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特集


ちしきの金曜日
 
ただ沼だけを見つめていたい

●ついに最強の沼、登場か

 湖を見たことで変に背伸びしてしまっていた沼めぐり。もう一度初心に戻って、名もなき沼をしっかりと見つめたい。


うん、いいね

いいよ、いいよ


 基本をきっちりと押さえた感じの路傍の沼。水のよどみ具合、奥に茂っている藪具合など、過不足ない程度に沼だ。朽ちかけている木の棒にところどころ切れた有刺鉄線が張られているのもよい。

 浮かんでいるのは藻だろうか、水面の趣きをより沼らしくしている。

 ただ、上の写真のように斜め上から見ている分にはわからないのだが、水面だけを真上から眺めるとまた別の様相を呈してくる。


これはやばい

 なんかやばそう。これまでいろいろ回って、沼を見る目も肥えてきた感があったのだが、そうした私にもやりすぎに見える沼度。

個別に見るとさらに邪悪に

 うわ…。目をそむけたくなる感じでもあるのに、沼の魔力は浮かんでいる物体への凝視を強いる。なんだかわからないけど、やばいだろう。過剰な沼オーラの正体はこれだったのか。

遠目で楽しむ方が初心者向け

木々の斜めっぷりもいい味


 やはりあまり仔細にまで目をやらない方が、自然な気持ちで沼の味わいを楽しめそうだ。初心者・上級者それぞれ、自分の距離で接するのがよいのだと思う。

 

●沼が約束されたバス停

 コアな沼の様子を堪能したところで、また趣向を変えた沼めぐりをしてみたい。出会い頭の沼も楽しいものだが、偶然性が強すぎるのも事実。そうした要請に応えるかのように、沼が全面的にフィーチャーされたバス停というのもあるのだ。


沼へのエントランス

 東京都町田市にある、「沼入口」というバス停がそれだ。陰のあるイメージがつきまとう沼を隠すことなくその名に冠した停留所だ。そういうわけで、

ウェルカムトゥー沼

沼入口へやってきた。しかし、

雰囲気こそあるものの
沼そのものは見当たらない

 辺りを探してみたものの、どうも沼らしきものは見つけられない。でもここは沼入口だろう、はっきりそう書いてあるじゃないか。探し方が悪いのかと思い、バス停近くにお住まいと思われる方に尋ねてみた。

「あのー、すいません、ここ、沼入口っていうバス停だと思うんですけど、やっぱり近くに沼があるんですか?」
「あー、昔はこの辺り、水田だったらしくてね。」

 質問の答えになってない。

 その上、昔のことでさえ水田という表現。それは沼ではないじゃないか。どうも釈然としない。言外に沼はないと言われているのだろうか。


「…えーと、じゃあ今は沼はないってことでしょうか」
「うーん、縄文時代はこの辺り一帯が沼地だったみたいだけどね。」

 …じょ、縄文時代。そんなスケールでさかのぼらなくちゃいけないのか。そこまで昔のことを言ってしまっていいのだろうか。それが沼入口というバス停のルーツなのか。


沼を否定するかのように走り去る車

 沼なき沼入口。大いなる矛盾。

 しかしまだあきらめたわけではない。もうひとつ、とっておきのバス停をちゃんと調べてあるのだ。



 

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