特集 2012年2月20日

紙が鍋になるのならなんでも鍋になるんじゃないの

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紙鍋というものがある。紙に水を入れてそれをそのまま直火にかけて加熱するというもの。

あれ凄いな、何でそんなことが出来るんだ。と思って調べてみると、水は100度以上にならないから、300度くらいで着火する紙は、水に冷やされ続けて温度が上がらないから燃えないらしい。

100度で冷たい扱いってなんだそれ。テレビで「高級肉を目隠しで当てよう!って企画をやっていて高級肉が100グラム1万円、安い肉が100グラム千円で、ええええっ、安い扱いの肉でも超高いじゃん!ってなった気分を思い出した。

と、いうことは別に紙じゃなくても100度で燃えないものなら何でも鍋に出来るんじゃないの。
1983年三重県生まれ、大阪在住の司法書士。
手土産を持参する際は消費期限当日の赤福で受け取る側に過度のプレッシャーを与える。

前の記事:名前が書かれている物は、まぬけ可愛い

> 個人サイト owariyoshiaki.com

ウエルカム紙鍋

何か良くわかんないけど凄いな紙鍋。って思ってたけど、仕組み的なものを知って、また凄いと思った。でも、凄いのは仕組みで、紙自体じゃない。きっと紙以外でも鍋になるはず。
我が家に紙鍋が。
我が家に紙鍋が。
そう思ってとりあえず紙鍋セットを買ってきた。土台とか燃料とか全部含めて2000円くらい。高級な感じのする紙鍋がお手ごろ価格で我が物に。

でも「折角なんで固形燃料入れは付けておいてあげますね」っておばちゃんが言うから「はい」って返したらちゃっかりお金は取られて大阪は怖いと思った。

紙鍋、ちゃんと燃えない

とりあえず使ってみる。
とりあえず使ってみる。
まぁ、とりあえず使ってみるかと適当な具材に水を加えて火をつける。こういうのって、外でやる時はそうでもないけど、自分の家でやるとなるとどきどきする。
うおー、燃えてるー。
うおー、燃えてるー。
さぁ火がついた。燃え、ない!やっぱり燃えない。そりゃそうなんだけど、やっぱり不思議だ。
アクだらけ・・・。
アクだらけ・・・。
ちゃんと燃えずに鍋が沸いた。更に紙鍋にはアクを吸い取る力があるらしい…。ってみたらびっくりするほどアクだらけだった。吸い取ってこれなのか、実は吸い取っていないのか。
でも美味い。
でも美味い。

紙鍋、ちゃんと燃える

カッチカチやぞ。
カッチカチやぞ。
おぉ、やっぱり紙なのに燃えない。凄い。って思ったけれども、実は使う前に違和感を覚えていた。この紙、カッチカチやぞ。
もしかして、もともと燃えないとかさ、まさかね…。
もしかして、もともと燃えないとかさ、まさかね…。
昔、お相撲さんを力いっぱい押したときビクともしなくて、岩ッ!?ってなったときくらいの感じで紙鍋の紙を触ったときも岩ッ!?ってなった。いや、違うわ、岩じゃなくて、なんか、そんな感じの材質かと思った。

もしかして、元から燃えない材質なんじゃないかと思いました。
完全に燃えた。
完全に燃えた。
そう思って燃やしてみたら簡単に燃えた。まさかこんなにあっさり。この疑いのかけ方と濡れ衣っぷりは人だったら挽回出来ないレベルの気まずさ。紙鍋が人じゃなくてほんとに良かった。

異素材へ

と、紙鍋では鍋が出来るということが判明した。いや、判明してたけど、認めた。しぶしぶ。

やっぱり思うのが紙で出来るなら他のもので出来るだろう、という事。じゃあ、これでも出来るんじゃないかな。
出汁鍋
出汁鍋
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昆布を鍋にしたら出汁出まくりでは

紙の代わりに何を鍋にすれば良いか。条件としては薄い、水が漏れない。くらい。そこで良いこと思いついた。
水たまりかってくらいにしか入らない
水たまりかってくらいにしか入らない
昆布だ!昆布なら薄いし水が漏れないし、しかも昆布から出汁が出続ける。凄いことを思いついてしまった。と思って検索してみたら一番初めに出てきた。~社団法人昆布協会~昆布鍋
一人前なら十分か。
一人前なら十分か。
先を越された、と思ったがそれよりも強い、やっぱり昆布も鍋になるんだ!という気持ち。これは自分もやってみたいと昆布を水に漬け込んだ。

凄くおいしい昆布鍋

家にあった昆布を使ったので入る量が少ないが、このくらいの量で旅館の朝食の右上あたりに置かれているとうれしい感じの昆布鍋。
着火!
着火!
果たしてちゃんと鍋は沸くのか。心配しながらも火をつける。おぉ、燃えない。
結構何でも鍋になるな。でも、焦げてる?
結構何でも鍋になるな。でも、焦げてる?
火にかけた昆布は燃えずに中の具材を熱していく。やっぱり薄くて水が漏れなきゃ鍋になる。

鍋は何でも良いんだな。と思いかけたが、誰でも出来る事を本業として生きている鍋は鍋として凄いヤツなんだろうなと思った。鍋は鍋界のエリートだ。
煮えた。
煮えた。
さぁ、昆布鍋が煮えた。紙鍋と変わらずアクだらけだが、味はどうなんだろうか。
出汁、凄い。
出汁、凄い。
美味い。すごく美味い。旨みっ!って味が凄くする。

その旨味が豆腐で凄く強く出た。淡白な豆腐とじんわりとした昆布の旨み。主役じゃなくて努力してきた脇役が試合を決めた。みたいな地味だけど嬉しい味。

これ、昆布鍋、凄くおいしいよ。
完食。昆布が縮んでる。
完食。昆布が縮んでる。

100度まで耐えられれば良いんだろ

やっぱり鍋は紙じゃなくても大丈夫。薄くて水を通さなければ良いんだ。じゃあ、これは。
理論的には大丈夫なんじゃないですか。
理論的には大丈夫なんじゃないですか。
薄くて水を通さないサランラップ、条件的にはばっちりだ。さらに調べてみると耐熱温度は140度。100度に冷やされるという理論的にいけばこれでもお湯は沸かせるはず。
と、いうことでセット。
と、いうことでセット。
出来るはず。と、思ってはいるが、なんとなく失敗するだろうな感があるのでお湯だけで挑戦。
燃えない!溶けない!
燃えない!溶けない!
恐る恐る固形燃料に火をつける。火を付けた瞬間にザパッとなるのでは、と、思ったが、燃えない!溶けない!サランラップを火にかけても大丈夫。
経験での予測を超える、理論。火にかかったサランラップ越しの火。
経験での予測を超える、理論。火にかかったサランラップ越しの火。
理屈はわかっていてもやっぱり不思議だ。でも考えてみれば飛行機が飛んだり、遠くの人とお話が出来る事の方が不思議で、不思議って思うか思わないかは慣れの問題なんだろう。

これから僕が毎日サランラップでお湯を沸かしていけばそれが当たり前になるけど、知らないでそれを見た人は凄く不思議に思うだろう。そういう経験とか感覚じゃなく、理論で世界を解き明かす頭の良い人は凄いですね。
なんでっ!?
なんでっ!?
とか思っていたら、急に水が漏れ出した。なぜっ!燃えたような形跡は無いが、小さな穴がちょこちょこと開いてきている。

これは、金網か。金網が耐熱温度を超えて溶かしていったのではないか。と仮説を立てたが金網も水に冷やされるはずなので違うかも。冷やされる以上に熱されたのかも。という事で理由は不明。
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鍋自由時代到来

サランラップは失敗に終わったが、もう鍋の門戸は開かれた。鍋開国だ。
これなんか凄くいけると思う。
これなんか凄くいけると思う。
鍋、といえばとりあえず具材入れときゃいい。そんなイメージだが、これからは鍋自体もとりあえず薄けりゃ良い。という感覚。
薄焼き卵、名前からして薄いからOK
薄焼き卵、名前からして薄いからOK
最近は鍋の種類が豊富に出すぎてそろそろネタが尽きてきたのではないかという所で、鍋の素材からのアプローチ。
親子鍋
親子鍋
鍋が卵で鶏肉を具材とした親子鍋。もちろん鍋まですべて食べられる。ただし注意しないと鍋を突き破って漏れ出すことがある。
焼けない玉子。
焼けない玉子。
そんな玉子の鍋、本当に火が入る。サランラップの後だと全く不思議に思わない。無茶なお願いの後だとある程度のお願いは聞いてもらえるよ。みたいな状態。
ちゃんと煮えました。
ちゃんと煮えました。
なので当たり前に食べきった。食べ終わった後、汁を捨てて食べた玉子は火が当たっていた部分だけ乾燥して硬かった。

肉鍋が作りたかった

次は何を鍋にしたいか。思いついたのが肉、だ。肉が鍋で具も肉な肉鍋。鍋がアクを吸うとかじゃなく鍋もアクを出す。悪夢のような理想の鍋、肉鍋。
良い色
良い色
それには面積の大きな肉を手に入れなければ。デパ地下の肉屋で「一番広い肉はどれですか?」と聞いて「よくわかんないけどこれじゃない?」みたいなリアクションされながらもその肉を買ってきた。

一枚だけだったらダメかな。と思って何枚か買おうとしたら一枚800円って事だったので、なんだよ、一枚で悪いのかよ!って開き直って買ってきた(誰も悪いと言っていない)。
この幅広さよ。
この幅広さよ。
これはデカい。デパ地下はやはり凄いぜ。破れない様に慎重に作業する必要がある。
と、思ったらこれ、三枚じゃん。えっ。
と、思ったらこれ、三枚じゃん。えっ。
一枚くださいって言って買ったのに予想外の三枚。なんだ、一パックみたいな単位でこのビニール一枚あたりでの販売か。メインはビニールか。

残念だがこれで肉鍋を作るのは難しい。これは具材として、次の鍋にかけよう。

鍋になるためにある食材なのでは

もうぴったりだ。
もうぴったりだ。
最後に鍋(調理器具)にする食材はキャベツ、春キャベツだ。何か無いかなと思ってスーパーで探していて見つけた瞬間、これだと思った。
サラダっぽい、鍋
サラダっぽい、鍋
適度な厚さと強度、水分を通さず、水が入れやすい形状。鍋に適しているというよりもうこれは自然の鍋だと思う。見た目はサラダ。
結構穴が開いている。
結構穴が開いている。
意外と難関。
意外と難関。
ばっちり鍋な春キャベツなのだが、きっちりと完成品に仕上げるのが難しいらしく割れてたり、穴が開いていたりと意外と使えるものはなかなか見つからない。

花開くキャベツ

こんなに華やかな鍋を見たことがあるだろうか。
こんなに華やかな鍋を見たことがあるだろうか。
やっと見つけた水漏れのない鍋ツ(鍋キャベツの略)を一人用のコンロにセットして驚いた。鍋が、咲いた!キャベツ状態では見た事のない花開き感。キャベツはこうして使うものだったのではないか。
やっぱり燃えたりしない。
やっぱり燃えたりしない。
もちろん鍋としても性能もばっちり。燃えずに具材に熱をきっちり伝える。
野菜イン野菜
野菜イン野菜
キャベツの中で白菜が、ネギが茹で上がっていく。キャベツの中で煮るとね、食材にキャベツの甘みが染み渡っていくんですよ!って言われたらきっと信じる。そんなことは感じなかったけど。
キャベツしゃぶしゃぶやー!
キャベツしゃぶしゃぶやー!
やはりメインは肉。今回はしゃぶしゃぶ。
キャベツの中でもきっちりしゃぶしゃぶ出来る。
キャベツの中でもきっちりしゃぶしゃぶ出来る。
肉がお湯の中でどんどん色を変えていく。その背景はキャベツの鮮やかな黄緑。その形状も自分にだけ開かれたドームの様で、自分のためだけ、という感じがあり、しゃぶしゃぶするのが楽しい。
美味い!テレビで安いほうの肉と扱われた100グラム1000円の肉以下の肉だけど、美味い!
美味い!テレビで安いほうの肉と扱われた100グラム1000円の肉以下の肉だけど、美味い!
そして美味しい。キャベツの影響はわからないけど美味しい。

キャベツも美味しい

筋を重点的に焼いておきました。
筋を重点的に焼いておきました。
大満足で食べきって、片づけのときにキャベツを見たら、結構長い時間火にかけていたのに筋の所が焦げている程度。焼肉ならちょっと目を離した程度の焼け具合。
甘い…!
甘い…!
こりゃ食べれるな、と思って食べてみたら甘い!春キャベツの甘さがじっくりと引き出されたような甘さで凄く美味しい。いや、そりゃ肉のほうが美味かったけれど、鍋(調理器具)が美味いって凄い。

やはりキャベツ、鍋適正ものすごいものがあるぞ…。キャベツは鍋で良いと思う。あと、キャベツ鍋の具材もキャベツにすれば良かったと今更思った。

紙は鍋になる、ならば凄いな。で終りだが、水は100度以上にならないからなんたらかんたら、って話だとじゃあ薄いものなら何でも出来るのでは、と展開出来る。物事の理由を説明出来るって事は凄い事だ。

学生時代、数学の公式とか意味が分からなかったけれど、これは現実世界の公式という感じで凄く面白い。面白いですね、世界。
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