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特集


はっけんの水曜日
 
宮崎くんの、書いたもの

■東京事変に影響を与えた(かも)

大塚:わたし、「鶴を折るつもりじゃなかった」の回が、結構好きなんですよ。
林:これは、企画も取材もボロボロだったのに、よくここまで原稿を形にまとめて、すげえなーと思った記憶がありますよ。
大塚:ボロボロだったのか……。でも三越とかに怒られなくて、よかったですね。

林:こういうジャケットのテクノのCDってあったよねとか書いてますよ。
大塚:ないよ! ……あ、でも東京事変、こういうジャケットですよ! 椎名林檎さんに真似されましたね!
林:これ見たんですかね、「折り鶴だ!」って。
大塚:そうそう。彼はデザイナーでもありましたし。去年の私の企画で、CDジャケット、デザインしてもらいましたしね。遺作になっちゃったけど。

 

■創作上手

大塚:ノンフィクションできちんと取材する半面、突然「これ、嘘なんじゃ?」みたいなこと、書くことも多かったですよね。
林:「登山家だった祖父のそんな言葉を思い出しながら」って書いたりしてますけど、彼のお父さんやおじいさんって原稿のたびに、職業が違うんですよ。
大塚:ははは。そうそう、彼の原稿の中で、いちばん評判の良かった、「夢で見たお団子の話」の話。

林:はい。
大塚:「片腕のおじいさん」ってやっぱり水木しげる先生がモデルなんですかね?
林:そうなんじゃないですか? 
大塚:っていうか、だんごの夢を見たこと自体、創作だっていうのは、バラしていいのかしら。
林:うーん。企画の相談の時点で、話が完成していた気がするんですよ。
大塚:ははは。
林:「そういう話を書いてみたい」って言われて、「わかんねえよ」って笑ってこたえたら、真顔で喋っていたので「変なヤツ」って思ってました。
大塚:……彼の文章って、なんだろう、人の心にひっかかるものを書く人だったので、読む人の中には「あいつ、気にいらねえ」みたいに、悪く言う人もいたそうじゃないですか。
林:そうですね。
大塚:で、そんな中、「団子の話だけは、感動した」って反響が多くて、「よっしゃー、ザマーミロ!」って感じだったみたいですよ。
林:しょうがないなあ。

 

■ノンフィクションライター宮崎

大塚:あ、あと私、「ハードコアひも道」とか「まぼろしのクリーニング寿司を求めて」とか「怒られて帰ってくる」やつ、結構好きなんですよ。

林:ひもの記事は、いいですよね。
大塚:怒られて帰ってくるのって、デイリーの他のライターは、やらないですよね。
林:そういえばないなあ。普通、怒られたら原稿にはしないですからね。
大塚:うーんなんだろう、彼がデビューした媒体が「クイック・ジャパン」ってノンフィクション主体の雑誌だったから、そういうのが基礎にあったのかなあーって思うんですけれど。
林:そういえば、最初に逢ったとき、「インタビューは相手と同じ所に立って話を聞く」とか「ネットにあふれるけなし芸はダメ」とか、そういう話をした記憶がありますよ。
大塚:「けなし芸」って、何ですか?
林:一風変わっている人を、ばかにするような書きかた、ですね。
大塚:ああ……ネットによくある、「自分自身がつまらない人が、面白いことを書こうとすると、悪口になる」の法則ですね。
林:彼は、ホームレスの人とかとも、同じ目線で喋ってましたよ。
大塚:「ウサギをめぐる平日」のときとかですね。

林:あと「タマちゃんのいた街」のときとか。
大塚:誰にでもずんずん、話きいてますよね。あんな内向的なのに、ああいうとこ平気で突っ込んでっちゃうんですよねえ。
林:最初、「クイック・ジャパン」で書いた記事のコピーをもらったんですけど、すごく面白かったですよ。 ローソンの話とか。
大塚:ああ、ローソン。チェーンからぬけたローソンが、勝手に自営してる話ですよね? 戦う自営ローソン。
林:そうです、電気も止められちゃって。
大塚:自分で仕入れルート確保して。
林:いい記事でしたね、悔しいぐらいおもしろかったですよ。

 

■食べる男

林:あと彼は、行動自体が面白いんですよね。
大塚:通夜のあと、みんなでノートに寄せ書きしたじゃないですか、「宮崎くんはこんなことしてた」って。
林:あれ、ここには載せられないですねえ。
大塚:私が書いたのは、なんだっけなー。「ファンタスティック・プラスティック・マシーンの出るイベントに行って、楽屋そばに『田中知之様』って弁当があって、そこからオカズを何品か食べてから元に戻した」って話かなー。
アーティストのごはん、盗み食いですよ(田中さん、もしココ読んでたらすいません、許してやってください)。
林さん、なんて書きました?
林:まえに、宮崎くんの当時の彼女が、林さんにお金を返すときにいっしょにに渡すようにクッキーをヤツに託したんです。
大塚:ほう。
林:それを、あいつは食った。
大塚:……なんか、盗み食いの話ばっかりじゃないですか。
林:で、食ったことを彼女に言ったところ「食っちゃったと林さんに言え」と彼女に言われたんだそうで。
大塚:ややこしいなあ。
林:「かくがくしかじかで、食べちゃいました」「はらへってて、食べ始めたらとまらなくなっちゃって…」って言われました。
おまえは白ヤギさんか、と思いました。
大塚:……。
林:1万円かしたとき、返すのに「9520円でいいですか」って訊かれたこともあったなー。
大塚:そのきざみ方は、何なんですかね?
林:僕に会うまでの電車賃で使ったらしいですよ。
大塚:なんだそれ。
林:で、そういう宮崎くんの、普段の面白いところを僕が原稿にかいていいか? と聞いたら、だめだと言われました。
大塚:あいつ、人のことは、じゃんじゃん書いちゃうくせになー。そうそう、「2005年大予想」のとき! 本当に皆、怒りましたねえ。

林:ねえ。原稿遅くて、原稿チェックなしで載せたら…。
大塚:みんな悪人っぽい発言になってますからね、せっかくデイリーは、善人のイメージで運営してるのに(笑)。
林:そう。なんでしょうね、あの黒さは。
大塚:でも、今読み返すと、別に腹立たないんですけどね。
林:僕は僕がインタビューされた記事で、あれがいちばん好きですよ。



 

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