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東急メディアコミュニケーションズ


ロマンの木曜日
 
 富士山を鉄道で一周する
身延線甲府駅

鉄道ファンの間では「乗りつぶし」というジャンルの楽しみ方があるという。日本全国の鉄道を各駅停車で乗りつぶしていくのだという。その「乗りつぶし」を学生時代から続けている知り合いがいる。今年で52才になるその知人は、日本列島全制覇までもう少し、という強者だ。そんなお話を「へぇー、楽しそうですね」などと軽はずみな相づちを打って聞いていたら、「じゃあ、一緒に乗りつぶしましょう」という事になってしまった。

「富士山の周りを各駅停車で一周なんてどうですか?楽しそうでしょ」。と誘われ、「楽しそうですね。機会があったら是非、えへへ」と誤摩化していたら、あれよあれよと日程を組まれ、気づいたら土曜日の朝8時に新宿駅で集合していた。

富士山を鉄道で一周する乗りつぶしの旅。
その全行程をお送り致します。


(text by 住 正徳



青春18切符で富士山を一周する

乗りつぶしの達人、日詰さんは僕の会社のクライアントの方である。普段は日詰さんの会社からお仕事をいただいている訳で、つまり、日詰さんはお客様である。しかし、この日は「鉄道」という趣味を共有する仲間として1日中行動を共にするのだ。設定が「釣りバカ日誌」のようでもある。日詰さんの方が偉い人なのでスーさんで、僕がハマちゃんだ。


今回の旅のガイド、日詰さん

そんな日詰さんから、約束の1週間前に「乗りつぶし」の行程表が送られて来た。


停車駅順に書き出すと以下のようになる。
新宿(中央線)→大月(中央線)→甲府(身延線)→富士(東海道線)→沼津(御殿場線)→国府津(東海道線)→品川



富士山一周の旅、全行程


朝8時14分に新宿を出発して品川に到着するのが18時48分。約10時間に渡って4路線を乗りつぶし、富士山の周りを一周するという。この行程だと、東西南北、すべての方向から車窓越しの富士山を見る事が出来る。乗りつぶしの旅なので、特急には乗らず青春18切符を使って移動するという。ハードな旅になりそうだ。


青春18切符で

そして約束の日は快晴だった。頭の中で「世界の車窓から」のテーマ曲を流しながら、山手線で集合場所の新宿駅に向った。



寝てはいけない


約束の時間よりも10分早く新宿駅に着いた。しかし、日詰夫妻は僕よりも更に早く着いていた。夫妻と書いたように、日詰さんは奥様を連れての参戦である。青春18切符で移動する日詰夫妻と僕。一体どのように見えるのだろう。間違えたドリカムみたいだ。


奥様に行程を説明する日詰さん

8時14分、新宿から「ホリデー快速河口湖1号」に乗って大月を目指す。自由席はほぼ満席だった。僕と日詰さんが並んで座り、通路をはさんで奥様が座る。大月までは1時間20分、普段の移動であれば100%寝て過ごすが、乗りつぶしの旅は寝てはいけないのだという。電車に揺られながら車窓からの風景を楽しむ。それが乗りつぶしの基本なのだそうだ。


時刻表を見て笑っている日詰さん


しかしこの日は朝が早かったので睡眠時間は2時間だ。ずっと起きていられるか、不安である。



鉄道うんちくを聞きながら大月まで


車窓からの風景を楽しむ日詰さん

大月に着くまでの間、日詰さんの鉄道うんちくに耳を傾ける。

「この車両は長野行きの『あさま』に使われてたんですよ。モハ189-44ですから分かります」

モハ189-44の表示を見ただけで車両の過去が分かってしまうのだ。何でも189-44は、碓氷峠を超えるための協調運転の装備がされている車両なのだそうだ。協調運転が何なのか分からなかったので説明してもらったのだが、勾配が何パーミル以上だからなんちゃらなんちゃらと、難しい話だったので最後まで理解出来なかった。今、原稿を書くためにウィキペディアで詳しい説明を読んでみたが、やっぱり分からない。

「今日乗る身延線は、以前は富士身延線という私鉄だったんです。それを国鉄が戦時中に買い取ったんですよ」

元私鉄だった事もあり、身延線は駅と駅の間隔が短いのだという。風光明媚な場所を抜けていく単線で、2両編成のワンマンカーなのだそうだ。

「2両編成のワンマンカーって全国的に多いんです」

という事ですよ、皆さん。


トンネルはつまらないので前を向く

そうこうしているうち、あっと今に大月駅に到着した。ずっと話をしていたので眠くない。ここで甲府行きの中央線に乗り換えるが、30分ほど時間が空いた。みんな朝ご飯を食べていなかったので、駅構内のそば屋で食べる事にした。

そのお店には「吉田うどん」というメニューがあって、大きなのぼりまで立っていた。きっと大月駅の名物なのだろう。せっかくなので頼んでみた。腰の強い麺に白菜と油揚げと人参が乗っている。僕は人参が苦手なので残してしまったが、人参以外はとてもおいしかった。


大月駅の吉田うどん

大月駅ホームにて日詰夫妻。コブクロのジャケット写真みたい(身長差が)




 

 
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