次の身延線が入ってくるまで、甲府駅のホームでぼんやりと待つ。待ち時間は約30分。空気は少し冷たいが、日差しが強くポカポカしている。
「春霞で富士山が見えづらいかもしれませんね」
日詰さんが空を見上げて心配している。確かに少し霞んでいるようだった。冬の澄んだ空気だと富士山もクッキリ見えるのだろうが、真冬に吹きっさらしのホームで30分はきつい。
電車を待つ間、身延線の富士山スポットについて日詰さんが説明してくれた。主なスポットは2カ所あって、最初は南甲府駅を過ぎた辺りから富士山を南東に見る事が出来る。その後、沼久保駅周辺で、今度は北東に富士山が見える。
「沼久保辺りは有名な撮影スポットですよ。電車越しの富士山が奇麗なんです」
と日詰さん。どうやら、沼久保辺りで最初の盛り上がりがやって来そうである。
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