特集 2011年10月3日

こけしにセリフをつけたい

こけし満員電車
こけし満員電車
古くからある伝統人形の一つ、こけし。子供の頃、おばあちゃんちのタンスの上に置いてあるのを初めて見た時、独特の雰囲気に釘付けになった覚えがある。 じっと見ていると、何か言いたげにも見えてくるこけし。ならば、語ろうとしていることを勝手に言葉にしてしまってもいいのではないか。

その声を聴くべく、こけしの産地を訪れてみた。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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叫べ!ささやけ!こけしたち

こけしの声なき声に耳を傾けるべくやってきたのは、福島県福島市の土湯温泉。およそ160年前に誕生したというから、結構な歴史がある。
早くもこけしとの息がぴったり
早くもこけしとの息がぴったり
温泉街の入口にはこけしの顔ハメが。のっけからこけしムードを盛り上げる。

実際には静かな温泉地なのだが、すっかりこけしモードでやってきた自分にはいきなりのウェルカムこけしがうれしい。私の後ろには、巨大こけしが立っているのもわかるだろう。
がんばり過ぎじゃないだろうか
がんばり過ぎじゃないだろうか
「成長期に牛乳飲み過ぎたかなー」
「成長期に牛乳飲み過ぎたかなー」
祭りとなるとでかい物を作りたくなるというテンションは、こけし界にも訪れていた。素材が丸太レベル。旅行者にとってのこけしファーストコンタクトに巨大こけしを持ってくることで、街全体がこけしのペースに持っていこうとしているように見える。
旅情あふれる街並み
旅情あふれる街並み
観光協会のカウンターにもこけし
観光協会のカウンターにもこけし
「あら、こけしお好きなの?」
「あら、こけしお好きなの?」
「どうだか!」
「どうだか!」
まずは温泉の観光協会で資料を集めよう。カウンターにはやはりこけしが並んでいて、こちらをじっと見つめてくる。いよいよ通常こけしだが、2体の表情にははっきりとしたコントラストがある。

甘口と辛口と言えばよいだろうか。辛口の方は帽子をかぶっているのも意外に感じた。
あ っ、もうこけし喋ってた!
あ っ、もうこけし喋ってた!
こけしの内なる声を聴くべくやってきたこの街だが、工人さん(こけしの職人)を紹介するパンフレットの名前が「こけしのひとり言」。そうだよね、こけしにだっていろいろ言いたいことあるよね。 旅の目的にしっくり来るタイトルだ。
こけしへの集中力を試されるガイドマップ
こけしへの集中力を試されるガイドマップ
こけしは別に怖くない
こけしは別に怖くない
ガイドマップには周辺の豊かな自然も紹介されていて、こけし以外の見どころも多々あるこの温泉地。普通の観光もしたいところだが、今回はターゲットを絞ることでこけしへのコンセントレーションを高めたい。

パンフレットによると昭和10年代と40年代、過去2回の大きなこけしブームがあったらしい。当時の様子を知る方から話を聞いたところ、作ったそばから売れていって、生産が追いつかなかったそうだ。

こけし、ごめん。ちょっと見くびってた。話を聞いてさらに高まるこけしへの興奮。再び街をぶらぶらしてみよう。
「よそ見しないで運転すんのよー」
「よそ見しないで運転すんのよー」
「まあ私が言っても説得力ないよねえ」
「まあ私が言っても説得力ないよねえ」
街にかかる橋の両端にもデカこけしが4体。車で通るときには、こけしに気を取られて川に突っ込んだりしないようにしたい。こけしと安全とのバランス感覚を問われる橋だ。
ゴミ捨て場を見守るこけし
ゴミ捨て場を見守るこけし
「やられたわよ、カマイタチに!」
「やられたわよ、カマイタチに!」
でかいキノコもバリバリ
でかいキノコもバリバリ
こけし首だけタワー
こけし首だけタワー
至る所にこけしがフィーチャーされているこの街。ゴミ捨て場の扉からこけしがこちらを見ていたら、燃えるゴミの日に燃えないゴミを出すわけにもいかないだろう。

なぜか温泉地ではしばしば見かける巨大きのこもバッチリとラインナップ。そして提灯にこけし顔を描いた塔が畳み掛けてくる。
右上「お前の耳の後ろの匂い、癖になるわ」
右上「お前の耳の後ろの匂い、癖になるわ」
流れるようにこけしうちわ購入
流れるようにこけしうちわ購入
こけしタワーの顔たちは、それぞれ少しずつ違って面白い。ときどき変な向きをしている奴がいて、クラスの集合写真のようでもある。

みやげ物屋の店頭にあったこけしうちわは、110円で購入。涼感とは関係なく、グイグイ前に出てくるような柄がうれしい。
街にはあまり人影がないけど
街にはあまり人影がないけど
ここは人口密度が高いらしい
ここは人口密度が高いらしい
訪れるのを特に楽しみにしていたのは、「土湯見聞録館」という建物。看板の左上に小さく「こけし育む」と書いてあるのもいじらしい。

ここには工人や制作年代によって趣きの異なるこけしが一同に介しているらしい。では、中に入ってみよう。
会いたかったー、会いたかったー、会いたかったー、YES!
会いたかったー、会いたかったー、会いたかったー、YES!
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こけしの森で君と出会いたい

土湯見聞録館にはこけしがたくさんいると聞いていたが、実際に目の当たりにすると息を呑む迫力。単体の味わいもよいが、集団になったときの勢いもすごい。
棚板の強度が心配になる密度
棚板の強度が心配になる密度
ガラス戸の向こうから、こっちをじっと見ているこけしたち。誰に目を合わせてよいのかわからず、戸惑いの果てに頭が少しクラクラしてくるようだ。このままじゃ夢でうなされる。
「ウヒョヒョヒョヒョ…」
「ウヒョヒョヒョヒョ…」
「兄弟の順番とか、もうわかんないんだよ」
「兄弟の順番とか、もうわかんないんだよ」
なんとか正気を保ってこけしたちを見ていると、同じような顔のこけしがまとまって並んでいるのに気がついた。工人ごとに集めて置いてあるようだ。

距離を取って全体を見ていた時よりも、それぞれの個性が伝わってくる。不敵な笑い声を響かせてくるような姉妹もいれば、知らない人から飴をもらっちゃいそうな兄弟もいる。

特に気になったのはこの子たちだ。
脱表情を標榜するこけし
脱表情を標榜するこけし
「趣味?カメムシ集め」
「趣味?カメムシ集め」
喜怒哀楽のどれにも簡単にはあてはまらない表情。それゆえにじっと見つめてしまい、こけしの気持ちを考え始めてしまう。そうしているうち、逆にこけしに自分の心を見透かされているような気にもなってくる。

いつの間にか立場が逆転。まずい、これはこけしのペースだ。
「ねっ、ドアに黒板消し仕掛けようよ」
「ねっ、ドアに黒板消し仕掛けようよ」
「俺って何歳なんだろ?」
「俺って何歳なんだろ?」
ここは人間として想像力を働かせることで、形勢を整えたい。一体一体のこけしを見ていると浮かんでくる、それぞれのつぶやき。クラスに一人はいそうなこけしもいるし、自分のあり方に疑問がありそうなこけしもいる。見つめ合うことで、こけしと自分との間にある言葉が聞こえてくる。

さて、続いては土湯温泉にある、もう一つのこけしミュージアムをのぞいてみよう。
看板の字がめちゃくちゃうまい
看板の字がめちゃくちゃうまい
こけし絵つけコンクールなんてのがあるのか
こけし絵つけコンクールなんてのがあるのか
こちらが「土湯伝承館」。週末には工人さんがろくろを回して、こけし制作の実演を披露してくれるそうだ。

建物前には「こけし絵つけコンクール入賞作品」と書かれた棚もある。そういうイベントがあるらしいのだ。
自由だなー
自由だなー
「俺、ほんとにこけしなのかな」
「俺、ほんとにこけしなのかな」
伝統的なこけしデザインに習ったものもあるが、それにとらわれず自由に描いてもよいらしいこのコンクール。もちろん可愛らしいものもあるけれども、お前はこけしなのかと問いたくなるようなのもある。

ここまでの個性は、一般の方がイベントで作ったものならではだろう。館の中は本格こけしで満載だ。
奥の棚が大変なことになってないか
奥の棚が大変なことになってないか
あわわわわ…
あわわわわ…
うなりを上げるこけしたち
うなりを上げるこけしたち
ご覧の通り、かなりのこけし濃縮スポット。土湯見聞録館と異なり、ガラスがないのでよりダイレクトにこけしを観察できる。
これがコケティッシュってやつか
これがコケティッシュってやつか
「さっき、俺の弟に会ったろ」
「さっき、俺の弟に会ったろ」
直接手に取るわけではないにしろ、こけしとの間に何も壁がないのはやはりうれしい。かわいらしい表情をしたこけしも多く、コケティッシュという言葉の語源はこけしだったのかと、言語をまたいで的はずれな推測を思ったりもする。

土湯見聞録館で見た年齢不詳のこけしと同じ工人さんが作ったと思われるこけしも発見。細部に違いこそあるが、一目見て兄弟だと思えるほどにこけし鑑賞眼が自分の中で育ってきたらしい。
クラスの意外な二人がデート中
クラスの意外な二人がデート中
「へへっ、見たわよ…」
「へへっ、見たわよ…」
同じ工人さんの作品が並んでいると兄弟に見えるが、別の工人さんのこけしが隣同士になっていると、カップルに見える場合もある。隣町でデートしていた意外な二人。

そしてそれを偶然見かけてほくそ笑むようなこけしがいるのも、よくあるこけし人間模様。明日のこけし中学校ではこの話題で持ちきりになるのだろう。
「実は結構なデカ顔って、気づいてた?」
「実は結構なデカ顔って、気づいてた?」
「寄り目って自覚、ないんだよね~」
「寄り目って自覚、ないんだよね~」
細い胴体が特徴の一つである土湯のこけし。冷静に顔の大きさとのバランスを考えると、相当おかしなことになっている。言われてみれば、肩幅以上のデカ顔って人間界にはなかなかいない。

しかし、そんな部分も含めて、こけしをかわいく思うようになってきている自分に気がついた。寄り目こけしをじっと見ていると、自分も寄り目になってるんじゃないかと思うくらい、こけしに引きこまれている。

これ以上ここにいたら、自分がこけし化してしまう。次の施設に移ろう。
「写真&こけし」とある看板も既に自然
「写真&こけし」とある看板も既に自然
これまた違う雰囲気のクラス
これまた違う雰囲気のクラス
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こけしの嵐の中で

続いてやってきたのは、同じく土湯温泉街にある「アサヒ写真ギャラリー」。
今の自分には魅力に感じる看板
今の自分には魅力に感じる看板
KKS48 (念のため、こけし48)
KKS48 (念のため、こけし48)
基本的には写真館だが、こけしを展示・販売しており、店内でお茶を飲めるようにもなっている。

「こけしに囲まれてお茶時間」という手書き看板の言葉も、この街に来るまでは「そう言われても…」と思っていただろうが、今では「それは素敵!」と思うようになっている。こけしは確実に私の心に侵食してきているのだ。
きれいどころが揃ってる
きれいどころが揃ってる
あっ、須沢さんだ
あっ、須沢さんだ
花岡さんもいる!
花岡さんもいる!
金島もいんのかよ
金島もいんのかよ
こちらはこれまでの高密度施設と違って、こけしのディスプレイに余裕があるのが特徴。凝縮してグイグイ押してくるこけしも迫力があるが、ここではゆったりした気持ちで向き合うことができる。見つめていると、昔同じクラスにいた女子たちと雰囲気が似たこけしがいることに気がついた。

ちょっと猿っぽいところがかわいかった須沢さん。華やかな顔立ちの美人だった花岡さん。そして金島だけ呼び捨てでごめん。仲がよかった分、いろいろ話したよなー。(念のため、みんな苗字の雰囲気は残しつつ仮名です)
誰かと思ったら、フットボールアワー岩尾
誰かと思ったら、フットボールアワー岩尾
北陽の虻ちゃんもいた
北陽の虻ちゃんもいた
元クラスメイトではなく、テレビで見たことがある人っぽいこけしも発見。上の写真、どちらも決してそっくりというわけではないけれど、「どっかで見たことあるな…」と感じて思い当たったこけしたちだ。

そしてもちろん、誰にも似てないけど独自の異彩を放つこけしもいる。
「ちょっとちょっと、頼みがあんだけどさ」
「ちょっとちょっと、頼みがあんだけどさ」
「頭のハエ、取ってくんない?」
「頭のハエ、取ってくんない?」
頭にハエが止まっていても、どうすることもできないこけし。表情もそのシチュエーションにぴったりはまっているからすごい。まぬけな状況にも関わらず、揃っている条件がパーフェクトだ。
「今さらこけし?俺、10年前からこけし」
「今さらこけし?俺、10年前からこけし」
上のこけし、左右の目の造形が違う。実際の人間の顔も左右半分ずつ隠して見ると、片方は温かい印象で、もう片方は冷たい印象であったりすることがある。同様にやってみると、このこけしもそうなっているのがわかる。そういう意味でリアル志向こけしとも言えそうだ。

さて、土湯温泉でこけし満腹。しかしこの地のこけしウェイブはまだまだ終わることはない。

洋風の建物が並ぶおしゃれスポット
洋風の建物が並ぶおしゃれスポット
教会と地ビールに挟まれて「こけし群」
教会と地ビールに挟まれて「こけし群」
続いて訪れたのは、土湯温泉街から車で少々行ったところにある、アンナガーデンという場所。結婚式も挙げられる本格的な教会や、おしゃれなレストランが並ぶ観光スポットだ。

しかし看板をよく見ると、そんな状況に一石を投じるかのように「原郷のこけし群」という言葉があるのがわかる。
こけしの聖地
こけしの聖地
のっけから飛ばしてるなー
のっけから飛ばしてるなー
「西田記念館」という名のその施設は、パンフレットによると約一万体のこけしを収蔵しており、常に約1300体のこけしを展示しているとのこと。まだこけしの嵐が止むことはないのだ。

土湯温泉街と同様、ここでもまず迎えてくれたのは巨大こけし。まずはキャッチーに来訪者の心を掴む作戦なのだろう。

大丈夫、すでに心のギアはこけしに入ってる。入場料を払って入ってみよう。
何がこけしをそうさせるのか
何がこけしをそうさせるのか
でかさと密度を両立
でかさと密度を両立
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無限に続くこけし道

入口にあった巨大こけし、さらには入ってすぐのところにあった「こけし三重塔」と、異色こけしで最初から全力で攻めてくる西田記念館。がっちり心を釘付けにされたところで、そこから先の館内は落ち着いてこけしを鑑賞できる雰囲気の施設だ。
落ち着きを取り戻そう
落ち着きを取り戻そう
こけしフォーメーション
こけしフォーメーション
工人さんごとにまとめて並べてあるこけしたち。レイアウトにもゆとりがあって、じっくりとそれぞれに向きあうことができる。

同じ工人さんが作ったこけしは、並んでいるときょうだいのように見えるのは温泉街で発見した法則。ここでもそれは同様で、仲良く揃って出迎えてくれているように見えるこけしも多い。
「おいでやす~」
「おいでやす~」
「いらっしゃいませ!」
「いらっしゃいませ!」
「ようこそ、うひひ」
「ようこそ、うひひ」
「ニヒヒヒ…よく来たね」
「ニヒヒヒ…よく来たね」
歓迎ムードでありながらも、きょうだいによってにじみ出る雰囲気はそれぞれ。同じウェルカムでも、しっとりしてたり含みがあったりと面白い。

表情をよく観察すると、内なる言葉が聞こえてくるこけしたち。しかし中には、いくら眺めてもずっと無言のままでいるように感じるものもある。
「……」
「……」
「…………」
「…………」
じっとこっちを見たまま、言葉を発そうとしないこけしたち。そうだよね、いきなり押しかけてきて、すぐに心開くってのも安易だよね。こうしたこけしたちと向き合って、お互い距離を保とうとする緊張感もまた心地よい。

そしてまた別のパターンとして、見る者に言葉を語りかけてくるのではなく、こけし自身が自問自答しているように思えるものもあった。
「なんか、私たちってさ…」
「なんか、私たちってさ…」
「輪郭、変じゃない?」
「輪郭、変じゃない?」
丸く削った球状部分が顔全体であるという、一般的なこけしのシステムに挑戦するかのような作品。常識を打ち破ったように見える分、こけしが自身に投げかける声はくぐもって響く。
「俺、自分の置かれてる状況がわかんないんだよね」
「俺、自分の置かれてる状況がわかんないんだよね」
抜き差しならない状態に見えるこけしもいた。もしも君が沼にはまっているのなら、もう少し切羽詰まった表情をした方がいい。
館内からの風景
館内からの風景
絵はがきテイクフリー
絵はがきテイクフリー
「こけしなど」って絵が飾ってあったけど
「こけしなど」って絵が飾ってあったけど
ほぼこけしのみ
ほぼこけしのみ
緑に囲まれた穏やかな環境の中でこけしを鑑賞できるこの西田記念館。静かに流れる時間に身をまかせて、温かい気持ちになれる。

かごの中にあった絵はがきは、自由に持ち帰ってよいとのこと。記念に一組いただいて中を見てみたところ、郵便番号の枠が五桁だったのにもゆったりとした時間の流れを感じる。
まだ個性出そうとすんのか
まだ個性出そうとすんのか
この枠から飛び出したこけしがいるらしい
この枠から飛び出したこけしがいるらしい
企画展スペースで行われていたのは「個性派こけし展」。ここまで見てきたものでも十分に個性的だと思っていたが、どういうことだろう。

こちらにあった資料によると、伝統こけしは一般的に11の系統に分類されるらしい。ここでは、その分類に属さないこけしを集めて展示しているとのことだ。
可愛いというより、カワイイ
可愛いというより、カワイイ
「白目があるのが自慢なの」
「白目があるのが自慢なの」
確かにこれまでのこけしとはちょっと違う雰囲気。帽子をかぶっていたり、目の描き方がマンガ風だったりと、現代的とも言えるかもしれない。

ただ、そうした感じの作品ばかりが並んでいるわけではない。寧ろ逆方向のものも多々あるのだ。
「俺、ほんとに子供用なのかな?」
「俺、ほんとに子供用なのかな?」
「ニックネームはセンターパーツでいいよ」
「ニックネームはセンターパーツでいいよ」
「あー、また駅乗り過ごしたわー」
「あー、また駅乗り過ごしたわー」
「俺、もうこけし超えてると思うんだよね」
「俺、もうこけし超えてると思うんだよね」
勝手なことをしゃべりだすこけしたち。こけしはそもそも子供のおもちゃとして江戸時代に作られ始めたそうなのだが、もうそういう枠にあってはならないように思える表情だ。

実際、こけしは時代が進むにつれて大人が観賞用として楽しむものになっていったらしい。彼らもそういう立ち位置ならわかる。向きあう者が大人だからこそ、そのつぶやきを聞き取れるのだ。

「会いに来てね…俺たち動けないから」
「会いに来てね…俺たち動けないから」
無言のこけしたちに耳を傾けてみるという今回の試み。決して饒舌ではないが、じっと目を逸らさずにいると、小さなささやきは確かに聞こえてきた。

上の写真も「個性派こけし展」にあったもの。左のこけしが微笑んでいる分、右のせつなさが引き立つ。

こけしにご飯でもおごってやりたい気持ちになるとは思ってなかった。こけしはじっとしているけれど、見る者の心に予期せぬ波をさざめかせる。
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