−−では、もし今後活弁をやりたいという人のためにアドバイスを!
「えっ、そりゃ難しいなあ……まずは映画が好きじゃないとダメ。無声映画は勿論ですが、出来れば年代、ジャンルを問わず、沢山観た方が良いと思います。あとはデスクワークが好きじゃないと無理です」
−−台本は自分で考えなきゃ、って言ってましたもんね。
「そう。台本書いたり調べものしたり。あと、仕事を増やす為には活弁だけが好きじゃ駄目なんでしょうね。自分の場合は水木しげる先生とか声帯模写が好きだったりしたのが、活弁とは関係ないようで、結果的に繋がってますからね」
−−無声映画なのにトーキー以降の役者のモノマネが上手い、って普通だと関係ないですからね。
「あとはお年寄り好きな方が良いかもしれない(笑)。高齢の方対象の仕事が多いから。それと最近の持論ですが『活弁士ならではの雰囲気』ってのが持てると良いよなあと思うんですよ。ある趣の古めかしさ。無声映画、活弁士を知らない人にも、何故か妙に懐かしい感じを抱かせる事の出来るような雰囲気。どこかにそれがないと、どうも別のジャンルのものに思われそうで」
−−落語や講談みたいな古典芸能は最低限の守るべきラインてありますよね。
「あまり表面的なことだけ気にしてもいけないんでしょうが……とにかく、活弁士である自分に酔わないと、お客さんを酔わせることも出来ないだろう、と。僕もちょっと前までは照れが
あったんだけど」 |