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ロマンの木曜日
 
琵琶湖疏水を巡る、産業観光モニターツアーに参加した

バスで京都の蹴上へ一気にワープ

大津エリアの疏水見学が終わり、続いてはA班と合流して、例の観光バスで京都の蹴上へと向かう。

大津に端を発する琵琶湖疏水は、小関峠の下を通って山科へ抜け、やがて蹴上に至る。琵琶湖疏水で最も勾配のきつい蹴上には、蹴上発電所やインクライン(舟を乗せるケーブルカーのようなもの)跡が残っていたりと、見所が集中しているのだ。

まずはその蹴上の見所のうち、琵琶湖疏水の水を利用した日本初の一般営業用水力発電所、蹴上発電を見学する。


バスガイドさんの話を聞いているうちに蹴上に到着
新たに加わったガイドさんに案内され、蹴上発電所へ

遠巻きに「水力発電事業発祥の地」の碑を見たりした
蹴上発電所第二期の建物は、煉瓦造で非常に渋い

ちなみにここ蹴上では、大津とは別の、女性のガイドさんが付いてくれた。こちらもまたきめ細かな説明で、知識欲をチクチク刺激されとても楽しい。

ふと気が付くと、お天道様が頭の遥か上にまで登っていた。今日は朝が早かった為か、我が胃の腑は既に空である。先ほどから食を求め、情けない声で鳴いておる。そろそろ昼飯にしてもらえると、大層ありがたいのであるが――。

そんな事をぼんやり考えていたら、その思いをガイドさんが察してくれたのか、絶妙なタイミングで「次は白河院でお食事にしたいと思います」とおっしゃた。おぉ、素晴らしい。……って、白河院?何だか敷居の高そうな名前のお店だな。

 

疏水の水を引き込んだ庭園を持つ、白河院

バスが停車したのは、京都府立動物園の裏手。しっとり落ち着いた町並みの一角に、白河院はたたずんでいた。

この白河院は、私学共済事業が運営する公共旅館だそうで、ランチもやっているのだという。その名に恥じず、格の高い風情を醸す、立派な施設である。


何か、凄い立派なんですけど……ドレスコードとか、ないよね
うぉ、玄関入って正面に庭園!

料理も、こりゃすげぇや……

う〜む、凄い。料金的な事に言及するのはいささかためらうものがあるのだが……まぁいい、言ってしまおう。このツアーの料金は、3500円である。

琵琶湖疏水のガイド料も、取水口を見学した舟の料金も、移動のバス代も、この食事も、この後に行く予定の庭園、無鄰菴(むりあん)の拝観料も、全部コミコミでこの値段なのだ。

モニターツアーという事で、利益は度外視だとしても、それでも、原価を割ってしまっているのではないだろうか。そう思うくらい、至れり尽くせりの内容で、正直驚いた。



しかも、デザートまで出てきちゃったよ
これには、思わずニヤリ(私は甘いものが好きだ)

ちなみにこの白河院、食後は庭園を自由に散策する事ができる。白河院の庭園は、琵琶湖疏水から池の水を引いている池泉廻遊式庭園(池の周りを散策できるようになってる庭園)。

視点によって赴きも異なり、ぶらぶらするのがとても楽しい。夢中になって、庭園を眺めていたら、いつの間にか皆さん食事を終えて白河院を後にしており、私一人が取り残されていた。


料理も良かったけど、私としてはこの庭園を拝観できるだけでも
十分、このツアーに参加して良かったと思えるのです

 

再びガイドさんと疏水を巡る

さて、慌てて白河院を飛び出た私を収容したバスは、再び蹴上の琵琶湖疏水へと舞い戻った。蹴上発電所に引き続き、ガイドさんと一緒に蹴上の見所巡り、再開である。


取水口で水を止めているので、こちらも疏水に水は無し
でも、ガイドさんの解説はしっかりしてましたよ

インクライン周辺は、前より綺麗に整備された気がする
相変わらず、迫力ある蹴上発電所の水圧管路

疏水もだが、このねじりまんぽにも思い入れが強い(参考記事
うん、やっぱり、インクライン周辺は綺麗になっている

前に来た時、インクライン周辺は草がぼうぼうに生えていて、打ち捨てられた感が漂う、若干寂しい雰囲気だった。しかし、今回改めて来てみると、何か綺麗になっているではないか。

尋ねてみると、確かにインクラインの周辺は整備されたのだそうだ。インクラインに乗っている三十石船(琵琶湖疏水を行き来した船を再現したものだそうだ)も、去年、京都滋賀県人会から寄贈されたものだという。

近年は琵琶湖疏水の保存活動も活発になっているらしい。これは疏水の保存や保全上、とても良い傾向であると思う。


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