遥かなるアウトドアへの道
翌朝、また早起きして橋に向かう。欄干から顔を出して水面を見てみると、あからさまに魚の群れが泳いでいるではないか。今回はいけそうだという期待が高まる。
というか、岸に降りていって網ですくいたい。
ワナを仕掛けるとか、ちまちましたことはもういい。あっさりと魚を捕りたい。知恵比べなんて遠まわしなことはほんとはしたくない。
自分のしていることを否定したところで、網はもってないのでワナを引き上げるしかない。さあどうだ!
……エースのうどんから引き上げてみるが、そこに魚の姿はない。エビすらも入っていない。うまい棒・虫のペットボトルに最後の望みをかけてみるが、やはり何も入っていない。
完敗だ。うどんたちにつられる魚はいなかった。
すぐそこに魚たちが見えているのにこの結果はどういうことか。釣り好きの知人に聞けば、この川は雑魚なら楽勝でどんどん釣れる川だそうだ。
ウナギを夢見た自分が愚かだった。意外と高かったアウトドアの壁。
このまま引き下がってよいものだろうか。でも、もう朝早く起きたり、釣り道具を揃えたりするのはいやだなんだ。うん、やはりそうだ。あきらめよう。
一瞬迷いを見せつつも、割と早く出た結論。
アウトドアは結果よりも参加することに意義がある。そう自分に言い聞かせて、家に帰ってもう一度寝ようと思う。
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