トビウオのひれ酒をつくってみる

次に挑戦するのは、ヒレといえばこの魚ということで、トビウオである。本当はバショウカジキの背ビレ（こういうやつ）がよかったのだが、そいつを釣るには松方弘樹ばりのゴージャスな釣りをしないといけないのであきらめた。

このヒレはだいぶ前に魚屋で購入したトビウオのもの。妻に「これ、捨てていいでしょ？」と何回も聞かれるのに耐えながら、なにかに使えるだろうと冷凍庫にしまっておいたのだ。今回ようやく日の目を見ることができて非常にうれしい。

魚介っぽくないその大きなヒレを軽くあぶって熱燗の入ったコップに入れようとするのだが、当然物理的に入りきらない。蓋のしようがない。

なんだろう、この日本の良き食文化から逸脱したビジュアルインパクトは。パイナップルとかが刺さった南国のカクテル風といえなくもないが、どこか漂う魔法使いが作った精力剤っぽさ。

がんばって飲んでみる

このひれ酒、見るからに失敗の雰囲気が漂っている。だいたいトビウオという青魚のヒレ酒、なまぐさそうである。

でもせっかく大切にとっておいたトビウオのヒレで作ったんだから飲んでみよう。自己責任。

飲んでみてびっくりした。

トビウオのひれが、まっすぐ目に刺さるのだ。

味うんぬんの前に、目が痛いってどんな酒だ。

こんなに飲みにくいひれ酒は初めてである。

しかし、その味はというと、ちゃんとひれ酒になっているのだ。心配していた青魚特有の生臭さも皆無で、トビウオなのにフグとどっこいどっこいの勝負をしている。だがそれにしても飲みにくい。

でもよく考えたら、干したトビウオは「アゴ干し」といって、出汁をとるのに使うんだった。そのトビウオの干したヒレなんだから、酒がうまくなっても不思議ではない。

トビウオのヒレで一発芸

いい感じで酔ってきたところにトビウオのヒレ。ここは一発芸をするべきではないだろうか。

酔っているときは楽しかったですが、写真で見返すとなんだか土に帰りたくなりますね。