特集 2012年3月14日

パッケージが強い中国のカンヅメ

おまえは何の魚じゃ?
おまえは何の魚じゃ?
先週の記事に書いたとおり上海に行ってきました。せっかくなのでお土産を買って帰ったわけですが、あちらの空気や味を密封!直送!みたいなのってないかなあ…。お、ならば「カンヅメ」はどうだろう。いくつかお土産に購入し試食してみました!
1972年佐賀県生まれのオトナ向け仕事多数のフリーライター。世間の埋もれた在野武将的スゴ玉の話を聞くのが大好き。何事もほどほどに浅く広く、がモットー。

前の記事:東京から中国経由で地元に帰る(8000円の航空券で)

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中国のカンヅメシーンはどんな感じ?

日本だと魚や貝の水煮や味噌煮・フレーク、焼き鳥にツナ缶などカンヅメの種類はやたら豊富。さらに安い! おかずに良し、ツマミに良しと独身ならずとも使える品だ。自分の周りでは最近妙にブームが来てる。デイリーポータルZでも年末に「至高の缶詰」てのがありましたしね。

一方で上海でも最大級のスーパー・カルフールに行ってみると…あったあった、カンヅメコーナー。しかし日本ほどバラエティに富んでる感じはしない。値段を見るとカンヅメ買って食べるより、街中の店で食った方が割安なんじゃ?という気がする。日本の100円カンヅメをイメージすると、物価の違いを考えても若干お高い。
まあそれなりに並んでるようには見えるんですが…。
まあそれなりに並んでるようには見えるんですが…。
ランチョンミートがやたら多い。
ランチョンミートがやたら多い。
あとデカめの魚缶。
あとデカめの魚缶。
どうやらお粥の缶。
どうやらお粥の缶。
カンヅメコーナーは大きくランチョンミート・魚・粥。見た感じ大きくこの三種に分かれていた。しかし日本のとはパッケージが違うなあ…。中国語なのもあって味も想像つかねえ。

ということで4つほどお土産に買って試食会を行ってみました。まずはこちら。中国南部の海沿いの都市・アモイで作られたカンヅメです。
1.香○肉醤
二つ目の漢字出すとテキストが崩れちゃうので○にしてます。
二つ目の漢字出すとテキストが崩れちゃうので○にしてます。
素材の味をアピール。でもなんかぐちゃっと。
素材の味をアピール。でもなんかぐちゃっと。
英語の方がわかりやすい。
英語の方がわかりやすい。
見てのとおり「PORK MINCE WITH BEAN PASTE」。豚のミンチと豆?豆で肉だからチリビーンズみたいなやつ?と買った時には思ってました。ちなみに2文字目の「くさかんむりに姑」の字はきのこを意味するそう。

そして皿に出してみるとこんな感じ。なるほどペースト。
まあ、あまりいいビジュアルではない。茶色。
まあ、あまりいいビジュアルではない。茶色。
順番に酒のつまみに味わってみました。
順番に酒のつまみに味わってみました。
ひとくち食べた感想は「肉みそ?」「田舎みそ?」という声多し。まあハッキリ味が濃くて、中には豆、そしてきのこが入ってる。というか商品名の「香○」ってのは椎茸の事でした。しいたけ&豆入り肉みそって感じでしょうか。

ただ単体で食べるには味濃すぎるな~。「おにぎりに塗って食うと美味そう」「ジャージャー麺的にもいいよね」てのに納得。ただ「これウチのシーズーに食べさすアレルギー犬用ドッグフードにそっくりだよ!」て意見もありましたが…。
2.黄花魚
さて続いては魚系。この辺の魚缶がなかなかビジュアル強めなんだよな…。まずは「黄花魚」。地元上海産のカンヅメです。
文字通り、黄色い魚…。なんすかコイツは!
文字通り、黄色い魚…。なんすかコイツは!
ダブルでびっくり顔。
ダブルでびっくり顔。
「特色」てのが気になる。
「特色」てのが気になる。
そんな変わった味付けではなさそう。
そんな変わった味付けではなさそう。
この魚の黄色さ、一瞬怯む!サバとかサンマ風の絵だったら中に入ってる物も想像しようがあるけど、こんな見たことない魚だとサイズすら想像できない。一匹丸々入ってたらどうしよう…食べるんだけど。

と、思いつつ開けてみるとこんな感じでホッとした。さすがに黄色いの丸ごとってことはなく食べやすそうだ。
身がほどほどにほぐしてある。
身がほどほどにほぐしてある。
食べてみての感想は…「味としては珍味系?」「昔駄菓子屋にこういうのあった」「魚醤系の味がはっきり」「ご飯に合いそう」「マヨネーズかけたらもっといい」などなど。あと自分は食べたことないので比較出来ないんですが「棒鱈ぽい」てのに納得する意見多かったですね。
でもパッケージは皆一瞬「え?」て顔する。
でもパッケージは皆一瞬「え?」て顔する。
マヨネーズは魔法の調味料。
マヨネーズは魔法の調味料。
ちなみに今回紹介する缶、妻の知人の中国人の方にすべて見てもらったんですが、この缶の「黄花魚」て魚は日本名「イシモチ」で、このカンヅメもけっこう有名なものなのだとか。
イシモチで画像検索。黄色じゃない!
イシモチで画像検索。黄色じゃない!
3.広東風尾魚
さて魚缶ふたつめはこちら。さっきの黄花魚もインパクトあったけど、こっちもインパクト強いイラスト。見た瞬間「金魚?」「深海魚?」て皆言ったのもわかる。うっすら骨見えてるし。
広東省の「風尾魚」のカンヅメだそうです。
広東省の「風尾魚」のカンヅメだそうです。
いったいなんだこの魚は?
いったいなんだこの魚は?
よく見たら「アンチョビ」て書いてある。
よく見たら「アンチョビ」て書いてある。
工事看板レベルに頭下げすぎな缶のフタ。
工事看板レベルに頭下げすぎな缶のフタ。
アンチョビ、という部分で分かるとおりカタクチイワシ科の小魚の一種のようです。こんな魚だったんだなあ。むき身になった状態しか知らなかったよ。
中はこんな感じ。
中はこんな感じ。
ただ我々が普段食べる機会が多いアンチョビと違うのは、味つけがしっかり中華なこと。「スパイシーだよね」「八角?」「紹興酒に合いそう」といった感想。

しかし普通アンチョビというと瓶詰めのやつや、もうスパゲティなんかに入った状態のしか見たことなかったけど、こういうパッケージだとイメージ全然変わるもんだなあ。そっちの方が衝撃。
4.八宝粥
そして最後、ご飯ものだからということでラストにしたお粥。シリーズがいろいろある中でなんとなく「八宝粥」てのをチョイス。先に聞いた中国の方曰く「これは美味しいですよ!子供が好きです。国内向けの味だけど日本人はどうかな」とおっしゃってたそうですが…。
缶入りおかゆ、て日本じゃあんまりないですよね。
缶入りおかゆ、て日本じゃあんまりないですよね。
ぐちゃぐちゃっとした感じ。
ぐちゃぐちゃっとした感じ。
砂糖ほかいろいろ甘そうな感じです。
砂糖ほかいろいろ甘そうな感じです。
あけるとこんな感じ。うーん…。
あけるとこんな感じ。うーん…。
あ、でもすくってみると美味そうじゃないすか。
あ、でもすくってみると美味そうじゃないすか。
口に入れると…甘い!お粥という名前に惑わされてたけどこりゃスイーツだわ。「これは美味しい!」「甘すぎないのがいい」「冷めててもうまい」「二日酔い明けの朝とかに食べたい」「おしゃれカフェとかで売れそう」とほぼ絶賛。
甘いのも好きな酒飲みにはたまらん。
甘いのも好きな酒飲みにはたまらん。
ちなみにこのお粥缶出してる「娃哈哈(wahaha)」て会社、wikipediaによれば世界第5位の飲料メーカーで、米フォーブスの調査だと会社のトップは中国人一のお金持ちなのだとか。10数億の人口の国で天下を取った味!そりゃ美味いわ。

こう4つ見てみると、どれもパッケージで「素材の味」を出そうとしてるんだけど、残念ながらあまり美味しそうには見えない…写真にしろ魚の絵にしろ。しかしそれも日本のやたらめったらなシズル感演出とか潔癖感溢れすぎ映像に見慣れすぎなのかもしれない。とはいえイラストで魚の色まで変わっちゃうのは謎だけども。

ちょっとパッケージのセンスが日本と合わない気もしますが、味は中国の香りしっかりたっぷり。見た目のインパクトも込みでお土産にしてみてはどうでしょう。コンビニにもありましたよ!

会社のロゴがショッカーっぽい。
会社のロゴがショッカーっぽい。

大陸より島国の身近さか

こんな会を開く、といったら友人が台湾の鰻缶を持ってきてくれました。これはかなり日本に近い味。缶のサイズも日本ぽい。中国と台湾の方が人間的には近いはずだけど、やっぱ島国だと似通ってくるのかねえ?
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