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ちしきの金曜日
 
狭いようで広いジャンル別旅行代理店

自分を見つめ直すいい機会に

さて旅行代理店というと個性的なツアーを期待してしまうところだけど、さすがこちらはド派手なツアーを用意しています。それがオーストラリアはシドニーで行われる「マルティグラを歩く!」ツアー


詳しくはサイトの方をご覧下さい。すげー。

「マルティグラ・パレードって世界有数のゲイパレードで、沿道から40万人近くの人が声援をかけるんですよ。これも普通の旅行で行ったらもちろん観るだけなんですけど、それじゃつまらないなって思ってウチの会社で団体登録したんですよ」

−−出演の方のですか?そりゃ凄い!

「パレードの中に入って内側から観るのと沿道から観るのでは感動がぜんぜん違うと思いますよ。もちろん普通にイベント好きな人も楽しめると思いますけど、自分の周り全部が世界のゲイっていう一体感を味わってほしいんです」

−−日本じゃまずありえない体験ですからねー。

「観てるだけでも楽しいですけど、それだけだとキレイだな、で終わっちゃうんですよ。中に入ることで『自分はひとりじゃないんだな』って体感出来るんです。参加することでゲイである自分を受け入れていこうって思っていただけるんだったら、それはもう売り上げ以上に喜びを感じますね」


ツアー紹介サイトを見てみると、フロート(=祭りでいう山車)や衣装のコンセプトも説明されており、これは行くと決めたら衣装の準備からむちゃくちゃ楽しそうだなー。旅行は行くまでの準備が一番楽しい、なんて言うけどもコレは「行くまで」も「行ってから」も楽しそう。ゲイじゃなくても興味わくなぁ。

そしてこれから手がけるのがゲイ・ウェディング。日本では婚姻法で同性婚は認められてないけども、国によっては結婚、そして結婚証明書を発行してくれるところも。


「デンマークとかカナダ、スペインとかは同性婚もOKです。ただもちろん海外で結婚しても、国籍が日本である以上は結婚証明書は無効になってしまうんですけど、『政府が自分たちの結婚を認めてくれた』って実感は格別みたいですよ」

−−かたち上のことでも嬉しいもんですよね。

「実はこないだもカナダにゲイウェディングの取材に行ってきて、あちらの結婚業界の人に話を聞いてきたんです。牧師さんからカメラマン、パティシエまで。ゲイウェディングならではのネタになる話が聞きたかったんですけど『私たちにとってはゲイもノンケの結婚式も同じだ』って感じだったんですよね」

−−そのくらい現地ではなじんでるんですね。

「取材はバンクーバーに行ったんですけど、街中にあるスタンレーパークって公園があってそこで式をあげるカップルが多いんですよ。ゲイのカップルも多くて、抵抗感ないんですか?って聞いてみたら、当人には若干あったりしても、通りがかりの人もみんな拍手したり、写真撮らせてーって言ってきたりするそうです」


カナダは特にゲイフレンドリーな国として知られており、アジアや旧東欧圏などゲイに対する意識が低い国から結婚式を挙げに行く人も多いのだとか。

そうしたダイレクトにゲイの人向けのツアー・企画だけでなくノンケの人も参加出来る「ドラッグクイーンと行く紅葉やぶどう狩りを楽しむバスツアー」なども主催している東田さん。今後は海外だけでなく国内のゲイパレードのツアーなども企画していくという。

ふとした会話から東田さんにとって「旅とは?」という話になると、こういう答えが返ってきた。


「有名な建築物観ました、美味しいもの食べました、でも別にいいと思うんです。でも本来旅ってのは、自分を見つめ直すとか、生き方を考えるいい機会だと思うんですよ。だから僕の中ではお客様に旅行していただく以上は少しでもそういうものを感じ取ってほしいですね」

−−自分探し、ていうとありがちな言葉になっちゃいますけど、目線が変わる事で変化のきっかけにはなりますもんね。

「だから、せっかくお金かけて旅行するんだから、『旅の恥はかきすて』で楽しんでほしいですね。ただそれも2パターンあって、下品で痛々しい感じのはダメで。日ごろ自分が抱えてることを発散する楽しみ方をしてほしいですね」


ゲイ向けだから、というだけでなくこうした東田さんのコンセプトに賛同したノンケのお客さんも増えているという。自分はノンケゆえに日ごろゲイについて深く考えることはないけれど、ゲイとはセクシュアリティだけでなく文化・生き方に関わるものなのはよくわかる。そして旅というのも異国の文化や生き方に触れること。その両者を重ねることで生き方を好転させよう!という東田さんの考え方は面白いし、なるほど応援したくなります。


ちなみにツアー以外で通年おすすめなのはタイだそうです。

こうした専門分野の旅行代理店は大手に比べるとやや高めになるそうだけど、その分事細かなサービスと、サービスする側のイズムが透けて見えるのが面白い。これから燃料代も安くなるようだし、どっかこだわった旅行に行ってみたいなー。


協力:ゲイトラベルジャパン

格闘技専門代理店の意外な続報

前半であきらめた格闘技専門の旅行代理店の話なんですが、その後で「全てをプロレス風にするぞコラ!」でもお世話になった謎のブッカー・バッドガイNABEさんがその代理店の方とお知り合いなのが発覚!今回は残念ながらタイミング合わずお話聞けなかったけれど「Kさん(代理店の方)は僕のサンボの先輩で、ヒョードルの兄弟子なんですよ〜」という情報が。うわ、それはそれで話聞きたかった!ということでまた続く、かも。

注:ヒョードル=エメリヤーエンコ・ヒョードル。PRIDEでも無敵を誇った、世界最強と呼ばれるロシアの総合格闘家。


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