■連続テレビドラマ小説
人の会話があるところに議事録あり、ということであればテレビの中の会話でもいいのではないだろうか。ないだろうか、って問いかけられても困ると思いますが。
2時間モノのサスペンス劇場などは議事録甲斐がありそうだが、ぼくはまだまだ「勝手議事録」の初心者。ここはぐっとこらえて朝の連続テレビドラマ小説を議事録に取ることとする。崖っぷちでの犯人の告白の議事録化には非常にそそられるものがあるが。『「そのような対応をしても秋子さんは喜ばないと思われる」→了』とか。
まずは以下、実際の「会議」での発言。 |
亜沙子:「まだ気にしてるの?枕のこと。優のミスは女将さんがちゃんとやてくれて、お客さんも最後には笑顔で帰って行かれたんだから」
優:「そうだけど…」 亜沙子:「ん?」
優:「こんなんじゃお父さんに…働いてるところ見てもらいたいだなんて、言えないよ…」
(略) 絹子:「優ちゃん」 優:「はい?」
絹子:「優ちゃんのお父様から、ご予約いただきました」
優:「予約?…お父さん、ここに泊まりに来るってことですか?!」
絹子:「はい」 優:「…」
(略) 優:「女将さん、お願いがあります」
絹子:「ん?」 優:「お父さんが泊まりに来た日、お部屋の係は、私一人でやらせてもらえませんか?」
絹子:「ぜんぶ、ひとりで?」 優:「はい。枕のことでミスをしたばかりですし…まだまだ見習い中で、全然だめですけど…お願いします!一人でやらせてください!…お願いします!」
絹子:「…分かりました。優ちゃんにお願いしましょう」
優:「ありがとうございます!…ありがとうございます!!」
(略)
仕事で多くの会議に出席してき自分だが、こんな会議は未だかつて経験がない。感情論に走りすぎているきらいがあるが、議事録ではすっきりとまとめていきたいと思う。
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ずいぶんとすっきりした内容になってしまった。ドラマ台無しだ。脚本家はじめ関係者が怒りそうだ。議事録、おそるべし。
ドラマを議事録にしてみて気づいたのは、「会議」は発言のみでなりたっているということだ。行動や心象描写を含めると、それは議事録ではなく「あらすじ」になってしまう。つまり、合意形成におけるロゴス中心主義が資本主義社会の限界を示していると言わねばならないだろう。うそです。
じゃあ逆に会社の会議を議事録ではなく「あらすじ」にしてみるとどうなるのか。『課長に訪れた突然の受注調整失敗…。部長が課長を優しくも厳しく慰める。果たして、2人に未来はあるのか!?次回「課長、根回す!」今、昇進をかけた戦いが始まる…』とかか。
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