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ひらめきの月曜日
 
21世紀のお伊勢参り

いざ、内宮へ

私たちよりもコンパクトな旅の日程を組んでいる人の中には、外宮には行かず内宮だけで済ませる場合もあるという。

それもなんとなく分かるほど、内宮はまた違う迫力でこちらに訴えてくるものがあった。なんたって、まず入り口がドラマチックなのだ。


最初の鳥居を抜けたら、まず川を渡るんですよ
続いて、長い玉砂利の道です

外宮に比べて人もグッと多く、どことなく華やかだ。そして非常に開放的でもある。


鶏が放し飼いになってたり
川が流れていたり(川の水で心身を清める)

まさに、一生に一度のつもりで歩いた。再びここを訪れる機会はないかもしれない。江戸の人と違って来ようと思えばいつでも来られるのだが、現代人は他に行くべき所も多いのだ。心残りのないよう、きっちりとお参りする。

いつもは気恥ずかしくて、うやむやにしがちな「二拝二拍手一拝」という作法も、ここでなら堂々と出来るから不思議だ。


きちんとお参りしました

Aさんとは、ほぼアイコンタクトで意志の疎通を交わす状態になっていた。お互い、腹が減ると不機嫌になる性格であるが、神聖な場所で揉めるわけにはいかない。

(もういい? 行くよ?)
(うん。行こう)

内宮を回り終え、いよいよ後は帰るばかりである。


この看板が光り輝いてみえた。思わず激写
さあ、いざ雑踏の中へ!

空腹の限界を越えて身も心も清められ、煩悩など捨ててスッキリした人間になったかとも思ったがそうはいかない。旅の本当の目的は、これから始まるのだ。

だってもう、いきなりコレですもん。


どーん! 松阪牛の串、1本400円也

テレビで肉を食べた人が「柔らか〜い!」と言っているのを聞くたびに「ケッ、柔らかいのは分かってるんじゃ。もっと他に表現方法はないのか!」と腹を立てていた私であるが、すみません。言わせてください。

「柔らかい!」そして「おいしい!」


ああ神様。私に肉を与えてくださって、ありがとう

これがもう、ビックリするほどおいしかった。

 

めくるめくウマイもの

伊勢は、肉もウマいが海産物もウマい。あちこちで練り物が積み上げられたり蒸されたりしている。これが素通り出来ようか。


うわあ。
この匂いが遠くまで風に乗って届くのです
チーズ入りを購入
うまっ!

ところで、この門前町は「おはらい町」という。「神宮に参る人々がお祓いを受けて宿願を果たした」ことから、こういう名前が付いたのだそうだ。

やはりこのウマさは、お祓いを受けた後だからこそ、な部分もあるのかもしれない。

さらにさらに、魚介の部は続きます。


ひものがズラリ

店先でどんどん焼かれたサンマとキスが、
全部、試食の箱にポイと置かれますと、
あっというまになくなります

ひもの屋が、えらいサービスをしていた。試食のために大量の干物を焼きまくっていたのだ。もちろん私も一匹いただいた。大変おいしかったが、果たして店の儲けは出ているのだろうか。心配してしまうほど気前がいい。

「ここらで、ちょっとサッパリしたものが食べたいな」と思ったらコレがある。


きゅうりの漬け物100円

ちょうどいい塩加減。ボリボリ食べる。ウマい。

「そろそろ、また肉に戻ろうか」という気分になったら、伊勢肉専門店の店頭で売られているミンチカツを求める列へ並ぶ。もちろん和牛の店です。


店の名前がすごい。「豚捨」だもの。捨てるのか。
肉の味がぎっしり詰まったミンチ

町の中ほどにある「おかげ横丁」は、さながら江戸時代のテーマパークのようだった。

ここで、今まで見たことのない食べ物を発見。エビ天が丸ごと1本巻かれてます。インパクト大。


天むすとは、似て非なるものですが、
ジャンクなうまさ。これ、全国的に流行らないかなぁ。

…ああ、なんて楽しいんだろう。この情報過多な、気忙しい現代に住む私がこれだけ楽しいのだ。江戸時代の人は、そりゃ家財道具を売っ払ってでも、伊勢参りに行きたかったことだろう。

お楽しみはまだまだ続きます。伊勢は、こんなもんじゃありません。


 

 
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