特集 2012年1月5日

ダム好きは重力式コンクリートの夢を見るか?~ダム型枕と川抱き枕

布団の上のダムと川
布団の上のダムと川
古来より初夢は1年の吉兆を占う、と言われる。

ダム好きとしては、ぜひともダムの初夢を見て、今年1年の無事と健康を願いたい。

それなら、全力でダムの夢を見るような環境を作ろう。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

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ダムの初夢を見るには

ことわざでは、縁起のいい初夢として「一富士、二鷹、三茄子」と言われている。その由来を調べてみたけど、諸説あってよく分からない。家康の好みとか、正直なところ今となってはどうでもいいものばかりだ。

それなら、現代のダム好きとしては、初夢に「一藤原、二矢作第二、三成出(いちふじわら、にやはぎだいに、さんなるで)」あたりのダムを見たいと思うのだ(てきとうです)。
夢に藤原ダムが出てきたら素直に嬉しい
夢に藤原ダムが出てきたら素直に嬉しい
夢に矢作第二ダムが出てきたら少し驚く
夢に矢作第二ダムが出てきたら少し驚く
夢に成出ダムが出てきたら起きても忘れない
夢に成出ダムが出てきたら起きても忘れない
僕の知り合いは、前の日の夢の続きを見ることができたり、「よし、ここで飛ぼう」と思って飛べると話していた。うらやましい。でも僕は普段あまり夢を覚えていないし、見ている夢をコントロールもできない。そんな僕でもどうにかしてダムの夢を見ることはできないか。

そこで、ダムの形をした枕を作ることにした。ダムに頭を乗せて眠れば、きっと少しはダムの夢を見るだろう。耳じゃなくて目から入る睡眠学習法である。

ついでにもうひとつ、ダムから伸びる川の形の抱き枕も作ることにした。川を抱きながら、ダムに頭を乗せて眠る。想像するだけでわくわくしてきた。もはや自分が坂東太郎(利根川の異称)状態である。
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枕を作ろう

枕の中には蕎麦殻や綿を詰めることも考えたけど、作業のしやすさや経済性を考慮して、中身はたたんだバスタオル詰めることにし、サイズを計測した。抱き枕は実際に自分が抱いている姿でサイズを測り、大きさを決めた。
抱いたイメージで抱き枕のサイズを測る
抱いたイメージで抱き枕のサイズを測る
枕と抱き枕のサイズが決まったところで、材料を買いに手芸店に行った。裁縫の経験なんて小学校の家庭科以来なので何をどうしたらいいか迷ったけど、コンクリートと川の色の布を買ってきた。
初めて入る手芸店に少しドキドキ
初めて入る手芸店に少しドキドキ
「コンクリート色の布が欲しいんですけど」
「コンクリート色の布が欲しいんですけど」
買ってきたもの
買ってきたもの
材料が揃えば、あとはダムと川の形に切って縫うだけである。しかし裁縫素人には楽な仕事ではなく、形を決めて切るだけで1日、そして縫うのに3日かかった。年越しは布と針を持って過ごした。年越しそばと同じように細くて長いから、縁起がいいと言えばそんな気がする。
この布切っただけでものすごい達成感
この布切っただけでものすごい達成感
年末の特番など見ながらひたすらちくちく
年末の特番など見ながらひたすらちくちく
ダム枕の方は、構造としては簡単である。箱の展開図のように布を切って、バスタオルを出し入れする1面を除いて縫い合わせ、縫い合わせていない面をフタにしてマジックテープをつければ完成、のはず。

川型抱き枕は、単純に真っすぐ棒状にしてもよかったんだけど、何となく「川感」を出すために蛇行させてみた。このカーブを出す計算に机上で数時間かけた挙げ句、最終的にはフリーハンドで下書きを仕上げた。人生、理論より思い切りが大事なときの方が多いと思う。
はじめはメジャーで測ったりするも
はじめはメジャーで測ったりするも
結局フリーハンドで下書き
結局フリーハンドで下書き
文系がこんな曲線を計算で出せるわけがない
文系がこんな曲線を計算で出せるわけがない
表裏の2枚を重ねて縫いしろを残して切り抜いた
表裏の2枚を重ねて縫いしろを残して切り抜いた
待針で留めるとずれないということを学習
待針で留めるとずれないということを学習
たぶん、本当は型紙を作ったりするんだろうけど、面倒なので布に直接シャーペンで形を描いた。この面を裏にして縫えば問題ないだろう。
何というか、文化祭の出し物を作っているようなレベル
何というか、文化祭の出し物を作っているようなレベル
慣れてくると見よう見まねでこういうことしたくなる
慣れてくると見よう見まねでこういうことしたくなる
しかしこのボタンをぜんぶ表裏逆につけていたりした
しかしこのボタンをぜんぶ表裏逆につけていたりした
抱き枕の方は、微妙な曲線がマジックテープだと難しそうなので、タオルを詰める入り口をマスナップボタンで留めることにした。

年末に始めた作業は、結局年を越しても終わらず、元旦に実家に帰ってからもちくちく縫い続けた。おかげで玉結びと玉留めには自信がついた。
帰省した実家でもちくちく
帰省した実家でもちくちく
そうして、元旦の夜にようやくダム型枕と川型抱き枕が完成した。
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ダム型枕と川型抱き枕

それでは今回作ったダム型枕をご紹介しよう。
コンクリート色が頼もしいダム型枕
コンクリート色が頼もしいダム型枕
形は単純な直方体で、重力式コンクリートダムのイメージである。表面には薄いグレーの布が2本接着(裾上げテープをアイロンづけ)してあって、放流した水を導く導流壁をイメージしてある。
導流壁とは水が外にあふれないようにする壁
導流壁とは水が外にあふれないようにする壁
裏返すと底の部分がフタになっていて、中に折り畳んだバスタオルが2枚入れられる設計だ。
底はマジックテープで留めるフタになっている
底はマジックテープで留めるフタになっている
バスタオル2枚で高さを調節できる
バスタオル2枚で高さを調節できる
導流壁に挟まれた真ん中にはマジックテープがあって、これで放流ゲートを表現している、のではない。

枕とは別に放流ゲートをイメージしたアタッチメントを何種類か作り、その日の気分で付け替えることができるようにした。
ゲート部分をイメージしたアタッチメント
ゲート部分をイメージしたアタッチメント
つまり、ゲート部分を付け替えることで、緑のゲートが3門の藤原ダムだったり、赤いゲートが4門の矢作第二ダムだったり、黒いゲートがたくさん並んでいる成出ダムに変身できるのだ。
藤原ダム風
藤原ダム風
矢作第二ダム風
矢作第二ダム風
成出ダム風
成出ダム風
さらに側面にはポケットがついていて、使わないゲートアタッチメントや携帯電話を入れておくことができる。
iPhoneがピッタリ収まるサイズ
iPhoneがピッタリ収まるサイズ
iPhoneのアラームには放流サイレンを設定してあって、ダムの臨場感たっぷりに起床できるのだ。むう、我ながらほぼ完璧な設計である。

川型抱き枕は、悠々と流れる一級河川をイメージしたS字型のクッション。
誰が何と言おうとこれは川の形である
誰が何と言おうとこれは川の形である
側面の一部がスナップボタンになっていて、中身を出し入れできる。こちらもバスタオルを想定していたけど、意外に大きくて毛布を入れたらちょうど良くなった。
ここから中身を出し入れできる
ここから中身を出し入れできる
ボタン部分はパッツンパッツンになってしまった
ボタン部分はパッツンパッツンになってしまった
さて、このふたつを布団の上に配置するとこんな感じになる。
誰が何と言おうとまさしくダムと川だ!
誰が何と言おうとまさしくダムと川だ!
さっそく実際に寝てみた。S字の曲線部分が胸からお腹あたりにフィットしてなかなか心地いい。
正月早々おっさんの抱き枕姿を世界に配信するのもデイリーポータルZならでは
正月早々おっさんの抱き枕姿を世界に配信するのもデイリーポータルZならでは
それでは、ダムを見に夢の世界に出かけよう!
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ダム枕で寝てみる

初夢の定義としては、元旦の夜という説と2日の夜という説があるらしいけど、今回は元旦の夜から2日にかけて見る夢とした。

実家で正月料理をたらふく食べ、だらだらとテレビを見ていたらだいぶ遅い時間になってしまった。ではダム型枕と川型抱き枕で寝てみよう。
午前1時を過ぎてしまった
午前1時を過ぎてしまった
起きてすぐ夢を記録できるようにノートとペンも準備
起きてすぐ夢を記録できるようにノートとペンも準備
ではおやすみなさい!
ではおやすみなさい!

すごく寝た

いつもとは違う手作りの枕、そして慣れない実家の布団ではあったけど、翌日起きたら放流警報アラームはいつの間にか止まり、時刻は昼を過ぎていた。ダムと川、なんという寝心地の良さ。でも川型抱き枕は暑かったらしく、布団の外に落ちていた。
なんと12時間も寝てしまった
なんと12時間も寝てしまった
ものすごく寝たけど、実のところ夢はあまりはっきり覚えていない。しかし、寝起きの頭に残っていたわずかな断片を集め、おぼろげな記憶で夢を再現してみた。2012年、僕の初夢はこんな感じだった。
…どう判断したらいいんだろう。

覚えているのは、自宅のお風呂にある給湯器のスイッチで、湯温を40度から41度に上げた場面だけだった。少なくともダムはまったく出てこなかった。
給湯器を41度にセットしている夢だった
給湯器を41度にセットしている夢だった
最近寒いのでシャワーを41度で浴びているのだけど、最初から41度だとちょっと熱いので、40度で浴びはじめて慣れてきたところで41度に上げているのだ。

いや、そんな個人的な事情はどうでもいい。

ダムの夢は見られなかったけど、少しでも水に関係のある夢が見られたということで、今回の試みは意味があったんじゃないかと思っている。ダム型枕、作ってよかった。貴重な正月休みの大半を費やしたんだ、これくらい強引にでも納得しなければ報われない。

自宅に帰ってきてからは普段愛用しているテンピュールの枕に戻したけど。

もっとダムグッズ作りたい

去年からいろいろダムグッズを作っている一環で、ダム型のクッションがあったらいいと思い、その手始めに枕を作ってみた。夢が見られるかどうかはともかく、素材としてのダムの可能性はまだまだあると思っているので、今後も突拍子もないダムグッズを作りたいと思う。
枕と抱き枕だけで寝かせたらなんだか気持ち悪かった
枕と抱き枕だけで寝かせたらなんだか気持ち悪かった
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