野立て看板のメッカへ
大丈夫。まだあてはある。愛知県は野立て看板のメッカなのだ。
静岡と京都は看板を制限する条例があるため、挟まれた愛知に看板が集中している。しかも静岡から愛知に入ったとたんに看板がボコボコとあらわれるという。厳しくないところで羽をのばす。大学デビューみたいで大変わかりやすい。
東海道線の新所原から静岡・愛知の県境に向かって歩く。
「ここから野立て看板のメッカ」の意
駅を降りるとすぐに田園風景!ではなくて工場街だった。マスキングテープのようなケミカルな匂いがした(大好き)。愛知県は自動車工場で働いているブラジル人が多く住んでいるので市役所の看板がポルトガル語だった。
こういうディテールは新幹線を降りないとわからないな、そう思うときのうの失敗は無駄ではなかったなと自分に言い訳した。
やっと会えたね
しかし30分も歩くと堆肥の匂いがする田園風景が広がった。そして看板はあっさり見つかった。
近くで見ると確かにでっかい。ビルの2階以上の高さがある。みな一様に新幹線の線路に向かって立っている。ストーンヘンジみたいだ。見たことないけど。
しかし意外に唐突さを感じない。まわりの景色と看板の色の鮮やかさ(正確にはくすんでるところ)が同じで、周囲に馴染んでいる。
この地味な存在感は、近くに住んでいても「ああ、言われてみればあるね」ぐらいのものかもしれない。うちの近所にある「ダイエーまであと2q」の看板とさほど変わらない気がする。