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ちしきの金曜日
 
狭いようで広いジャンル別旅行代理店

パッケージ+αが増えてる、そう。

 海外旅行というとツアーや代理店のお世話になるんではなく、チケットだけ買って自由に行こうぜ!てな方がカッコイイ、気がする。いや正確には「してた」。しかし実際は手っ取り早く便利な方がいいわけで、先達はあらまほしきかな&老いては子に従え、ということで最近は旅行代理店にお世話になることが多い。親子じゃないけど。

ただ、旅行代理店でもフツーに安く手っ取り早くというだけでない特殊なジャンル限定のツアーを扱ってる店がある。ある地域限定とか、ある趣味嗜好の方限定とか‥。ある人にはスゴく使える旅行情報を聞いてきましたよ。

大坪ケムタ



実際行った人の話はネットとは違います

ちなみに旅行代理店という仕事を今さらのように説明しておけば、航空会社からのチケット手配からホテルの予約、ひいてはツアーの提案などの旅行に関するセッティング全般を旅行者になりかわってやってくれるお店。

もちろん観光地向け旅行が中心となるわけだけど、趣味嗜好が広がった今は一定ジャンルが強い、というのを売りにした代理店も多い。アジアやポリネシアなどリゾートに強い店、ダイビングなどマリンスポーツ系、鉄道など交通面の幅が広い店。特に最近は日本人のメジャーリーグ挑戦が続いたのもあり、スポーツ観戦に強い代理店が増えているよう。JTBH.I.S.といった大手旅行代理店のサイトを見てもスポーツ観戦ツアーが大きく取り扱われているようで。

そういえば、とわざとらしく前フリしてみるけども、10年くらい前に自分が初めて海外旅行に行った時は「格闘技専門旅行代理店」にいろいろお願いしたんだった。正確には、普通の代理店の中に「格闘技セクション」があり、相談にのってくれるという形。


その時はUFCという総合格闘技の大会と
プロレスを見てきました。

メインの目的は米南部の都市ニューオリンズに格闘技大会を見に行くことだったのだけど「この時期はここでプロレスが」「こっちはカラテの大会もやってますね」など教えてもらって、おかげで初海外&1人旅ながら腹いっぱい楽しめたんだった。

当時に比べるとスポーツ観戦旅行も増えたし格闘技もブームになった。今またお話をうかがってみよう‥と電話してみると、現在そのセクションはなくなってるとのこと。あらら。


当時の御礼もしたかったんですが。テロ一年前のニューヨーク。

普通の旅行代理店ではないようなサービスや情報のツボなんか聞きたかったんだけどなー、と思ってる所に、知人から「新宿二丁目にゲイ向けの旅行代理店がある」という話を聞いた。おお、「趣味嗜好による代理店が増えてる」と聞いてはいたものの、そっちの趣味嗜好の店もあるとは!ということで、ゲイトラベルジャパンの東田代表にお話をうかがってきました。


青年実業家風と思いきや爽やかなお兄さんでした。

「ゲイ向け」と先に書いたけれど、別にゲイの人しか使えない、とかゲイオンリーのツアーしか組んでない、というわけではない。


「セクシャリティフリーというかゲイでもゲイフレンドリーなノンケの方でもみなさんOKですよ。ゲイ向けのツアーも組んでますけど、普通に親子で京都に行くとかそういう手配もしますんで」

−−普通の手配もするけれど、他の店にはまずないゲイ情報にも強いぞ、というくらいで。そもそも東田さんがこうした代理店を開いたのはどうしてなんですか?

「一番の理由は自分がそういうサービスがあったら使いたい、ということですね。もちろん旅行は前から好きなんですけど、海外だとゲイパレードとか、ゲイだけでカリブ海やドナウ川下るクルーズとか各国にあるんですね。そういうのって英語圏のお客様なら気軽に参加出来ますけど、日本人や英語が喋れない国の方だとやっぱり敷居が高いじゃないですか」

−−人数集めるのも限界があるし、1人ではなかなかねぇ。

「だからツアーでやってくれたら参加したいなって思ってたんですけど、出来ないだろなって思って。じゃあ自分で作ればいいか、と(笑)」

−−もともと旅行関係のお仕事だったとか?

「いや、ぜんぜん関係ないですね。証券会社です(笑)。だから先入観なくやれたってのはありますねー」

注 ノンケ:非同性愛者。「その気がない」という意。


営業許可がおりてからまだ半年近くという東田さんの会社。「立ち上げること自体は大変じゃなかったんですけど、存続することに意義があると思ってるので。大変なのはこれから」と楽観視はしていない。

それは会社が出来たてというのに加えて、年からの不況の影響で旅行・観光・ホテルなどの業界がのきなみガタついてるという現実もある。


「自分もゲイとはいっても新宿2丁目にはほとんど行ったことなかったし『ゲイに強い』とうたうにしろ、どういうのが好まれてどういうものが好まれないのか、そういうマーケティングみたいな所から始めなきゃいけなかったんですよ」

−−普通の旅行でもこういう場所が好き、とか傾向もあるでしょうしね。

「僕はどちらかというとゲイの中でもつまらない方のゲイなんですよ(笑)」

−−「つまらないゲイ」って(笑)。

「クラブに行って遊ぶとか派手なタイプじゃないんですよね。でも、こういう事やる以上はひとりでも多くの人にハッピーになってほしいので」

−−実際のところ、ゲイの方の旅行の傾向ってあるんですか?

「ゲイの人はノンケの人以上に嗜好が様々な感じはしますね。恋愛に関してもそうですけど(笑)、旅行に関してもひとりでゴージャスな旅したいって人もいれば、場末な飲み屋で騒ぎたいって人もいますし」

−−こちらだと普通の旅行でもゲイ向けにコーディネイトやアドバイス出来るわけですよね。

「観光地の情報とかだったら大手代理店もあるでしょうけど、たとえば『ゲイタウンに近いホテル予約したいんだけど』って人には対応出来ませんよね(笑)。ウチではもちろん大丈夫ですし、それ以外の情報でも例えばゲイバーなんかでも外国人ばっかりの所もあれば、地元の人が集う店もありますし。あとドレスコードとか。ゲイの人ってそういう細かい所を求めてたりするので、その点は対応出来ると思います」


昨年は仕事や取材で20回以上海外に行ったという東田さん。今はネットで情報を得るどころかグーグルストリートビューみたいにかなり直感的に街の雰囲気を感じれるサイトもあるわけだけど、実際行った人の情報にはかなわない。「ゲイ向け」をうたうからにはそれだけの努力も重ねているのがわかります。

次ページではこちらならではの企画、ゲイパレードやウェディングについて聞いてます!


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