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フェティッシュの火曜日
 
人の故郷に勝手に行こう

〜生い立ちを探る〜

ご飯を食べたら何事も大体ひと段落ついてしまうので、生い立ちを適当に探っていくのはどうだろう?場所は聞いておかなくていい。適当に決めていくのだ。


街の総合病院、ここで生まれたに違いない

ここで生まれた!?半生を辿ります

病院前のバス停でバスを待っていると同行した石川が「ここって乙幡さんが生まれた病院なんじゃない!?」と気づいた。根拠は?本にそう書いてあった!?と聞くと「いや、大きな病院だし」と。ええーっ。

でも、そうか。なるほど、そうかもしれない。あの人はここで生まれたのかもしれないし生まれてないのかもしれない。ここで生まれましたよ、と言われるとそんな気がしてくるし生まれてなくてもどっちでもいい。だって人の生誕地なんだから。

どっちでもいいなら思いこもう。ここがあの人が生まれた場所なのだ。思い込むとどうだ、目の前に広がるドラマ!もちろんその実態はうそ!でまかせ!


産気づいたお母さんが運ばれた入り口。タクシードライバーはこの日初めて速度違反を犯したのだが警察も目をつぶった。
そしてあの部屋に運び込まれ…この視点で固唾を飲んで見守る家族がいて…

「生まれましたよ!」窓から医師が「ご生誕」と書かれた旗を振ったのだった(全て想像です)


レンタル自転車でルーツめぐり、いい街〜♪

生家や学校をめぐります

今、あの人が生まれたのだから次は家だ。事前に読んでいた記事からあたりをつけて向かった。

生まれた家は空き地になってる、という記述を読んだことがあるので、それはもうひどく適当に「ココ!」「このすきま!」と生家認定してしまったので割愛。(最終的に家は爆発したというひどい結論になっていた)

ふらふら自転車を漕いでいると、幼稚園が見えた。もう幼稚園に上る年頃だ。しかし目の前のこれはもしかして著書に出てきたんじゃないか…??


著書に出てた写真と照合すると…もしかして本当にこの幼稚園に通っていたのでは!?えらいこってすで!

ハア…ありがたや
ありがたいありがたい

となると、小学校は近くのココ!?傍には単線の電車が通っていて…間違いない、電車記事が多いのも休み時間にここで電車を見ていたからだ!

独り金網ごしに電車を見つめていたあの日々…

幼稚園、そして小学校に上がり…

何かを作っているイメージのあるあの人であるが、女性には珍しく電車の記事も多く書いている。多分それは小学校のそばにわたらせ渓谷鐵道が通っていて休み時間になると一人金網ごしに電車を見つめていたからだろう。

そんなあの人が変わったのはドラえもんの模写を級友に見せたことだった。ほどなく「ドラえもん博士」と呼ばれるようになったそうだ(そう呼ばれたのだけ本当)。

と言いつつも、その辺の人に「ドラえもん博士って人知ってますかー?」とあの人のことを聞いてしまおうかとゲラゲラ笑っていたりもする。


中学は剣道部にいたそうなので、体育館に

なぜか勝った気になっていた

小学生がすれちがいざま「こんにちはー!」と元気よく挨拶してきてびっくりした。挨拶し返せなかった石川は「無視かー!」と大声で落胆されていた。

バスに乗っていると中学生が私の方を指差してえへらえへら笑っていた。何だかわからず怖くなった。変わった学生ばかり今日は見るな、と思ったがあの人はこの街出身なのであり、未来のあの人に指差されていたのだと思うと笑って許せる。余裕である。なぜか勝った気がしてならないのだ。

しかし全部あてずっぽうとはいえ、何かを探して知らない街を行くのはおもしろい。全部答えは正解になるのだから、おもしろさもひとしおだ。


最寄のコンビニSAVEON!(よくしらない)でいつもライフガードを飲んでいたあの人
高校に上ると下校時にひとっ風呂浴びて帰るのが日課となったあの人

こんな赤すぎる山を背景に3年間学んだんですよ、奥さん!

そして高校、のち上京

そして高校進学である。記事からも女子高という記述が見られるので、地図から適当な女子高を見つけ訪問。どっどこ山奥に向かう。山が赤く異様だった。

この「山が赤い赤い」高校(こういう変な名前をつけたりする)に合格し、初めてのバス通学。部活で使う地球儀を鞄からはみ出させて毎日帰りがけにひとっ風呂浴びていた。しまった、設定を変にしすぎた。とあわてて修正したりする。

そういう話ができるので、このルーツ探しは一人より二人で行ったほうがいいだろう。


そしてこの高校に!なんだかしらないがおめでたい感じがすごいぞ(かつてあの人が所属したのは地学部。全国云々の情報はなし)

幼馴染は桐生の大学に残るというが
「私は…東京さ、行ぐ!」と本部所在地が東京という都会っぽさを主張する看板が目に止まり思わず言ってしまう

センター試験を経て大学にも合格、そしていよいよ生まれ育った桐生を離れる日がやってきた。

あの人が車窓から見た最後の桐生の風景がこれだ!

「機器室」かー。

駅前の碑

私は東京からの来訪者に この街を自慢する
どうだ美しい街だろう 誰もそれにうなづいてくれる 美しい街
私はほんとうにそう思っている‥‥

駅前の碑にそうあった。たしかに素晴らしい街だった。名物はうまいし、山も川もある。珍しい鉄道もある。そしてそれらをバックボーンにしてあの人がいる。その人がB'zの人とかでなく、すぐそこにいる人というのがとても残念ではあるが、その分すぐおもしろいと思えるとてもハードルの低い旅が出来た。

そして旅自体もおもしろいし、今は今度顔を合わせるときが楽しみである。あそこのところてん屋行ったのですか?とか色々聞きたいことがある。仲良くなれるかもしれない。

しかしただ人の故郷に勝手に行っただけなのに、なぜか妙に弱みを握った気持ちにもなっている。のほほんと何も知らずに今日も記事を書いているのだろう。そして勝手に人に故郷に行かれた記事が同時掲載されるのだ。うん、こう言ってはなんだけど、確実に勝った気が芽生え始めている。

やっぱり仲良くはなれないかもしれない。


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