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特集


ひらめきの月曜日
 
伸ばして潰して薄くする

本物のミルフィーユ

ミルフィーユという、パイとクリームが重なったケーキがある。このミルフィーユ、フランス語で「千枚の葉」という意味らしいのだが、実際にパイ生地が千枚も重なっているのか? もしや過剰申告じゃないのか? そのへんどうなのよ、と思ったことはないだろうか。


明らかに千枚もないだろう

思えば、世の東西を問わず「千枚漬け」や「サウザンアイランドドレッシング」など、名前に「千」の付く食べ物は多い。
特に日本の場合は「千切り」や「千六本」など、調理の過程にも「千」という数字を使いがちだ。

フランス人も「とにかく薄いのがたくさん!」ということが言いたくて、勢いで「千枚」なんて言ったんじゃないか。

そんなわけで、正真正銘のミルフィーユを作ることにした。

冷凍パイシートを買ってきて、とにかく伸ばす
葉っぱ型がなかったので、人形型で代用

これをオーブンに約10分ほど突っ込みます

とりあえず、試作としてパイシートから型を取り、焼いてみることにする。

パイを焼くのは、というより、お菓子作りをするのは中学生のとき以来だ。カンを取り戻しがてら、試し焼きといこうじゃないか。

と、さっそくオーブンで焼き上げたのだが、中からはなにやら奇怪なものが出てきた。

恐ろしいほどにバラけた焼き上がり。まったく膨らんでないのもある
なんだこりゃ。新種の生物か

えーと。ちなみにこのパイシート、パッケージにはこのように書いてあります。


144層だそう(ちなみに「パイの実」は64層らしい)

このパイシートを7枚くっつけて、1008層のパイを作るつもりだったのですが。…あー。そうだった。ヘタにこの生地を伸ばしたりすると、層が出来なかったり、膨らまなかったりするんだった。そもそもシート同士は、そう簡単にくっつかない。徐々に中学の頃の記憶がよみがえってきた。

…いきなり企画倒れの匂いがぷんぷんする。だが、こうなったからには、パイ7枚が同時に皿の上に乗った状態を完成形としたい。同じ「千枚の葉」なことには違いあるまい。

そんなわけで、とにかく形のキレイなパイを作ることに専念することにした。


144層を潰さないように型取りして焼きます
目を離したら、この始末。なにやってんだ

買ってきたパイシートを、とにかく焼き続けた。型を抜き、それを焼く。一度に焼ける量がそれほど多くないので、同じ作業を何度も繰り返す。

単三の乾電池と同じくらいの大きさ
だんだんいい色になってきた

目標の量には、とっくに達していたが、もう数字はどうでもよくなり始めている。目的を見失いかけていると言ってもいい。とにかく、満足のいく可愛らしいパイを焼きたい。ただ、それだけの思いで作業を進めていた。
層もキレイに出るようになってきた

結果、当初の予定を大幅に超えた量のパイを焼き上げてしまった。狭い部屋は、パイに侵食されたと言ってもよかった。


 

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