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特集


ちしきの金曜日
 
鎧でビジネスシーン

●果敢というより無謀な鎧

 実はこの鎧、最近発売された拙著で、鎧を着てさまざまなミッションを試みるという原稿を書いたことと関係している。今回の商談は、BOOKSの担当者さんにその本のネット販売でのご協力をお願いすることが目的なのだ。

 いや、だからといって別にそのお願いを鎧でする必要はないんじゃないか。冷静に考えればそうだ。ただ、ビジネスシーンでは時として理屈を超えた心意気を見せなければならないこともある。


絶対おかしいよ

 ニフティの入っているビルは、東京・大森にある「ベルポート大森」という超近代的なビル。地下の駐車場で鎧に着替えてきたはいいが、いざビルの1階まで来たら思っていた以上にキラキラしてる。

 先方には鎧で来ることをあらかじめ伝えてはいるが、本当に大丈夫なのだろうか。冗談だとは思っていないだろうか。

 なぜだか気弱になる鎧。鎧は心までは守ってくれないのだ。


禁じられたことはやってないはず
なぜだか丸まる背中

 約束の時間まで少し余裕があったので、キラキラゾーンでしばし休憩。目に入ってきた注意掲示に書かれていることは何もしていないはずなのだが、不安が湧き上がってくるのはなぜなんだろう。

 !! まずい、警備員が巡回してくる。どこかに隠れなきゃと思ったが、キラキラゾーンにはそんな場所はない。

 落ち着け、冷静になれ。鎧でいるというだけで、何もとがめられるようなことはしていないはずだ。一見戦闘体制に見えるとはいえ武器は持ってない。あくまで守りを固めてるだけだ。

 ……ちらっと見て普通に通り過ぎていく警備員。めんどくさい奴だとは思われたかもしれないが、悪い奴だは思われなかったのだろう。

 さて、そろそろ約束の時間だ。エレベーターで階上に上がろう。


はい、どうぞどうぞー

 写真は同行の担当編集者に撮ってもらっていたのだが、こんな一枚もあった。他に乗り込む人たちのために、エレベーターのドアを押さえる鎧。鎧を着ているとはいえ、マナーは普通に守りたい。

 当然のマナーではあるが、たぶん私はこのとき世界で一番親切な鎧だったと思う。

 

●ついに本丸に突入

 エレベーターを降りて少し歩くと、目に飛び込んできたのはニフティの受付。いよいよオフィスゾーンに突入だ。


ついに来ちゃった受付
はい、深呼吸

 さすがに受付担当の女性に切り込んでいく勇気はない。ふざけているのか過剰な正装なのかよくわからない鎧。こういう場面は同行の担当者に任せ、鎧はどっしりと構えているべきだろう。鎧がしゃしゃり出て行くと面倒なことになるような気がするのだ。

 横にあったイスに座り、先方の担当が来るまで深呼吸して待つ。

 しばしの後、「ではこちらへ」と案内された先がまた修羅場だった。


心の内の修羅場

 いや、別にそこは修羅場なんかじゃない。あくまで近代的なオフィスだ。そんな場所に一人鎧でいる自分の心が修羅場なのだ。

 どうして先方の担当者さんのデスクまで、こんなに遠く感じるんだろう。


腰の低い鎧
ここでもフォトジェニックに

 やっとたどり着いたデスクで、BOOKSの担当者さんと名刺交換。戦国時代に名刺を交換する習慣はなかっただろうが、ここはあくまで現代。いきなり勝どきをあげたりすることなく、慣例的なビジネスマナーに従いたい。

 しかし、こんな当たり前のビジネスシーンにシャッターを切る方々が。ビジネスシーンは当たり前なのだろうが、やはり鎧には当たり前じゃない要素があるのだろう。

 ここで自分が人気者だと勘違いしてはいけなんだと思う。珍獣来たる、みたいな感じなのだと思う。

 

コアへと向かって

 さらに詳細な打ち合わせするためにミーティングスペースへと移動。こうして写真を引きで撮られると、一層のせつなさが募る。


 

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