気合いが入りすぎて紙を高々と掲げてしまっている。どことなく空回りの再スタートだ。
外もだいぶ暗くなってきた。そろそろ誰かに抱いてもらいたいところだ。
そして立つこと数十分……。
人通り少なっ!
九戸のバス停前に匹敵する閑静な佇まいである。周辺住民の苦情もさぞ少ない駅だろう。いや、周辺に住民がいないからこんなにも閑静でぼくは泣きそうになってるんだっけ。
それでもくじけず(いや、くじけてますが)場所を変え紙の裏表を変え、挙動不審さ、じゃなくてフリーハグをアピール。ふと見上げると、駅に併設された建物から、女性ふたりがぼくを眺めていた。ちょっとした哀れみの表情を浮かべて。 |