特集 2011年11月8日

栃木のソウルドリンク、レモン牛乳

黄色と緑のかわいい子
黄色と緑のかわいい子
栃木県には「レモン牛乳」というご当地牛乳がある。レモン風味の黄色い牛乳だが、レモン果汁は使われていない(分離するから)。

他県民にはあまり知られていないが、栃木県内では大抵のスーパーやコンビニに置いてある。

この数年間、ご当地番組や栃木出身のお笑い芸人がネタにしたおかげでちょっとだけ知名度が上がり、名物としてじわじわと浸透してきている。同時にたくさんの仲間達も登場しているらしい。

現在のレモン牛乳事情を確かめるべく、宇都宮に足を伸ばした。
1975年生まれ。千葉県鎌ヶ谷市在住。猫好き。人生においての目標は食べたことのないものをひとつでも多く食べること。旅先ではまだ見ぬ珍味に出会うため目を光らせている。

前の記事:食べて遊んでくつろいで。古民家を巡ろう

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レモン牛乳との出会い

私が初めてレモン牛乳を飲んだのは、忘れもしない昨年の夏の暑いある日。場所は、宇都宮の餃子屋だった。
え、餃子屋?
え、餃子屋?
店内にどーんとレモン牛乳冷蔵庫
店内にどーんとレモン牛乳冷蔵庫

これが噂の…

千葉県民の私はなんとなくは知っていたが、飲んだ事はなかった。お店のおかみさんが「セルフサービスで飲んでね、餃子やけるまで」と言うので飲んでみた。

これは…「レモン風味の牛乳」。そうとしか言いようがない。牛乳にレモンの香料が入っている、そんなチープな味ではあるが、牛乳のクリーミーさとレモンの爽やかさがお互いを邪魔せずに共存している。銭湯のフルーツ牛乳のような飲みやすさ。
餃子とは合わない気がするけどまあいいか
餃子とは合わない気がするけどまあいいか

宇都宮の街は黄色い

この牛乳のすごいところは、第二次世界大戦後間もなく開発されたという事だ。ほとんどの栃木県民がこれを飲んで育ってきたという事か。
駅構内のお土産屋、スーパー、コンビニを回ると、必ずといっていいほど黄色いゾーンがある。
サイズは200mlと500ml
サイズは200mlと500ml
スーパー
スーパー
コンビニ
コンビニ
写真でお気付きかと思うが、レモン牛乳の姉妹品もある。
ふつうに美味しい牛乳じゃないか
ふつうに美味しい牛乳じゃないか
栃木はイチゴも名産なのでイチゴ牛乳なのだと思うが、レモン牛乳の新シリーズだとしたら一回転してふつうになっちゃってる感がある。

レアなほう

実はレモン牛乳を作っている製乳メーカーはふたつある。どちらかが偽物だとかいう話ではなくふたつとも本物なのだ。
針谷乳業のレモン牛乳
針谷乳業のレモン牛乳
針谷乳業のレモン牛乳はファミリーマートで手に入り、よく見る栃木乳業のほうのは売られていない。他のコンビニやスーパーは栃木乳業のレモン牛乳しか置いていない。圧倒的に数が違う。
味は、レアレモン牛乳のほうがすっきりとした甘さで飲みやすかった。
ローソンの店内に浮かんでいるのは
ローソンの店内に浮かんでいるのは
やはりメジャーレモン牛乳
やはりメジャーレモン牛乳

レモン牛乳のお菓子の多さ

宇都宮のお店にはクッキーからまんじゅうまで色んなお菓子に変貌をとげたレモン牛乳であふれ返っている。
さまざまな形態に変えられてお土産として活躍するレモン牛乳
さまざまな形態に変えられてお土産として活躍するレモン牛乳
タオルになってもかわいい
タオルになってもかわいい
東武の車掌さんがカバンにつけてるのを見た事がある
東武の車掌さんがカバンにつけてるのを見た事がある
レモン牛乳ソフトゲット!
レモン牛乳ソフトゲット!
食べた事ないのになつかしい味だった
食べた事ないのになつかしい味だった
「栃木レモン10%使用 無果汁」の記載に戸惑う
「栃木レモン10%使用 無果汁」の記載に戸惑う
さわやか!食感や口どけが秋田のババヘラに似ていて、後味がさっぱりしている。

ところで「栃木レモン10%使用」と書かれていると一瞬レモン果汁の事かと思ってしまいませんか。これはレモン牛乳を10%使用しているという事なのだ。なんという高度なトラップ。
ほかのお菓子のレモン牛乳っぷりも確かめたい
ほかのお菓子のレモン牛乳っぷりも確かめたい
どら焼き
どら焼き
ラテ(ラテ?)
ラテ(ラテ?)
あっさりと食べられる餡だった。レモン牛乳餡はふつうの餡が苦手な人にもおすすめだと思う。しかし酸味のあるどら焼きというのも珍しい。
ラングドシャに挟まれているレモン牛乳クリームは、覚えのある味。そうだ、駄菓子屋で売ってる10円のヨーグルトみたいなやつだ。

母からのメール

「いま宇都宮でレモン牛乳を見て回っている」と母に告げるとこんなメールが来た。
せつない思い出
せつない思い出
子供の頃に食べたり飲んだりして感激したものって誰しもあると思うのだけど、それを大人になってから期待を込めて食べてみるとがっかりする事ってよくある話だ。味覚が変わったのか、製品が変わったのか…(ちなみに私は魚肉ソーセージとカール)
ということで、今一度飲んでもらった
ということで、今一度飲んでもらった

「これだ!」と膝を叩かれた

母に二社のレモン牛乳を飲んでもらった。まずメジャーレモ乳を飲み、ピンと来ないような顔をしたあと、レアレモ乳を飲んで「これだ!」と言ったのだ。
これか!
これか!
私にはそれほどの味の差は感じられないのだが、これが子供の頃に飲んだ味だと言う。まさかのレアタイプだったとは新事実発見だった。
針谷乳業の場所を調べてみると、母の通っていた高校の真ん前だった。購買部にも入っていたし、牛乳といえば針谷乳業だと思ってい込んでいて、上京するまで森永や雪印を知らなかったという。そういう事だったのか。
左が栃木乳業、右が針谷乳業。全然色が違う!
左が栃木乳業、右が針谷乳業。全然色が違う!
「色が見たいからコップに出して」と言われてやってみると、あああ……色が違う!
メジャーレモンは蛍光っぽい黄色で、レアレモンは赤みを帯びている。「そうそう、このマミーみたいな色」と目で見ても懐かしんでいた。マミーが。

餃子とレモ乳の街

本当は餃子が食べたかったのだが、レモン一色の宇都宮散歩もなかなか楽しかった。次回は、今回見つけられなかったレモンウインナーを絶対に見つけたい。
歩いているとゲシュタルト崩壊してくる
歩いているとゲシュタルト崩壊してくる
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