

ビリビリ来るぜ!ドクキノコあめ

手書きの「ドクキノコ」にしびれる

輸入食品を扱う店に行くと、キャンディやグミといったお菓子の中に、激しくアシッドなデザインのものを見かけることがある。派手な原色系だったり、爬虫類の形をしていたりするあれだ。
さすが外国、日本とは違うな…と思わされるあのセンス。しかし、日本の古典的なお菓子にもそれに負けない名前のものがあった。それが「ドクキノコあめ」だ。
さすが外国、日本とは違うな…と思わされるあのセンス。しかし、日本の古典的なお菓子にもそれに負けない名前のものがあった。それが「ドクキノコあめ」だ。

1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」
前の記事:インド料理店で食べる「カレーうどん」
> 個人サイト テーマパーク4096 小さく息切れ
前の記事:インド料理店で食べる「カレーうどん」
> 個人サイト テーマパーク4096 小さく息切れ

ウィットが効いてる駄菓子たち
「ドクキノコあめ」がなるものがあると聞いてやってきたのは、宮城県仙台市。きなこねじりや黒パンといった仙台駄菓子が知られる地だ。


にぎやかな仙台駅前


そこから程ないところにあるこのお店

訪れたのは「山益屋」というお店。建物のたたずまいからして落ち着いた雰囲気。アシッド感はまるでなく、格子柄の暖簾たなびく様子がしっとりした風情を醸し出す。


年季の入った看板


訴求力あふれる張り紙

入り口横には「仙台だがし」と書かれた木の看板が。白い紙に筆文字で書かれた張り紙と合わせて、昔ながらの情緒がにじむ。
「のどがいたいとき ハチミツ入り もち米あめ」と書いてある紙を見ていると、おばあちゃんから諭されてるような気持ちにもなる。中に入ってみよう。
「のどがいたいとき ハチミツ入り もち米あめ」と書いてある紙を見ていると、おばあちゃんから諭されてるような気持ちにもなる。中に入ってみよう。


クラシックタイプの駄菓子いろいろ


にっきあめの隣に…あった

基本的な品揃えは伝統的な仙台駄菓子。素朴さが味わい深いそれらの中から、よく探すと「きのこあめ」と書かれた札を見つけた。
これのことだろう。手に取ってみよう。
これのことだろう。手に取ってみよう。


渋いキラキラを放つ「ドクキノコあめ」


袋の中から男前なのをチョイス


傘部分のブツブツがクール

傘のボツボツが加わったことで、キノコを模した形の愛らしさだけでは終わらせない雰囲気の飴。かわいさを基本にしつつ、リアルをまぶしてある。
それにしてもこのビジュアル、ドクキノコという程ではないのではないか。アシッドよりもキュートの方が前面に出ている印象を受ける。
それにしてもこのビジュアル、ドクキノコという程ではないのではないか。アシッドよりもキュートの方が前面に出ている印象を受ける。


でも名前はしっかりドクキノコ


試食を勧めてくれるおかみさん

お店のおかみさんに「どうしてドクキノコあめって言うんですか?」と尋ねると、「ウフフ!」と、いたずらっぽく笑うというのはこのことだという声。そして「食べてみればわかるわよ」と、試食の飴を渡してくれた。


この店最高のアシッド


なるほどねー

刺激的な風味が口の中に広がる。「ニッキの香りがピリッとくるでしょう」とおかみさん。その辛さが「ドク」キノコの由来なのだ。
ニッキアメの派生品として作られたこの飴。可憐なキノコの形に、ニッキの刺激。それをもって「ドクキノコあめ」とするセンス。日本のアシッドキャンディは決してどぎついことなく、茶目っ気の効いたものだった。
上の写真の「おばけの金太」のおもちゃは、ガラスケースの中で独特の雰囲気を漂わせていたもの。ただこれ、確か熊本のものではなかったか。他にも仙台とは関係のないものが並んでいる。
ニッキアメの派生品として作られたこの飴。可憐なキノコの形に、ニッキの刺激。それをもって「ドクキノコあめ」とするセンス。日本のアシッドキャンディは決してどぎついことなく、茶目っ気の効いたものだった。
上の写真の「おばけの金太」のおもちゃは、ガラスケースの中で独特の雰囲気を漂わせていたもの。ただこれ、確か熊本のものではなかったか。他にも仙台とは関係のないものが並んでいる。


全国の民芸品が一堂に会する


隣の部屋にはこけしゾーンも

ケースの中には日本各地の郷土玩具が。どれも愛嬌があって、見ていて楽しい。
これらのおもちゃ類、菓子職人であるご主人が全国各地のデパートに呼ばれて行った際、おみやげとして買ってきてくれたものとのこと。ずらっと並ぶ工芸品は、その出張の足跡なのだ。
これらのおもちゃ類、菓子職人であるご主人が全国各地のデパートに呼ばれて行った際、おみやげとして買ってきてくれたものとのこと。ずらっと並ぶ工芸品は、その出張の足跡なのだ。


名札と逆だが、右側のが「うさぎだま」


試食もあったのでいただこう

ドクキノコあめが溶け終わったところで、「他のも食べてって」と勧めてくれるおかみさん。いくつかある中から。「うさぎだま」というのをいただいた。名前が可愛らしかったからだ。
「これは白うさぎに似てるからそういう名前なんですか?」と聞きながら口に入れてみる。
「これは白うさぎに似てるからそういう名前なんですか?」と聞きながら口に入れてみる。


えっ…そういうことなの…


意外とグイグイ洒落が効いてる

「いやいや、ほら、うさぎの糞って、コロコロしてるでしょ」とおかみさん。悪ふざけ気味にうんこや鼻くそと名付けられたお菓子を見たことはあるが、こんなクラシックなお菓子にそんな意表を突かれるとは。
そっちだったか…と思いながら味わううさぎだま。中身はあんこで、噛み切った断面をじっと眺めて微妙な気持ちになる。
そっちだったか…と思いながら味わううさぎだま。中身はあんこで、噛み切った断面をじっと眺めて微妙な気持ちになる。


買って帰った駄菓子詰め合わせ


箱の柄が渋い&かわいい


シンプルさがかっこいい原材料表記


毛むくじゃらの怪童も登場する由来説明







取っておきたくなる包み紙の留めシール



インパクトある名前の飴を求めて訪れた、仙台駄菓子の店。ドクキノコと言ってもその名の通りに毒々しいわけではなく、粋なとんちの効いたものだった。
優しくお菓子について教えてくれるおかみさんとのやりとりもあったかく、楽しいひとときでした。
優しくお菓子について教えてくれるおかみさんとのやりとりもあったかく、楽しいひとときでした。

![]() |
||
▽デイリーポータルZトップへ | ||
![]() |
||
![]() |
▲デイリーポータルZトップへ | ![]() |