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東急メディアコミュニケーションズ


ひらめきの月曜日
 
イクラの中身だけ食べたい


イクラシリーズ第2弾

かなりの早食いのせいで、物を噛み終わる前に飲み込んでしまうことが多い。ラーメンやカレーの場合はそれでも構わないが、問題のある食べ物がある。イクラだ。

あまり頻繁に食べられないだけに「もっときちんと味わいたい」という思いを、あの粒々が邪魔するのだ。

たまに、やたら弾力のある(膜の固い)イクラに遭遇すると、イライラはピークに達する。早く噛もうとする私をあざ笑うかのように、粒々は歯からツルリとすり抜ける。待てイクラ。どこへ行く。もっと素直に噛まれてくれ。そして、早くおいしい中身を私に味わわせてくれ。

「落ち着いてゆっくり噛んで食べれば問題は解決するのでは」という声を振り切り、荒技に出ることにした。

高瀬 克子



道具が必要

中には「あの粒々がいいのに、何を考えておるのだ」という方もいることだろう。その気持ちは分かる。話がカズノコの場合は私も全く同意見だ。あれは噛むこと自体が快楽だとすら思う。

でも、イクラは違うでしょう? イクラの粒々は、そんな確固たる意志も目的も持っていないでしょう?

御飯と一緒に食べられることの多いイクラが、御飯の柔らかさと歩調を合わせないでどうする。下手に粒々感を強調することで、咀嚼における足並みを乱されては困るのだ。迷惑なのだ。

というわけで、イクラの中身だけを取り出すことにした。これだけをワッシワッシと御飯と一緒に食べたなら、どんなにか気持ちがいいことだろう。

でも、問題はどうやって中身を取り出すか、だ。



思案の挙げ句、購入してきた注射筒
そして、筒の先端にはこれを装着

そう、考案したのは、注射器でイクラの中身だけをチューッと吸い上げる方法だ。これならどんなに小さく柔らかな粒でも、簡単に抽出できるに違いない。

ちなみに、買ってきたのはお馴染みの東急ハンズである。本当に心強い店だ。


準備万端。さあ、吸うぜ。

器具を煮沸消毒したのち、さっそくイクラの粒に先端を突き刺す…つもりだったのだが、これが思ったように突き刺さってくれない。

粒々の弾力が「刺されてなるものか」とばかりに先端を押し返すのだ。おのれ、粒々め。


やっとの思いで粒に突き刺し、
あとはチューッと吸い上げるばかり。

…ん? おかしい。吸い上がらない。

コップの水で実験をしたときはグングン吸い上げてくれた注射器だったのに、どうしたことか、イクラの中身にはちっとも反応してくれない。なぜだ。対象物が小さすぎるのか。はたまた液体が少なすぎるのか。

そういえば、ハンズの店員さんに「そういう目的で作られてないので、あまりオススメできませんが…」と言われたのを思い出した。それを「いや、大丈夫ですから」と強引に買ってきた結果がこれだ。失敗だ。

しかし心配ご無用、慌てることはない。今回は私にしては珍しく、きちんと保険を用意しておるのです。


じゃじゃーん。

はい。スポイトです。80円くらいのガラス製です。

店員さんの「そういうものは、スポイトで吸い上げた方がいいですよ」という忠告に素直に従って本当に良かった。ありがとう東急ハンズ!

では、気を取り直して。

まずは爪楊枝でイクラに穴を開け、そこに素早くスポイトの先端を突っ込む。


ブスリ。
ちゅうううううう。

おおおお。グングン吸い上がっております! すごい、スポイトってすごい! こんな簡単な仕組みなのに、お前はやるなぁ!

しょっぱなで失敗してるだけに、感激もひとしおである。

中身を吸い出したら、さっそく用意しておいた小瓶に移す。シュコー。


はやく一杯になってくれ

もっと面倒くさい作業かと思っていたが、思ったよりも簡単だ。それに、いちいち「おお、吸えた!」と感激してしまい、煩わしいはずの作業が大変楽しい。

そういえば子どもの頃、枝豆をサヤから出すのが面倒で、皿に山盛りにしてからスプーンで食べていたが、あの時も取り出すのが楽しかった。どんどん溜まる豆。それを一気に食べる未来の自分を想像するたびに、顔がニヤけるのだ。

今回も、それにかなり近い精神状態である。どんどん溜まるイクラの中身。これを一気に食べる自分。ふふ。うふふふふふ。


えへへへ。
あはははははは。

ものの30分もしないうちに、小瓶が満杯になった。でもまだイクラは大量に残っている。どうしてもっと大きな瓶を用意しなかったのかと悔やまれたが、使い切ったらまた補充すればいいだけの話だ。ぐふふ。

さあ、これをどうやって食べようか。でへへへ。


想像が膨らみ、笑い方がどんどん卑下てきました

 

 
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