橋の上で警備艇の写真を撮っていると、前からお巡りさんが近づいてきた……。
お巡りさんに色々と訊かれた
警官「ちょっとあんた、なにしよるの?」
どうやら、ぼくが、橋の上からお巡りさんや警備艇の写真を撮っているところを不審に思ったらしい……。ちなみに胸には「岡山県警」の文字。
ぼくを呼び止めたこのお巡りさんは、カメラの写真を確認させて欲しいという。別に後ろめたいことはないので、カメラの写真を見てもらう。
すると、さっき横浜駅で撮影した写真(警官が写りこんでいる)をみて
警官「なんじゃこれ、なんでこんなもん撮っとるの! こん…こんなもん、いらんじゃろがー!」
と怒られてしまった。
ぼくは、お巡りさんのお仕事を邪魔するのは本意ではないので、きちんと写真の目的を包み隠さず正直に話そうとした。
ぼく「今、ゴミ箱がどこまで封鎖されてるか調べ……」
警官「いやゴミ箱はええから、ちょっと身分を証明するものを見せて。免許証とか。」
身分証明証……こういう時いつも困るんだけど、ぼくは原付の免許しか持ってなくて、免許は普段家に置いてある。うーんと困って財布をまさぐってると保険証が入ってたので、保険証でいいかと聞くとそれでいいという。TSUTAYAか。
警官「なんで警官なんか撮る必要があるの?」
ぼく「ですから、ゴミ箱がどこまで封鎖されてるか調べようと思って、横浜にきてゴミ箱を調べるついでに横浜市内の特別警戒の様子を写真に撮ってたんですよ」
警官「????……それは……調べてどうするの?どこかに発表するの?」
ぼく「まあ、ブログとかに書いてネットで発表しようと思ってますけども……」
この時点では、デイリーポータルZで記事にするかどうか未定だったのでちょっと濁した言い方になったんだけど、まあ、間違いではない。
しかしながら、目的の間抜けさよ。なんだ「ゴミ箱調査」って。そりゃお巡りさんの頭にはてなマークいっぱい出るわ。こんなの30半ばのオッサンのすることじゃないぞ!……と、一瞬、冷静になりかけたけど、ここで冷めてしまったら負けだと強く自分に言い聞かせた……。
しばらくすると、最初のお巡りさんが呼び寄せたのか、周りからさらにお巡りさんが数人集まってきた。この感じ……蜂か。
警官「ちょっと持ち物見せて」
ぼく「はい、どうぞ……」
持ち物を見せてというので、なんならスッポンポンになりましょうか?ぐらいの勢いで、カバンを開けて差し出したのだけど、チラッと一瞥しただけで中身を検分する様子はない。あれ?いいの?
警官「えーと、仕事はなにしとるの?」
はいきたこの質問。これが一番困る。ぶっちゃけていうと無職なんだけど、バカ正直に無職とかいうと話がこじれそうだと思ったので、とりあえず、雑誌に原稿を書いて、わずかではあるけれどお金を貰っているということで「フリーライターです」と答えた、まあ嘘ではない。
警官「え、フリーライター? どんな雑誌に書いてるの?」
ぼく「え、まあ(雑誌名)とかにちょこっと……」
警官(他の警官に)「フリーライターだって」
他の警官「フリーライター? あっそう、フリーライターね」
と、急に納得したような表情になった。え、なにこれ? フリーライターってそんなに信用されてる職業なのか? それとも、変なことしてるのはたいていフリーライターみたいなもんだという納得感?
いずれにしろよく分からないけど、職業を名乗ったら突然お巡りさんの態度が軟化しはじめた。
警官「あのねー、警官を狙って撮ったりすると、そういう写真を変なことに使おうとか、警備の穴を調べたりとかよくないことに使われる恐れがあるから、こうやって調べさせてもらうことがあるんよ」
ぼく「はあ、そうですか。風景や景色を撮って写りこんじゃうのもだめですか?」
警官「いや、まあそこまではダメとは言わんけど、あんたは協力的だし、もうこれでいいけど、これから先、警官の写真撮ってるとまた声かけられるかもしれないから、そこは気をつけてねー」
なぜか、先の心配までしてくれて解放された。これって、よく考えると職務質問だよなあ……。
「職務質問は協力的に接するとあっさり解放してくれる」という貴重な教訓を得たぼくはAPEC会場が見渡せる公園にやってきた。 |