まずは東京農工大・農学部(府中市)
大学に「本日営業」のノボリが立つ。
武蔵野線・北府中駅を降り、駅前をまっすぐに進むと、農場と販売所が同時に見えてくる。
販売所の名前は「農工夢市場」。
サイトがリンク切れで、はっきり分からないが、毎週木曜に昼間だけ営業しているっぽい。
この日は13:30からの営業と書いてあったが、13:20に着いた時にはすでに行列ができていて驚いた。
ものすごい大人気である。
「行列のできる八百屋」として東京ウォーカーに載ってもおかしくない。
客層は主に、地元のおじちゃんおばちゃん。店内まで大行列。
ほほう、にがうり……
うわっ……このバジル安すぎ……!?
すでに売り切れているカゴ、多数。
すでに売り切れているカゴ、多数。
店内にも魅力的な商品が続く。
すごい品ぞろえ、農工夢市場
これ以外にも、ジャガイモ・トマト・ピーマン・玉ねぎ・空芯菜と、夏の新鮮野菜が目白押しだった。
バジルなんか、葉がぷりぷりのものが市販の半額で売られており、たしかに行列ができるのにも納得のクオリティ。これはいきなりすごい、農工夢市場!
しかし僕は店内に入り、さらに驚くことになった。
うわ、ヒノキ細工売ってるよ!
カルピス(的なもの)!?
限定アイスクリーム!(惜しくも売り切れ)
た、たき木まで売ってる!!
まさかたき木が売っているとは思わなかった。
いったい21世紀の東京都内で、たき木を必要としている家庭が何軒あるのだろうか。
これは想定外のラインナップだ。
こんな多彩な商品に目移りしながらも、僕は着実に売り切れ目前の商品をゲットした。
ぜんぶ農学部生まれ。ジャム、空芯菜、ピーマンなども買いました。
ヒノキ細工には焼印が入る。かっこいい。
大学産の小麦でできたうどん。校章入り。
右下の穴があいているのは、ペン立て。
最初買うつもりはなかったのだが、裏面の焼印がかっこよかったので、思わず買ってしまった。
あらためて見ると、来客用などに置いておきたい素敵なデザインである。
そしてもう一つ魅かれたのはうどん。
大学で小麦を育てうどんを作っているというだけで、なんとも意表を突かれた感がするが、校章入りパッケージがまたかっこいい。500g入りで200円ぐらいだったので、これも格安である。
これ以外にも、味噌やジャム、また大学産のサツマイモを使った芋焼酎なども販売していた。
芋焼酎はネット通販もしているようなので、気軽に買うことができる。
農場の散歩も楽しめます。
なぜか鍼灸院も併設されている。
千葉大学・園芸学部のミラクル(千葉県・柏市)
千葉大の園芸学部は松戸市にあるが、そこに販売所は無い。
隣にある柏市の「千葉大学・環境健康フィールド科学センター」で野菜は売っている。
開店は13時なのだが、現場が再開発中の地域で、駐車場に迷っていたら、到着が30分ほどオーバーしてしまった。
何とか辿り着いた先がここ農産物直売所、「緑楽来」(みらくる)である。
奇跡という名の農産物直売所。
着いてみると人が少なく、閑散としている。
東京農工大とえらい違いだ。
ずいぶんと差があるもんだと思って入ってみると、店内の棚ががらんとしている。どうも、野菜はほとんど売り切れてしまっているっぽい。
大変しょんぼりである。
閑散とした売り場。真冬のロシアのような寂しさ。
聞いてみると、シーズン的にはいい時期で、梨やぶどうも入っていたのだが、この日は開店前から行列ができており、果物は行列していた分だけで終わってしまったとのこと。
やはりここも、東京農工大と同じく、大人気の直売所らしい。
たぶん地元に根強いファンがいて、狙い澄まして買いに来るのだろう。
オリジナル商品の農学部産はちみつ。これは高級品。
というわけで、ここではししとうとジャムを買い、多少、意気消沈しながら家に帰った。
「農学部の野菜を買うには、開店前に行列すべし」
この言葉がしんみりと、帰途に就く僕の心に刻まれた。
そして帰ってから、昨日買った農工大の野菜と千葉大のししとうで料理を作った。
野菜は大変に滋味深く、次の農学部に向けて大きく心が励まされた。
農工大丸ナスの田楽味噌。シソのせ。うまい。
農工大うどんと千葉大ししとうのコラボ。
ジャムの品ぞろえは、素晴らしかったです。
千葉大学 環境健康フィールド科学センター
『緑楽来』
千葉県柏市柏の葉6-2-1
営業時間:午後1時~4時
休業日:土日祝日、第1・3水曜、年末年始
サイト:http://www.fc.chiba-u.jp/
※お店のお姉さんによれば、第2・4水曜日に来ると、14時位まで果物が残っていることもあるそうです。
地元では「イバ大」と呼ばれます。
スイカ冷え冷え、茨城大農学部(茨城県・阿見町)
少し郊外に移ろう。
茨城大学の農学部は、常磐線「荒川沖」駅、土浦の少し手前にある。
もう首都圏の香りが薄れつつある地域の中に、凛々しくそびえ建つ大学だ。
今日は営業時間に注意して、しっかりと開店前に着くように直売所に向かった。
茨城大学に行って、まず目に飛び込んできたのはこれだ。
すっ、すいか……!!(両手ふるふる)
僕はスイカが大好きだ。夏は毎日三食がスイカでもいいと思っている。
そして目の前に試食がある。
とりもなおさず、まずは素早くこいつをいただくことにした。
無心。
うっ、うまいっ!
甘い。歯ごたえもいい。
しかも、ほどよく冷えている。
これは買いだ、間違いない。450円でこのパラダイス。スイカは間違いなく、今の世に現存するファンタジーと言えるだろう。
普通に公用で研究センターに来た人は、一瞬引き返すのではないか。
さて、他の野菜も今日は豊富に残っていた。
なす、ピーマン、ミニトマト、じゃがいも。
店舗は研究センターの入り口が、そのまま八百屋さんになっている形式で、大きくは無いのだが、店のおばちゃんがとても親切で楽しく過ごせる場所だった。
ピーマンの「P太郎」は、苦みの少ない品種。
ミニトマト「アイコ」は、愛子さま生誕にちなんでつけられたもの。
ナス「黒陽」は、畑にたっぷりと肥料をすきこんで育てた自信作。
野菜の色々なセールスポイントを教えてくれた。
中でも一押しは、この白ゴーヤ。
初めて見る野菜だ……。
なんだこれ、と戸惑っていたら、インターネットに美味しい食べ方が載っているので、作ってみるといいわよ、とクックパッドのことを教えてもらった。
直売所のおばちゃんから、ネットレシピのアドバイスをもらう時代になった。
これが21世紀か。
というわけで、そなへん全部まとめて買ってきた。
スイカはもちろん、その場で食べる。
千葉大の教訓を生かし、今日の戦果は十分。
家に帰って充実した農学部ディナーを堪能した。
おばちゃんの秘蔵クックパッドレシピ、白ゴーヤのツナ和え。 超絶うまかった。
黒陽とP太郎のミートソース炒め。
アイコは素揚げにして、から揚げの付け合わせ。
筑波大学の最北端・農林技術センター ここが広すぎる件については
この記事を。
筑波大学とブルーベリー(茨城県・つくば市)
研究学園都市の中心、筑波大学でも野菜を売っている。
僕は卒業生なのだが、学生時代に、マジックで数字が書かれた謎の梨を、先輩が大量にくれて、「ちょっとこれ、何なんですか!?」と突っ込みを入れたことがある。
まあ、そういうことに使う梨を売っているというわけなのだろう。
今日売っている梨にもマジックで数字が書いてあるかもしれない。
開店前。山のように積まれたコンテナ
開店の30分前に到着すると、売り場にはぶどうとナシが山のように積まれ、しかもすでに小さな行列ができていた。
事前情報として、8月下旬になるとナシとブドウが出るがすごい行列になる、と聞いていたが、まさにその通りだった。
薄明りを浴びるブドウ。早く食べたい。
ライターの平坂くんと一緒に行きました。
行列が、うねるように店の中へと吸い込まれていく。
そして素早く梨(6個で660円)をゲット。
僕は妥当に、梨・ブドウ・ジャガイモを一袋ずつカゴに入れたのだが、他のお客さんたちの買う量がハンパ無い。
後ろに並んでいたおばちゃんは、ブドウを2コンテナ、梨を1コンテナ買っていた。
明らかに多い。動物園の餌みたいだ。
聞くと、毎年、ここの農学部の果物を贈り物にするのが決まっていて、各地に送るために1万円分ぐらい買うのだとか。
このような根強いファンにより、農学部野菜の人気が支えられていることを改めて実感した。
ジャガイモが2kgで320円という安さ!
他にもコンテナ買いする人あり。大人気!
農場でゆっくり試食します。
ぶどうがうまい。
この日も天気は快晴の真夏日。気持ちがいい。
牛たちも木陰に隠れて涼を取っていた。
僕と平坂くんは、マザー牧場に観光に来た気分で牛を眺めながら、フルーツを食べた。
梨、うまいね。(背後の牛は本文に関係ありません)
ブドウ、すげえ甘いです。(背後の牛は本文に関係ありません)
実際うまい。
梨もブドウも食べたのだが、ブドウの甘さの方が際立った。
濃縮された甘みと酸味が、口の中にほとばしる。
暑さを忘れさせる果汁だ。
本当に味が濃くて、思わずうなる。モォ~、モォ~。
一番人気の商品、ブルーベリー。
冷凍ブルーベリーの衝撃
冷凍ブルーベリーも買った。
生モノが出る6~7月は、一瞬で売り切れる超人気商品だが、もう8月も終わるので今日は冷凍だ。
本来、ジャム作り用なのだが、こうも暑いと、思わず顔を冷やしてみたくなったり、そのまま食べてみたくなったりする。
どれどれ……
牛にも当ててやりたい。
冷凍でもみずみずしいツヤ。
うっ、うま!
これが意外とうまい!。
正直、生のブルーベリーって甘みがあまり無いんだけど、この完熟物は甘みもやや強めで、ほどよい味のシャーベットのようであり、食べだしたら手が止まらなくなった。
平坂くんと「生のブルーベリーってさー、そんなにさー……」と言っていたのに、食べ始めたとたん、前言撤回である。
冷凍完熟ブルーベリー、超うまい。
こ、これ意外といけますね……。
美味しんぼで、海原雄山が至高のデザートとして出してきそうな気さえする。
この新しい食べ方に感動し、二人で心ゆくまでブルーベリーを味わった。
牛肉は販売していないもようです。
農学部野菜、どこも平日の昼しか売っていないので、かなり入手困難のレアものだが、驚くことにどこも大行列だった。
みなさんも、もし行かれることがあれば、狙い澄まして開店前に行けばオッケーかと思われます。
だいたいの農場は散歩もできるので、自分が買った野菜が栽培されているのを探したりするのも、また一興です。
さあ、農学部に行ってみましょう!