■最近の高校生は背が低い?
「身長って言えばさ、最近の高校生は背が低くなってると思うんだよな。気付かない?」
「低く、ですか?」
「そうなんだよ。10年くらい前は高校生の身長が大きくなった感じがして、このままだとどこまで行くんだろうって思ってたんだけど、ここ最近は小さくなった感じがするんだよな。」
「へぇー!そうですか!全然気にしてませんでした。」
「これからは気にしてみると良いよ。小さくなってるよ。これがアジア人の限界なのかも知れないね。半世紀前に戻ったみたいに小さいのばっかりいるよ。」
この説には驚いた。身長だけじゃなくて体全体が細くなったのかも知れないが、若い人の身長が低くなっているという観察は面白い。これからは気にしてみてみようと思う。
■昔の食べ物事情は酷かった
「昔の中高生は体が小さかったよ。食べ物がないからみんなガリガリでアバラが浮いてたし。栄養が無いと鼻水が出るみたいで、子供なんてみんな袖がテカテカ光ってたよ。服だってそんなに持ってないし毎日洗わないから。みんな袖がテカテカ。」
「テカテカ!食糧難についてもう少し聞かせて下さい。」
「戦中戦後は本当に無かったよ。そこらじゅうの山、東京中の山を開墾して芋を育ててたよ。この辺(上野公園)でもイモ育ててたんじゃないかな。米も無いからイモとか大根、麦で量を増やして炊いたんだよ。とにかく量を増やすのが大事だった。」
「昔はそうやって、食べ物に困ってた時代だから。肉なんて全然食べたことなかったよ。だから肉を食べるっていう習慣がない。今でも肉はあんまり食べないよ。小さい頃の食習慣ってずっと影響するよね。教育でもなんでも、小さい頃身につける物は大事だと思うよ。」
小さい頃の食生活や教育は大事だと力説するMさん。そうですね、とうなずく僕。会話が楽しい。知らない人の話を聞くのがこんなに楽しいとは思わなかった。
■肉に命を取られる
「肉とか脂っぽい食べ物は体にも良くないと思うね。私が知ってるだけで何人も大腸ガンで亡くなったけど、みんな肉が好きだった。中華料理とか脂っぽい物も好きだったんだよ。農耕民族なんだから、体にあった食べ物を食べなきゃダメだよ。」
「そうですね。やはり和食がいいですか」
「そう、和食が良いよ。伝統的な食べ物が体に合ってると思う。育ち盛りの頃は肉を食べて体を作るのも良いけど、体が出来たら肉や脂は控えた方が良いよ。『肉に命を取られる』よ。」
「それ良い言葉ですね。」
■まんじゅう食うか?
「あ、腹減ってない?まんじゅう食べる?」
「え、まんじゅうですか?」
「谷中通ってきたんだけど、谷中の商店街にまんじゅうで有名な店があるんだよ。そこで20個買ってきて、この周りにいた子供とかにあげたんだけど、まだあるから良かったら食べなよ。」
「ありがとうございます。折角ですからいただきます。」 |