
知ってるようで知らないご飯ものたち
聞いたことあるような名前だけど、微妙にずれているご飯もの。名前だけでは全貌を正確につかみづらく、なんだか気になる存在。例えばそれは「中国丼」だ。


町の普通の中華屋さん


店内も普通

やってきたのは東京都江東区にある「生駒軒」というお店。外観も店内も、昭和の頃からありそうな感じが漂うクラシックタイプの中華食堂だ。


よくある構成のメニュー


そこで見つけた微妙な丼もの

一枚の紙に縦3列に料理名が並んでいるメニューの構成も、この手の店の定番だと思う。そんな中で、微妙な異彩を放っているのが「中国丼」だ。
気づかなければなんとなく見過ごしてしまいそうな名前。それはよく似た名前の「中華丼」という定番メニューがあるからだろう。
気づかなければなんとなく見過ごしてしまいそうな名前。それはよく似た名前の「中華丼」という定番メニューがあるからだろう。


中華丼とは別物らしい


他にも展開される中国シリーズ

「この店では中華丼のことを中国丼って呼んでるんだろうな」とも思える中国丼。しかしよくよく見ると、中華丼は中華丼で別にラインナップされているのだ。
中華丼、マーボ丼、焼飯、五目焼飯からの中国丼。メジャーな中華丼との並びにおける距離感も気になるところだ。注文してみよう。
中華丼、マーボ丼、焼飯、五目焼飯からの中国丼。メジャーな中華丼との並びにおける距離感も気になるところだ。注文してみよう。


「中国丼」の正体

ほかほかと湯気を立ててやってきた中国丼。確かにこれはいわゆる中華丼とは異なる趣き。
その実体は、「細切り肉と野菜類の炒めあんかけ丼」ということになるだろうか。お店の方に中華丼との違いはなんですかと聞いてみたところ、「中国丼にはニンニクの芽が入ってるんです」とのこと。
「なるほど、ニンニクの芽。だから中国丼なのかあ」と、ならない感じが味わい深い。
その実体は、「細切り肉と野菜類の炒めあんかけ丼」ということになるだろうか。お店の方に中華丼との違いはなんですかと聞いてみたところ、「中国丼にはニンニクの芽が入ってるんです」とのこと。
「なるほど、ニンニクの芽。だから中国丼なのかあ」と、ならない感じが味わい深い。


君ゆえに中国か


レンゲのロゴがかっこいい

今回は、今ひとつピンとこないぼんやり感も楽しみたい。しかし味の方は、この手の料理を家で作る味に、中華食堂ならではの正体不明のプラスアルファがあってうれしいおいしさ。ニンニクの芽のくたり具合が柔らかめで、茎の中からとろみが出てくる食感もうまい。



そこはかとなく定番品とずれているご飯ものを求めてやってきた次なる店は、神奈川県鎌倉市にある「ミカサ」という洋食店。


洋風っぽく見えて瓦葺き


高級感のにじむ店内

歴史ある洋食屋さんという店構え。店内はシャンデリアがあったり、蝶ネクタイをしたウェイターが給仕をしてくれたりという感じで、やや高級な店のようだ。


どれもうまそうで困る


しかし今回の目当てはこれ

「本日のランチ」は、どれも音読したくなるような雰囲気が漂っていておいしそう。達筆な筆文字で書かれているのも気持ちをさらにそそる。
ただ、今回の目的は「二度聞きしたくなるご飯もの」。ここには「カツメシ」というものがあるのだ。
ただ、今回の目的は「二度聞きしたくなるご飯もの」。ここには「カツメシ」というものがあるのだ。


シーフドハンバーグも気になるな…


ダイナミックなメニューもあり

「カツ丼」でも「カツライス」でもなく、「カツメシ」。名前が定番メニューをかすめつつも、微妙に違っているのが気を引くところだ。
もちろんこれを注文。「シーフドハンバーグ」はきっと「シーフードハンバーグ」のことなのだろうが、それにしても冷静に考えると正体が見えてこない。こちらも気になるのだが、今回のくくりはご飯ものなので想像するだけに留めておこう。
もちろんこれを注文。「シーフドハンバーグ」はきっと「シーフードハンバーグ」のことなのだろうが、それにしても冷静に考えると正体が見えてこない。こちらも気になるのだが、今回のくくりはご飯ものなので想像するだけに留めておこう。


個人的には宇宙人のようにも見えた

そしてやってきたカツメシ。これは確かにカツ丼でもカツライスでもない。
「皿にご飯を盛った上にカツを乗せ、さらにアーモンド型に固めたご飯を再び乗せたもの」というのがこの料理の説明になるだろうか。高さがある分、見たときの印象にも迫力がある。
「皿にご飯を盛った上にカツを乗せ、さらにアーモンド型に固めたご飯を再び乗せたもの」というのがこの料理の説明になるだろうか。高さがある分、見たときの印象にも迫力がある。


思わずニヤけるこのビジュアル


皿の上でクロスするトンカツ

巨大なライスカツバーガーとも言えるが、手で持って食べられる大きさではない。構造ゆえに、どう取り崩して食べるか躊躇するのが楽しくもある。高さの理由の一つは、カツが二段に重ねられていることにあるようだ。
ご飯部分は白ご飯ではなく、洋食屋的にバターで炒めてあるもの。ここだけ食べてもうまい。そこにサクッとしたカツの食感が組み合わさる。
上品な店内の雰囲気の中、食べ盛りの男子中高生が喜びそうなパワフル料理が出てくるギャップも楽しい。
ご飯部分は白ご飯ではなく、洋食屋的にバターで炒めてあるもの。ここだけ食べてもうまい。そこにサクッとしたカツの食感が組み合わさる。
上品な店内の雰囲気の中、食べ盛りの男子中高生が喜びそうなパワフル料理が出てくるギャップも楽しい。



最後にやってきた店は、横浜市にある「アンダンテ」というお店。路地にたたずむ落ち着いた雰囲気の店だ。店頭にメニューボードが立っているので覗いてみよう。


木製の扉もしっとりしてる


ご飯ものトップメニューが謎

「RICE」と書かれたご飯ものカテゴリーの一番上にあるのが「ピカタライス」。ピカタライス?
ピカタ、だけなら聞いたことがある。薄く切った肉に卵たっぷりの衣を付けて焼いた料理だろう。調べてみたら、イタリア料理のひとつだそうだ。
ただそこにライスが付くとわからなくなる。どんなものだろうか。
ピカタ、だけなら聞いたことがある。薄く切った肉に卵たっぷりの衣を付けて焼いた料理だろう。調べてみたら、イタリア料理のひとつだそうだ。
ただそこにライスが付くとわからなくなる。どんなものだろうか。


伝票立てがしゃれてる


店内のメニューブックでもトップ推し

煉瓦造りの外観も情緒があったが、店内の雰囲気も大人ムード。ゆったりと食事ができるしっとりした空気が漂う店だ。店内のメニューでも、ピカタライスは一番上に載っている。注文してみよう。


ピカタは乗って……ない?

これがやってきたピカタライス。牛丼屋かと思うくらいの早さでの提供にも驚いた。
名前から想像できるのは、何らかの形でピカタが関わっている料理となるが、ぱっと見そうは見えない。スプーンで上に乗っている卵焼きをめくると、ピカタが……やっぱり見えてこない。
名前から想像できるのは、何らかの形でピカタが関わっている料理となるが、ぱっと見そうは見えない。スプーンで上に乗っている卵焼きをめくると、ピカタが……やっぱり見えてこない。


ピカタなきピカタライス


この汁がうまい!

ほじってもいわゆるピカタは出てこない。お店の方にこの料理について聞いたことをまとめると、「ピカタとは別の創作料理で、ピカタとは卵を使っていることが共通」ということなるだろうか。なるほど、それなら命名の意味合いが見えてきた。
説明すると「卵焼き&野菜ソテー汁かけご飯」ということになるだろうか。このソテー汁がうまいのだ。
材料のうま味と甘みがにじみ出ていて、さらにほどよく焦げ味寸前の香ばしさまで漂ってくる。構成そのものを似せるできても、味付けまでは真似できない料理を味わえてうれしい。
説明すると「卵焼き&野菜ソテー汁かけご飯」ということになるだろうか。このソテー汁がうまいのだ。
材料のうま味と甘みがにじみ出ていて、さらにほどよく焦げ味寸前の香ばしさまで漂ってくる。構成そのものを似せるできても、味付けまでは真似できない料理を味わえてうれしい。







最後の店で食べた「マカロニインディアン」



聞いたことがあるような気がしつつ、実は知らないご飯もの。まだまだ発掘できそうなので、これからも出会い次第味わってみたい。
上の写真はピカタライスの店でもう一品頼んだ「マカロニインディアン」。その正体はカレー味のマカロニ。持ち上げると妙に長くて楽しい気持ちになる料理だった。
上の写真はピカタライスの店でもう一品頼んだ「マカロニインディアン」。その正体はカレー味のマカロニ。持ち上げると妙に長くて楽しい気持ちになる料理だった。
