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ちしきの金曜日
 
ハッピーターンの粉を味わう

●調味料としてのハッピーパウダーの可能性

ついに溜まったハッピーパウダー。あの中毒的とも言える味の源がここにある。

 小さな夢が叶ったような感覚だ。さあ、いつもはおせんべいについているものとして食べているわけだが、まずはそれそのものを味わってみたい。


スプーンの先っちょ乗せて…
そこには幸せが待っているはず

 夢の粉が今そこに。スプーンに少し乗せてなめてみる。…うーん、これは……!!


ハッピーじゃない!

 口の中に広がる、濃厚すぎる甘じょっぱさ。味の深みうんぬんよりも、ただただ濃い。うへー、私を待っていたのはハッピーではなかった。

 当然だろう。調味料をそのままなめて、おいしいはずはない。愚かだとわかっていても、一度は試してみたかったことなので、これはこれで満足だ。


瓶に入れると謎のうまさが引き立って見える

 やはり調味料は調味料として使うべきだ。そう思って空いていた味の素の瓶に入れてみたところ、なんだか急にそれはおいしさの素のように見えてきた。これを使って、今晩の夕食を作りたい。

 …というわけで、調理。まずはできあがりを見ていただこう。


本日の夕食「ハッピーディナー」

 シンプルで質素だが普通においしそうなのができあがった。メニューそれぞれの解説をしてみよう。


ふりかける瞬間がなんだかうれしい
うん、まずまずハッピーかも

メインディッシュは「ハッピーポークソテー」。豚のしょうが焼の要領で豚ロースのうす切りを焼き、普段ならしょうが醤油で味付けするところでハッピーパウダーを投入だ。

 焼きあがったのを食べてみる。…おかずとしては少々甘めの味だが、ベースのお肉の味とハッピーパウダーの複雑な風味とは、今まで食べたことのないバランスで調和している。

 ハッピー指数は15、といったところだろうか。まずまずおいしいと思う。


軽く甘いにおいもおいしそう
うん、ハッピーかもね

続いては、白い炊きたてご飯にハッピーパウダーをふりかけた「ハッピーライス」。ハッピーターンはお米を焼いたせんべいにハッピーパウダーをまぶしているものであるわけだから、これも相性がいいはずだ。

 さて食べてみる。…うん、ベースがご飯ということもあって、ハッピーパウダーそのものの味が引き立っている。粉だけを食べたときの濃さが、ちょうどよいおいしさになっている。

 ハッピー指数は28といったところだろうか。なかなかいい感じでご飯が進んだ。



ハッピー刺身
お好みでハッピーパウダーをどうぞ

最後の一品は「ハッピー刺身」。ハッピーパウダー精製の過程でできた「ハッピーレスターン」に、ハッピーパウダーをつけて食べるというものだ。

 素材そのものを生かした一品。原点回帰と言ってもいい。

 普段食べているハッピーターンより、ちょっと贅沢に粉をつけてみよう。さあ、味はどうだろうか。


「こ、これは……」
「ハッピーターンだ!」

……どこかで食べた、懐かしいような、いつもなじんでいるような味が口の中に広がる。そう、この味、この食感、まさにこれは「ハッピーターン」だ。

 いつものよりもハッピーが濃いハッピーターンだ。うん、これだこれだ。ハッピー指数は文句なく100。

 香ばしく焼きあがったおせんべいと、ハッピーパウダーの味わいのハーモニー。言うまでもなく、誰もが知っているハッピーターン。そう、一番安心できるおいしさは、はじめからそこにあったのだ。

きれいに並んだハッピーレスターン

人は大事なものを大事だと自覚するのに、思いも寄らない遠回りをすることがある。それを愚かさと言ってしまうのは簡単だが、愚かさによってしかわからないものもあるのだと思う。過去を振り返れば、誰にも思い当たることはあるだろう。

 今回、最後に食べたハッピーターンが教えてくれたのは、そういうことだったのだと思う。はっきり言えば、それが一番おいしかったのだ。

 写真は、気がつくと妻が無言で詰めていた残りのハッピーターン。きちんと並んだそれは、今回ハッピーターンが教えてくれたものを象徴しているようにも見えた。


 
 
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