以前、名古屋で取材をしたとき、みな親切だった印象がある。あの空気ならばピエロも案外OKなのではないか。
ピエロで立ってみて気づいたことがある。ナナちゃんは待ち合わせスポットだし、周囲にビルも多いため、人通りが激しいのだが…
そこにピエロを投入すると…
ガラガラだ。近くにカメラがあるのでなにかの撮影かと思ってよけてくれたのかもしれない。そう好意的に解釈することもできる。でもね。
僕の周りだけモーゼが割った海のように空間ができている。こういうの見たことあるぞ。そうだ、満員の終電で吐きそうにしていたよっぱらいの周りだ。
そうか。いま僕はあそこに立っているのか。
透明な存在になる
東京、大阪とピエロで歩いてみて僕を見る人が好意を持っているかどうかが目でわかるようになった。捨てられた子犬のような能力である。段ボールのなかから(メンタルな意味で)優しそうな人を探してみる。大阪のように目が笑っている人はいないだろうか。
だが、誰も目を合わせてくれない。
ここで人気者になれる確率はゼロだ。
僕はいないことになっているようだ。僕はまるで石だ。派手な石だ。
こりゃだめだ。駅前でみんな忙しいのかもしれない。もっとハレの場所に行ったほうがいい。名古屋いちの繁華街、栄に移動してみることにしよう。