鶴見川をながめながら
鶴見駅に帰る途中、鶴見川で休んだ。
自動販売機で買ったミキを取り出す。
ミキは、甘酒の発酵する前の状態を飲む飲み物で、甘いお餅のような味だ。名古屋のウイロウにも似ている。
沖縄で飲んだ時、とても美味しかったので、思い出して買ってみたのだ。
プシュ。プルを押して開ける。
ごく。
……あれ?
思ったほど、美味しくなかった。
いや、好きな味ではあるのだけれど、「おいしーっ」という感じはしなかった。
「これはきっと、沖縄で飲むとすごく美味しいんだろうなあ。オリオンビールも、沖縄で飲んだほうが、美味しかったもんなあ……」
そう考えながらぼーっとしていたら、ひとりの男が、カモメにえさをやり始めた。
さすが横浜、海が近いせいか、川っぺりにカモメがスイスイ泳いでいる。
男がポップコーンを投げると、あっというまに、たくさんのカモメが集まった。エサを投げるたびに、キョキョキョ、グエグエグエ、と嬉しそうに騒いでいた。
「横浜はいい町だなあ。でも沖縄出身の人は、沖縄に帰りたいって思うのかなあ」
埼玉の何にもない町出身の私は、とくべつな故郷を持った人たちの気持ちを想像してみたけれど、サッパリ分からなかった。
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