない)
レモン+ごはん。子供はすっぱいものが苦手なことが多いのだが、この男はわりと平気。(強がってるのかもしれない)
本人は「うまい」と言っていた。しかしもうひとつ何か(岩塩とか)加えたら本当に美味しくなりそうな可能性も感じなくもない。
本人は「うまい」と言っていた。しかしもうひとつ何か(岩塩とか)加えたら本当に美味しくなりそうな可能性も感じなくもない。
メロンソーダにうどんをつけて食べる。(怒)
メロンソーダにうどんをつけて食べる。(怒)
ジュースに何かをつけて食べるのもよくやる。(何度注意しても)

ジュース=おいしい

いろんなものをおいしくしたい。
という発想だろうか?

唐揚げをオレンジジュースにつけて食べるのもやっていた。明らかに変だが、しかし高級レストランなどに行くと、メロンに生ハムが巻いてあったり、濃厚な味付けの肉と一緒にオレンジの薄切りが出てきて(しかもそれが絶妙に美味かったりする)、案外こうした子供のめちゃめちゃな組合せも新しい料理のヒントになるかもな…と思わされる。(極たまに)
うどんを食べていたら、麺だけを別の皿に移し始めた。
うどんを食べていたら、麺だけを別の皿に移し始めた。
ま、まさか…。何をするつもりだ?!
ま、まさか…。何をするつもりだ?!

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● カレーライスは混ぜる

これは多くの人が「そうそう、そうだった!」と思う食べ方ではないかと思う。私も子供の頃そうだった。カレーライスを混ぜて食べる。
(混ぜない方が美味しいと思うけど…)

が、混ぜることにメリットもある。
ライスとカレーのペース配分を間違えライスだけが残る事態を防げるのだ。
息子5歳。混ぜて食う全盛期。
息子5歳。混ぜて食う全盛期。
上の娘も5歳の頃はやっぱり混ぜていた。
上の娘も5歳の頃はやっぱり混ぜていた。
さらにそのカレーをパンにかけたりするシェフ。カオスだ。
さらにそのカレーをパンにかけたりするシェフ。カオスだ。

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● 手づかみの時代

これは本当に幼少の頃(1歳くらい)。一応、スプーンやフォークも渡し、使うようにすすめていたが、本気になると手づかみになる。
むんずっ!
むんずっ!
あぐっ!(手ごと食べる)
あぐっ!(手ごと食べる)
そして手ごと口に入れる。サルっぽい。我々人類の祖先はサルなんだと改めて理解すると共に、手づかみは人間の本能に近い食べ方なのだと気づかされる。
ケーキ。どうやって食べるかというと…
ケーキ。どうやって食べるかというと…
そう、手づかみだ。ケーキを手づかみ。
そう、手づかみだ。ケーキを手づかみ。
最初はフルーツから。クリームを机にこすりつけたりして、放っておくとすごいことになる。
最初はフルーツから。クリームを机にこすりつけたりして、放っておくとすごいことになる。

● 「食べ物で遊ばない」の意味

「食べ物で遊ばない」という言葉は誰しも聞いたことがあると思う。が子供を見たら、その本当の意味がわかった。

たまに大人が食べ物にちょっとした遊び心を加えてるのに対して「食べ物で遊ぶなんて…」と言う人がいるが、そんなレベルの話ではなく、1歳とか2歳ぐらいだと、本当に食べ物を絵の具か何かのようにグチャグチャとこねくり回したりする。それで
「食べ物で遊ばない!」
という言葉が自然と出てくる。

要するに宇宙人に対して
「食べ物 ノットイコール おもちゃ」
ということを教えてるようなものなのが、
「食べ物で遊ばない」という言葉の意味だ。
いちごは大好きだが、1歳弱の頃だとつい握りつぶしてしまう。
いちごは大好きだが、1歳弱の頃だとつい握りつぶしてしまう。
強く握るとやわらかいものは潰れる。 そういうこともひとつひとつ学習して認知していく。
強く握るとやわらかいものは潰れる。 そういうこともひとつひとつ学習して認知していく。
シュークリームは大好きだが…
シュークリームは大好きだが…
クリームを飛び出さずに食べるのは苦手。
クリームを飛び出さずに食べるのは苦手。
ついズボッとやってしまう。(4歳時)
ついズボッとやってしまう。(4歳時)
これくらいでも「まだ食べられる」と言われる。
これくらいでも「まだ食べられる」と言われる。

● 果物の皮

大好きな果物は、皮ギリギリまで食べる。
大人がほどほどに食べた皮など見られたら
「まだ食べれるたいね!」
と言って怒られる。
メロンの皮。極限まで削り取られる。
メロンの皮。極限まで削り取られる。
皮をかじる。(息子1歳の時)
皮をかじる。(息子1歳の時)
途中で取り上げないと、どこまでも食べ続ける。
途中で取り上げないと、どこまでも食べ続ける。
「 皮は食べられない」もしくは「食べてもおいしくない」というのも、経験を通して学習することだ。

一時期、何かのスイッチがおかしくなり、子供が葡萄の皮ばかり食べた時期もあった。
子供らが勝手にみかんを剥いて食べてるな、と思ったら…
子供らが勝手にみかんを剥いて食べてるな、と思ったら…
(拡大図)剥かずに食べてる!
(拡大図)剥かずに食べてる!
娘が3歳の頃。とうもろこしを生のまま食べて私を驚かせた。 私はこれを見るまで新鮮なとうもろこしなら生でも食べられることを知らなかった。が、娘は直感で理解した。
娘が3歳の頃。とうもろこしを生のまま食べて私を驚かせた。 私はこれを見るまで新鮮なとうもろこしなら生でも食べられることを知らなかった。が、娘は直感で理解した。

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● キープ

「美味しいものはたくさん食べたい」という思いが、「キープ」というこれまた厄介な行動を生む。
それは欲張り過ぎだろう。
それは欲張り過ぎだろう。
説得に応じ、みんなに配分。(皿の意味が無い…)
説得に応じ、みんなに配分。(皿の意味が無い…)
兄弟ができると、キープはさらに熾烈になってくる。
兄弟ができると、キープはさらに熾烈になってくる。
小さな手で果敢に
小さな手で果敢に
自分の葡萄を確保しようと押さえ込む。
自分の葡萄を確保しようと押さえ込む。
キープされた後の皿だけが残る事態が頻発。父激怒。
キープされた後の皿だけが残る事態が頻発。父激怒。
キープはどんどんエスカレートし、子供らが自分のお腹のキャパも顧みず次々自分の皿にキープするので大人の分が無くなり、何度も「キープ禁止令」を発令した。
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● 元の形を復元する

リンゴなどを切って出すと、くっつけて元の形を復元するというのもよく見た。
復元作業。こういう立体パズルあるよね。
復元作業。こういう立体パズルあるよね。
もしかするとこれは、効率よく片手でキープすることを考えた結果できたのかもしれない。

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●フォーメーション

「きれいに並べたい」という衝動もあるようだ。
みかんを食べる時はよくフォーメーションを作っている。
みかんを食べる時はよくフォーメーションを作っている。
ミカンの皮でネズミの家を作り、その周りにみかんを配置。
ミカンの皮でネズミの家を作り、その周りにみかんを配置。
マカロニサラダが…。
マカロニサラダが…。
ホットケーキを出したら、ブロッコリーを植え始めた。
ホットケーキを出したら、ブロッコリーを植え始めた。
もちろん、お弁当でいわゆる「キャラ弁」的なものを作ってもらおうものなら大喜びする。

● 躊躇せずかじる

「歯の心配」という概念がない。
堅いものであっても躊躇なくかじる。
博多名物・にわかせんぺい。
博多名物・にわかせんぺい。
容赦ない。
容赦ない。
こちらはもっと強豪。北九州名物・堅パン。
こちらはもっと強豪。北九州名物・堅パン。
これは本気で堅く、
「およそ食べ物の堅さじゃない!」
というくらい堅いのだが…
まだ乳歯も生え揃ってなかったと思う当時1歳が果敢に挑む。
まだ乳歯も生え揃ってなかったと思う当時1歳が果敢に挑む。
さすがに堅パンは無理だろうと思って様子を見ていると、
なんと、ペロペロしゃぶって柔らかくして食べていた。
なんと、ペロペロしゃぶって柔らかくして食べていた。
その日の写真を見たら、いつまでも堅パンを持っていた。
その日の写真を見たら、いつまでも堅パンを持っていた。
本当にいつまでも堅パンをしゃぶっていた。味は好きなようだ。
本当にいつまでも堅パンをしゃぶっていた。味は好きなようだ。
ついでに、博多名物ひよこ。あまりのかわいらしさに舞い上がった娘が…
ついでに、博多名物ひよこ。あまりのかわいらしさに舞い上がった娘が…
なぜかしらすを刺してオットセイのようにしていた。
なぜかしらすを刺してオットセイのようにしていた。

人はいろんなことを学習して人となる

子供と食事をしてると、正直怒号が絶えない。
さけるチーズ。本人いわく、「ミッキーマウス」。
さけるチーズ。本人いわく、「ミッキーマウス」。
世間に出して恥ずかしくないようにするには、教えるべきことがたくさんある。が、一方で子供の自由奔放さ、大人が思いつかないようなことを思いつく発想の豊かさは尊重したくもあり、あまり叱り過ぎるのもどうかなとも思う。

海で芋を洗って食べる猿がいるが、それを最初にやり始めたのは子猿だったという。芋がきれいになり、さらにほんのり塩味がついて美味しくなるそうだ。

人間においても、たまに 「これ最初に食べた人尊敬するな~」というものがあるが、そういうのも案外、子供が先行者だったりするのかもしれない。
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