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特集


ひらめきの月曜日
 
畑のキャビアを手作りする

地面を見ながら歩く

まずは、先日見かけた辺りを重点的に探すことにした。詳しい場所を覚えていないのは、えーと、酔っ払っていたせいです。


目印は、このトイレのあった辺り

もう、どことなく秋の気配のする河原だが、相変わらず人で溢れている。バーベキューやキャッチボールを楽しむ人たちに混じって、1人地面を見ながらゆっくりと歩く。我ながら、いささか行動が怪しい。

額にサッカーボールを乗せて歩く青年。怪しさにかけては彼の方が上だった
雑草をじっくり鑑賞
お、いかにもホウキ草がありそうな雑草群
その傍らには、行き倒れのように寝ていたおじさんが。長靴が半分脱げてます

誰かに「何してるんですか?」と聞かれたら「ちょっと落とし物を…」と答えよう。あ、でも「じゃあ一緒に探しますよ」なんてことになったら大変だ。正直に「ホウキ草を探してます」と答えるべきか。

…なんて、あれこれ考えながらブラブラ歩き始めて約10分。ついにそれらしい物を見つけた。

ネットで、ホウキ草(植物名:コキア)について調べた後なので、形状は把握済み。…うん。これだこれだ! これに間違いない !


ああ、会いたかった。これがホウキ草の枯れた姿です

「あった!」と言って喜びを分かち合える相手もいないので、ひとり心の中でとガッツポーズを取りながら、持参した紙袋に折った枝をバサバサと入れていく。

だが、とんぶりを作れるほど実が残ってくれるか心配になるほど、枝を折るたびにバラバラ、紙袋に入れる時にもバラバラと、乾燥しきった実が落ちてしまう。


すでにもう、だいぶ実が落ちている

なるべく枝に震動を与えないように、そっと扱うのだが、それでも実が落ちまくる。うーん。これはたくさん見つけて数を稼ぐしかないな、と、さらに土手を探索し続けた。

途中、土手に腰掛けて持参したビールを飲みながら少年野球を見たり、夕暮れに染まっていく水面をボーッと見たり。休憩挟みつつ、地味にホウキ草を探す。


監督の姿勢だけは昔と変わりません
ああ、夏が終わる

 

ホウキ草は、群生して一カ所に生えているわけではなかった。なぜか一株ずつ、離れた場所にポツンと生えている。しかも成長具合はマチマチで、やたら枯れたのもあれば、若いのもあった。


せっかく見つけたものの、これはまだ若かったので取らずに保存

ところで、商品化されている「とんぶり」って、どうやって栽培しているんだろう。勝手に実が落ちても構わないように、下にシートでも敷いているのだろうか。

「そういや秋田に住んでたけど、とんぶり畑なんて見たことないな。どこにあったんだろ」と考えながら、ホウキ草を見つけては採取、を数回繰り返す。


これだけあれば大丈夫だろう

さあ、集められるだけのホウキ草は集めた。「これがとんぶりに…、あのプチプチに…」と思うだけで、自然に顔がニヤけてくる。ここに「これが畑のキャビアに…」というフレーズを加えると、ニヤけ具合も最高潮だ。なんだかんだ言って、このキャッチコピーを考えた人は天才かもしれない。

さっそく帰って、実の選別をしてから、茹での作業に取りかかろう。


 

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