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フェティッシュの火曜日
 
人の故郷に勝手に行こう

普段なら悲鳴を上げるほど地味だが、知ってる人のルーツがここに!と思うともう!

大当たりの地場産業振興センター

市役所の次に訪れたのは地場産業館だ。お土産の手工芸品なんて興味がないのだが、今日に限っては話は別だ。その地域で何が生まれているのか、そして今回は工作系の記事を多く書いているライターさんのルーツを探っているのだ。

出るわ出るわのルーツ大洪水。今回はライターをやってるあの人だったが、たとえばB'zの実家近くの地場産業館には、やっぱり歌詞と旋律のルーツがキュッと詰まったからくり楊枝入れとかがあるにちがいない。


キラキラしたアクセサリーめいたものなんかもうまさに!こちらの記事とか
徽章とか?作ってそうー
精密な部品!まさに!

おしゃれな街出身だからおしゃれ!
記事はこちらあたりだろうか
踊りな!大学のダンス部も踊り記事もこれがルーツ決定!こちらの記事とか
こんなの頭に差して踊ってたわ、たしか。見たことないけど。

思い込めばルーツだらけ

おお、あの人っぽい。あの人っぽいものばかり売っている。あのワッペンを見ても、あの般若を見ても、思い出すのはあの人である。地場産業最高!ルーツだらけ。

知人の故郷にふらっと来てそれでも楽しめるのかな、とできるだけその土地については下調べをせずに来た。でもいける。見るもの全部ルーツに見える。

地図や観光案内を見てもルーツだらけ。虫が捕れる公園だったり(虫捕り記事はこちら)、無料の動物園があったり(鳥の記事をたくさん書いてます)頑張れば何でもそう見える。

ただし頑張りすぎて別の人のルーツまでもここだと思い込んでいたりもする。でもそれでいい気もしてきた。なんせ何から何まで思い込むことが今日の旅のおもしろに変わるのだ。


ダムの発電機?ダムの記事が多いんだよなー(間違いでした)
しまむらの記事も多いんだよ、あの人(間違いでした)

住宅街を進んで

パチンコだって!?

周囲の人にあの人の故郷に行くのです、と言ったら「そういえば織物とパチンコが有名だそうですよ」という。

市役所の方に聞くと、たしかにパチンコ機器メーカーがあるらしい。行った先の平和社の事業所は移転した後だったが(三共という同じく大きなメーカーも桐生にあるという)今はなくてもいい。

あの人が育ったとき、周りにパチンコを作ってる人たちがいて、そしてつい先週のこと、あの人が自分のパチンコを作った記事を書いたのだ。これぞルーツ!(先週の記事はこちら


移転後のオフィスという寂しい風景も光り輝くルーツ!著作とともに記念写真

競艇場もあった桐生。そういえばあの人は有馬記念に行く記事も書いている。記事はこちら

すごくないか

うん、すごい。パチンコの記事が出た翌週に訪れたらパチンコの街だったのだ。もし恐竜の記事を書いてたなら桐生には恐竜の化石があったろうし、モンゴル相撲をしてたら桐生はモンゴルだったろう。

人間を形成するのはやっぱり縦と横しかないんじゃないか。生得的、歴史的な縦軸と、文化、地理的といった横軸、あの人の家に流れる血を縦に桐生という土地を横にした織物があの人か。織物の町、しまった、そういうことか!(ガッテン!ガッテン!)


勝手に故郷に錦をかざる

かつて日本のある詩人がNYでU2のボノに会ったときのこと。ボノは「さあ、おまえの詩集をみんなに見せてやろうぜ」と詩集を手にとりホテルの窓からNYの街に向かって「ハロー!ニューヨーク!」と叫んだそうである。

いや、そうであるかもしれない。というのは子供のころに少年マガジンか何かでそんな漫画を読んだ気がするくらいのうすい記憶だからで申し訳ない。(詩人は三代目魚武・濱田成夫だったような気がするが、佐野元春かもしれない。いや、もしかしたらボノが佐野元春だったかもしれない。そんなあいまいな記憶ですいません)

そしてそんなボロボロの記憶を拠り所にして、さあ、おまえの本をみんなに見せてやろうぜ、と代わりに叫んでおいた。ボロボロではあるが、人の故郷に勝手に錦をかざった瞬間である。


ハロー!桐生!(ちゃんと本気で叫んでおきました)

普段、何食ってたんですか?

アメリカ人はとうもろこしを作りすぎて甘味料やら油やら色んな原料に使っててまあとにかく体を組成する要素がうそかほんとかとうもろこしっぽいんだそうですよ。


でもこんなに自己主張のはげしいお店だったんですか

ワインでできてる川島なおみ的な

‥‥そう聞くと、なんだか私の体の組成が「ソースカツ丼」で構成されているような気がしてくる。(記事『これが私のソースカツ丼だ!』より抜粋)

大阪の人はたこ焼き、名古屋の人は手羽先、そして桐生のあの人の体はソースカツ丼でできている、らしい。できてるうえに記事まで書いている。記事になってるのにまた記事にするのは変だけど、こりゃもう食わないことにはいかんだろう。


人の郷土食(ソースカツ丼)の店で自分の郷土を発見した岐阜出身の石川大樹撮影
あれ?こんな店だっけ?と通された座敷の奥ではこどもさんがお昼を食べながらいいとも観賞中。意外ー。

ぎょっ
ぎょっ、ぎょっ
ぎょっ、ぎょっ

ぎょっ、ぎょっ、ぎょっ

おにぎりをそのままフライにするという目からウロコ料理『揚げおにぎり』はお土産に。そしてあの人の地元記事ネタが今ひとつ減った。

ぎょっぎょっぎょっ

桐生の人、参りました!キャベツなしは長野のそれより福井に近く、あの人も絶賛していたソースのついためし部分がうまい。ピンピカピンにうまい。油が入ってるのだろう、のど通りよくキュキュッと吸い込まれて、おう、吸われていきよるわ!

なるほどそりゃソースカツ丼ソースカツ丼、言うはずだ、と。そういう味を知れて大満足。しかしまだ他にも名物はあるらしい。市役所の方に教えてもらった幅広いべろべろしたうどんは時間が合わず食せなかったが、ほんとはそういうべろべろしたもので構成されているのかもしれない。


実は桐生の街自体はまた別のライターの手によって記事化されている。そのときに紹介されていたアイスまんじゅうを作っているところ。(記事はこちら
全国に広まる前に価値が下がってしまわないかと不安になるほどひどい食べ方

そういえばいつもこれ食ってるな(※見たことはない)と自然と笑顔になる

おや?アイスまんじゅうで構成されているのかも

あの人の体はソースカツ丼で構成されているのかもしれないし、アイスまんじゅうで構成されているのかもしれない。されてないとはいってないし、目の前にアイスまんじゅうがある。9割アイスまんじゅう、1割ソースカツ、くらいかもしれない。全部思いつきだが、じゃあそれで。

そして一旦そう決めてしまうと、ふだんうつむきがちで「どうもー」と低い声を出しながらやってくるあの人の姿。あれはうつむいてアイスまんじゅうを食べているような気さえしてきた。

そういえば飲み会の最後にデザートを頼むときはお店の人にこっそり「アイスまんじゅうありますか?」と聞いて毎回何だそれはと聞き返されている(気さえしてきた)。


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