特集 2011年8月1日

この夏、栃木がアマゾン

ピラニアin栃木
ピラニアin栃木
筆者が住む埼玉県と同様、海なし県である栃木県。その要素がそうさせるのか、両者に共通するのは淡水魚が充実した水族館があるということだ。 地元の川に住む魚を展示するのは、地域の特色も表現できていいことだと思う。しかし栃木の場合、それだけでは満足できなかったのか、アマゾンに走り始めているらしいのだ。

もう海のことはあきらめた、じゃあアマゾンだ!ということか。そこにはちょっと飛躍がないか。実際どういうことなのか、見に行ってきた。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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栃木フィーチャーリングアマゾン

やってきたのは、栃木県大田原市にある「なかがわ水遊園」。那珂川のほとりにあり、大きな池や広場、そして水族館などを擁する施設だ。
広々としてほんとに気持ちのいいところ
広々としてほんとに気持ちのいいところ
日本に一台というアマゾンタクシーと
日本に一台というアマゾンタクシーと
こちらで行われている企画展が「リアルアマゾン」という展示。水族館の方が実際にアマゾンを訪れ、その実態のレポートや捕らえてきた生き物を展示するという趣旨であるらしい。

写真のバイクは「モトカーロ」というアマゾンのタクシー的な乗り物。できるだけアマゾンっぽい格好をして臨んだ私だが、現地人っぽさに今ひとつ欠ける。

モトカーロには期間中の土日祝は乗ることもできるなど、展示だけでなく体験的なイベントも企画されている。しかし、企画以前に池を眺めて気がついたことがある。
なんかこの感じ…
なんかこの感じ…
やっぱりそうだ
やっぱりそうだ
これもリアルアマゾン?
これもリアルアマゾン?
池周辺の一部が泥で濁っていて、鯉が高密度で集まってきている。これをそう解釈するのが正しいのか自信はないが、なんだかのっけからアマゾンっぽい。

たぶんというか絶対、これはリアルアマゾンの企画ではないと思う。しかし、泥水と集まる魚の迫力がアマゾン気分を否応なしに盛り上げる。
パンフの表紙も全力アマゾン
パンフの表紙も全力アマゾン
すごい企画やってる
すごい企画やってる
期間中、展示はずっと行っているのだが、特定日だけに行われるイベントもたくさんある。来訪時にはすでに終わってしまっていたが、ピラニアスープの無料試食会というものもあったらしい。

まず、「ピラニアスープ」という字面がすごい。ただで配っちゃうというのも気前がいい。とにかくアマゾン度の本気ががっちり伝わってくる。
来訪時の特別企画
来訪時の特別企画
確かにアマゾンっぽいような食材
確かにアマゾンっぽいような食材
ホールズに「クリーミー」って書いてある
ホールズに「クリーミー」って書いてある
名前も説明もなく売られてた食品
名前も説明もなく売られてた食品
訪れた日は「アマゾンメルカード」というイベントの実施日。メルカードとは現地の言葉で「マーケット」という意味であるらしく、南米の食品がいろいろと販売されていた。

アマゾンと冠されていると、どれもアマゾンっぽく見えてくる。ホールズって日本ではのどがすっきりするという触れ込みで売られていたと思うが、向こうのは中にクリームが入っているらしい。

さすがアマゾン。のどの爽快感はともかく、クリームを通じてこちらの常識を超えてくる。
ブラジルで大人気というジュース
ブラジルで大人気というジュース
ずいぶん値下げしてないか
ずいぶん値下げしてないか
アマゾン流域に生えるガラナという植物を使った飲み物も販売。気になるのはその価格表示で、500円とあるのが消されて200円になっている。

午前中に訪れたのにずいぶんな値引き。売っている方に聞いてみたところ「間違えて書いちゃったんです」とのこと。

やっぱり500円って高いと思ったんだよな。ダイナミックな間違え方がアマゾンだ。
わかりやすいネーミングという解釈でよいだろうか
わかりやすいネーミングという解釈でよいだろうか
普通にワニをさばいてる
普通にワニをさばいてる
アマゾンではワニも食用とされるようで、焼き鳥のように串に差して焼いたものが「焼きワニ」と称されて並んでいた。わかりやすいけど、違和感はぬぐえない。

味の説明として「歯ごたえがある鶏肉のようで、くせがなく、おいしく食べることができる」とある。買って食べてみよう。
俺、アマゾンじゃやっていけないかも
俺、アマゾンじゃやっていけないかも
歯ごたえがある鶏肉というのはわかる。ただ、香辛料が思いっきり効いていて、くせがあるかどうか判断できないレベルにまで達している。 全てのことは「なんかアマゾンっぽい」という感想に集約してしまえるのがアマゾンの深さだ。

さて、それでは建物に入ってリアルアマゾンの展示を見てみよう。
いよいよアマゾン
いよいよアマゾン
あれ、アマゾンっぽくない
あれ、アマゾンっぽくない
水族館の方が探検隊としてアマゾンを訪れ、その様子を展示レポートするという「リアルアマゾン」。現地の写真もたくさんあるのだが、アマゾンにあるベレンという街の写真が意外だった。

普通にビルが建っている。アマゾンっぽくないではないか。
やっぱりアマゾンっぽい
やっぱりアマゾンっぽい
そのことには探検隊の方も驚いたようだが、ときどき倒れるというのも逆方向にまた驚く。ビルってそういうもんじゃないだろう。アマゾンにしてもワイルド過ぎないか。
「アマゾン飯!」のコーナー
「アマゾン飯!」のコーナー
幼虫の串焼き
幼虫の串焼き
ピラニアもこんなになっちゃって
ピラニアもこんなになっちゃって
なぜか模型にまでなってた謎の食品
なぜか模型にまでなってた謎の食品
現地の食を紹介するコーナーもあった。ゾウムシの幼虫を焼いた「スーリ」は、味も食感も肉の脂身のようでまずくはない、とのこと。今後お肉の脂身を食べる時、この虫を思い出してしまわないだろうか。

ピラニアスープはいいダシが出てとてもおいしいらしい。写真のは観賞魚として買うと10万円はするというブラックピラニアのスープであるとのこと。意外なことに、超高級料理だ。

右下のぐるぐる巻きになってる肌色の模型、これだけ見てもなんだかわからないだろう。
答えはこれでーす
答えはこれでーす
正解は、ピラルクーの巻物でしたー。3mにもなるアマゾンの巨大魚、ピラルクー。いや、こんなの誰もわかんないだろ。

こうした展示に行くと、「これをあえて模型にするか!」と思わされるものをたまに見かけるが、これもそのタイプに感じられる。確かに臨場感はあるけど、その実態はピラルクーの巻物。

アマゾンのワイルドを伝えたかったのだと思う。確かにそれはこの肌色ぐるぐるから感じ取ることができた。
実物ピラニアもいろいろいます
実物ピラニアもいろいろいます
ぬいぐるみもしゃくれててかわいい
ぬいぐるみもしゃくれててかわいい
現地で採取してきた生物も多々展示されていて、特にピラニアは何種類もいた。ひとくちにピラニアと言っても、その仲間は何種もあるようなのだ。

小さめの水槽でじっくり見られるので楽しい。ピラニアファンにとって、今栃木が熱い。
常設展部分へのエントランス
常設展部分へのエントランス
やっぱり海へのあこがれは捨てきれない栃木
やっぱり海へのあこがれは捨てきれない栃木
自然光が美しい展示
自然光が美しい展示
でもまあ、太平洋まではちょっと距離あるよね
でもまあ、太平洋まではちょっと距離あるよね
続いては常設展の方に行ってみる。地元の那珂川、世界の川の代表としてアマゾン川を中心とした展示を行っているようなのだが、入り口のところには「そしてあこがれの海へ…」ともあった。実際、展示の最後にちょこっと海の魚もいる。

やっぱりそこんとこ、まだ気になってたか…。川だけに集中できない栃木が、埼玉県民としても共感できる。

淡水魚の展示は外の光をうまく取り入れる形になっていて、水族館特有の暗い雰囲気はまるでなく、とても明るい。歩いていて楽しい気分になれる水族館だ。
アマゾン川水中トンネル
アマゾン川水中トンネル
いいアマゾン出てます
いいアマゾン出てます
ジャングル方面からもアマゾン
ジャングル方面からもアマゾン
ピラニアよりもやばいやつ
ピラニアよりもやばいやつ
常設展でもアマゾン川や熱帯雨林を再現している部分は多くあり、「リアルアマゾン」開催中ではなくても、結構アマゾンであることがわかる。

特徴のある魚が多いので面白い。ピラニアよりも怖いとされるカンディルという魚は、アンモニアに反応する性質があり、人間の尿道から内部に進入してくることもあるらしい。

それは恐ろしい。ピラニアは実は臆病な性質らしいが、カンディルは性格も獰猛とのこと。楽しいだけでアマゾンは済まされないのだ。
これが…
これが…
こうなります
こうなります
アマゾンの市場で売られていたミズガエルというカエル。食用にするというのはまだわかるが、ジュースになっちゃうというからアマゾンだ。「名前のとおり、カエルがまるごとはいったジュースです」って書いてあるけど、そんなの納得できない。

よく見ると、コップの中の液体は緑色っぽく濁っている。味について触れていないのも気になる。

カンディルで下半身が引き締まり、カエルジュースで上半身が引き締まる。結果としてアマゾンは全身を引き締めてくるのだ。
穏やかアマゾン
穏やかアマゾン
子供、子供、大人、子供
子供、子供、大人、子供
ハードなアマゾンのあとは、マイルドなアマゾンで心を落ち着けたい。常設部分でも「リアルアマゾン」の一環として開催されるイベントがあり、こちらは会期中の土曜日に行われる「アマゾン熱帯魚すくい」。

冷静に考えるといろいろおかしいが、すっかりアマゾンに当てられて「ああ、アマゾン熱帯魚すくいね」という受け入れ態勢が自分の中にもできていた。

よし、やってるのは子供ばかりだが、童心に戻ると称して私もやってみよう。
確かにこいつら金魚じゃない
確かにこいつら金魚じゃない
せこさが賢さにつながる
せこさが賢さにつながる
エンゼルフィッシュやプレコといった熱帯の魚をすくうこのコーナー。和風とアマゾンが強引に一体化している。

すくった魚は持ち帰るのではなく、数に応じて景品と交換するシステム。聞いてみると、10匹すくえば最高のA賞をもらえるそうだ。魚を飼う自信のない私も、これなら真剣に取り組める。

周囲の子供が派手で大きな魚を狙って紙を破く中、大人である自分は小さいグッピーばかりを狙っていく。とりあえず2匹取ったぞ。
あれ、いなくなってる!
あれ、いなくなってる!
続けて水面に目を凝らすわけだが、ふと気がつくとお椀の中にいたはずの魚がいなくなっている。あれ?

そういえば、さっき魚が跳ねていたような気がする。横で見ていた妻によると、「飛び跳ねて出ていっちゃったよ」とのこと。えー、そんなのありか。さすがはアマゾンの魚だ。

係のお兄さんに聞いてみると、「すくった数を覚えておいてくれればいいですよー」とのこと。おお、そういうシステムならがんばれる。
最大同時獲得数は4匹
最大同時獲得数は4匹
A賞取りました!
A賞取りました!
すくっては逃げられを繰り返し、粘り強く狙っていったところ、ついに通算10匹目をすくう。何年ぶりにやったかわからないけど、子供の頃には全然すくえなかった記憶がある。俺、成長してるんだ。

A賞はアロワナのぬいぐるみ。おっさんながら、買うまではいかないけどぬいぐるみは結構好き、という自分にはうれしい景品だった。

水族館キャラクターのぬいぐるみのメタファーがすごい
水族館キャラクターのぬいぐるみのメタファーがすごい
海へのあこがれと川へのこだわりとの間で揺れる栃木。「リアルアマゾン」は9月19日まで開催中だ。

この夏、栃木がアマゾン。でも、常設部分だけでも結構なアマゾンなので、栃木は常にまあまあアマゾン。いつ訪れてもアマゾン気分を楽しめるところだと思う。
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